フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月25日(木) 曇り一時小雨

2021-03-26 10:40:47 | Weblog

9時、起床。

グラノーラ(+牛乳)、サラダ、紅茶の朝食。

今日の『おちょやん』。千代夫婦のところに居候することになった一見素直そうだが人の好意を信じることのできない少年寛治をまえだまえだの弟(前田旺志郎)が好演している。少年と書いたが旺志郎は20歳の青年である。

昨日のブログを書いてアップする。

昼食はカレーライス+目玉焼き。

食べていると妻が「冷蔵庫のドアがちゃんと閉まっていないんじゃない?」という。確かにちょと開いていた。そしてドアを閉めに近くまで行くと警告音が鳴っていることに気づいた。高い音が聞こえにくくなっていて、気づかなかった。

今日は大学の卒業式。2時過ぎに家を出る。生憎の小雨が降っている。

日曜、月曜は雨が降りそうなので、明日、明後日がお花見日和である。

電車者の中で寺田虎彦の随筆「どんぐり」を読む。亡くなった最初の妻のことを書いた随筆で、評判通り、とてもいい作品である。作品の中に没入して、あやうく東京駅で乗り過ごすところだった。

3時過ぎに大学に着く。

現代人間論系室で会合。1年前の春に着任された清水由紀先生を囲む会。ずっとオンライン会議であったから、リアルな顔合わせは今日が初めてである。うれしそうな先生の笑顔が印象的である。

4時から論系ごとの学位記授与式。現代人間論系は36号館382教室。

ゼミ9期生のユリアさんが挨拶に来た。休学と留学、そしてゼミから卒研に移って、今日、卒業を迎えることになった。4月からは大学院(教育学コース)で勉強を続けるそうである。机に向かう時間が多くなるから、身体を動かすことを意識的にするようにしましょう。頑張ってね。

主任の石田先生の祝辞の後、ゼミごとに学位記授与を行う。

一人一人学位記を手渡す(写真は最初のミズホさん)。11期生は当初13名でスタートしたが、休学や留学や留年で、今日の学位記授与は8名である。

学位記授与を終えて、外で記念写真を撮る(雨はもう上がっていた)。卒業式には桜が似合う。

かれんさん、ミズホさん、卒業おめでとう。

ナツミさん、キリさん、ユメノさん、卒業おめでとう。

カレンさん、かれんさん(二度目の登場)、卒業おめでとう。

コウキ君、マサヒロ君、卒業おめでとう。(トモヤ君は9月卒業をめざす)

全員集合の写真はマスクをして。11期生のみんな、卒業おめでとう!

かれんさんの自撮で。

みんなと別れ、研究室に戻る。夕方まで部屋の片付けをする。

同僚の小沼先生から新著をいただく。小沼純一『武満徹逍遥ー遠ざかる季節からー』(青土社)。20年にわたって武満徹について書かれた文章をまとめたものである。「遠ざかる季節から」というサブタイトルは意味は? 「秋、という作曲家の愛した季節が、年々短くなってきたような、もしかしたら、もうなくなっているのかもしれない、とも。サブタイトルは、そんなところから」とのこと。

6時に大学を出る。

スロープの上の桜が見ごろを迎えている。

キャンパスにはまだ名残を惜しむ卒業生たちの姿が。

夕刊に聖火リレーが始まったことが報じられていた。「本当にオリンピックをやるの?」という気分の中での「見切り発車」である。

夕食はチンジャオロースー風、サラダ、新玉ねぎのレンジ蒸し、玉子とワカメのスープ、ごはん。

食事をしながら『ブレバト』3時間スペシャルを観る(途中まで追っかけ再生を早送りで)。スペシャルと称していつもの2倍の時間をやるくらいはいいが、3倍は長すぎるでしょう。人気コーナーの俳句(春麗戦)は最後の1時間。しかも1位の北尾の句を披露する前にニュース番組を入れるという下品な構成である。予選から2週間空けての決勝の放送といい、「流れ」も「リズム」もあったものではない。「俳句」に大切なものが何なのかがわかっていない者たちが、いや、わかっていないはずがないが、視聴率最優先で番組を構成するとこうなりますという悪しき見本である。

風呂から出て、『ジェットストリーム』を聴きながら、今日の日記とブログ(写真の編集)。

1時半、就寝。


3月24日(水) 晴れ

2021-03-25 12:38:10 | Weblog

8時半、起床。

生垣の赤目を背景に海棠の花が咲いている。

「桜じゃないよ。海棠だよ」と言っているような気がする。通常は、4月末から5月にかけて咲くので、桜とかぶることはないのだが、今年は非常に早い。

トースト、(昨夜の)カレー、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

藤井聡太が本年度の最終局に勝利し、44勝8敗(勝率8割4分6厘)、デビューした年から4年連続の勝率8割越えとなった。勝ち続ければ必然的に強豪と対戦する機会が増えるので、勝率8割を維持するのは至難になってくるのだが、彼に関してはそういう一般論は当てはまらないようである。

今回の対局では「難解な終盤戦の中、銀を無償で相手に取らせる絶妙手を放った」とある。(後で調べたたら「4一銀」と王手に打ってそれを金で取らせ、壁金の悪形にしてから飛車を取ることで、寄せ合いの速度が逆転した。「終盤は駒の損得より速度」のセオリー通りの一手で、AIはそれを最善手として予測していたらしいが、「人間には指せない手」と解説陣が言っていた)。

近所の桜並木の桜も後数日で満開となるところまで来た。

12時に矢向駅で卒業生のサキさん(論系ゼミ3期生)と待ち合わせ、「パン日和あをや」へ行く。

彼女とはこれで通算30回目の季節のカフェとなる。卒業して丸8年だから、「季節のカフェ」の言葉通り年4回のペースでカフェをすると32回の計算になるが、不足分の2回は、出産とコロナのためである。先日、一人娘の美桜(みお)ちゃんは満2歳の誕生日を迎えた。

最近は毎週ここに来ている。先週来たホナミさんとサキさんはゼミ同期である。

私はアップルタイザー、彼女は苺ミルクで乾杯。

本日のスープはマイタケのポタージュ。

彼女はベーグルをチョイス。

サーモンとアボカドを挟んで。

私はオムレツサンド。

彼女は大学の職員をしているが、仕事と育児と家事でいっぱいいっぱいになってしまって、ついつい旦那さん(彼も別の大学で職員をしている)に八つ当たりしてしまうことがあるという。どこの家庭でも見られる風景であるが、私の見聞する範囲では、彼女の旦那さんはとてもよくやっている方だと思う。彼女は私とカフェをするたびにそのことを再認識するのである。

この後、カフェの梯子をすることになるので、ここでの食事は控えめにしておきましょう。私はほうじ茶ミルクティ、彼女はチャイを注文する。

曇りガラスの光の柔らかな窓際でポートレイトを撮る。

祝30回カフェ(私は「3」、彼女は「0」を指で示す)。

「パン日和あをや」の奥様にもサキさんは馴染みの客だが、満2歳の娘さんがいると知って、驚いていた。

奥様に写真を撮っていただく。ちなみに奥様の写真がブログに載ったことはないが、西田尚美似のかわいらしい方である。

二軒目のカフェは矢向駅近くの「ノチハレ珈琲店」。幸運にもテーブルが1つ空いていた。奥様に「平日も混んでますね」というと、「先生のいらっしゃらるときがたまたま混んでいるんです」と笑っておられた。地元の皆さんに愛されているカフェである。

私はハチミツトーストとブレンドコーヒー。彼女はスコーンとコーヒー。

両サイドのテーブルとはビニールカーテンで仕切られて、透明な個室のようである。

「ノチハレ珈琲店」を出て、散歩がてら駅の反対側にある「ロッテイーズ」の前まで行ってみる。ケーキ屋さんだが、イートインができるテーブルもある。でも、いつも外で待っている人たちがいて、イートインできたのは一度だけだ。そのとき一緒に来たのはゼミ1期生のユミさんだという話をしたら、サキさんは対抗心を刺激されたらしく(笑)、「私もイートインしてみたいです」と言った。

女性が一人でやっている店で、週3日(木金土)の営業。コロナでイートインはお休み。「コロナが終息してから再開予定」とあるが、さて、いつのことになるのやら。

あまり時間はないのだが、三軒目のカフェは蒲田に戻って「テラス・ドルチェ」。先日の無銭飲食(財布を鞄に入れてくるのを忘れてコーヒーを飲んでしまった)の支払いのこともあるので。

彼女は紅茶。

私はクリームソーダ。

巷では新種のクリームソーダもあれこれ出回っているようだが、クリームソーダの原点はメロンソーダである。

蒲田駅を4時半前に出なくてはならなかったが(美桜ちゃんのお迎え)、ぎりぎりになってしまった。

どうぞ夫婦円満でね。

彼女を改札に見送る。

今日一日でまた開花が進んだ。「三日見ぬ間の桜かな」どころではない。

「半日見ぬ間の桜かな」である。

夕刊に古賀稔彦さんの訃報が載っていた。53歳。ガンとのこと。信じられない気持ちだ。

ベランダから空を見上げると、白衣の男が月に手を伸ばそうとしているように見えた。

ご冥福をお祈りします。合掌。

夕食は鮭の切り身(大森の「はしごや」で買ったやつ)、味噌こんにゃく、サラダ、玉子と玉ねぎの味噌汁、ごはん。

サキさんからLINEのメッセージが届く。「主人と、今日、大久保先生とこんな話をしたよ~と話をしながら、もう少し優しくできるよう頑張ることを誓いました(笑)」。それはなによりです。

風呂から出て、『ジェット・ストリーム』を聴きながら、今日の日記とブログ(写真の整理)。

1時半、就寝。


3月23日(火) 晴れ

2021-03-24 11:08:04 | Weblog

8時半、起床。

グラノーラ(+牛乳)、サラダ、紅茶の朝食。

昨日のブログを書いてアップする。

11時に予約している近所の歯科に行く。次回は3か月後。年を取ると歯のメンテナンスが大切になってくる(いまのところ全部自前の歯である)。

歯科医院を出て、ちょうどいい時間なので、その先にある「吉岡家」へ。

普段はランチタイム(11時~2時)に来られることはめったにない。

ランチタイムに来るとランチセットを注文することができる。もりそばorかけそば、(8品の中から)おかず1品をチョイスするシステムである。

もりそば、目玉焼き(半熟で)、ごはん(少なめで30円引き)をチョイス。

パスタ感覚で最初にもりそばを食べ、次にごはんとおかず。

目玉焼きを半熟でお願いしたのは、ごはんにのせ、醤油をかけ、卵かけごはんのようにして食べたかったからである。目玉は2つあるので、中盤で目玉を追加する。贅沢なり。

「紅葉花園」(支店)に仏花と贈答用の花を買いに行く。

大城通にある本店は息子さん夫婦がやっていて、私の家からはそちらの方が近いのだが、私は支店に買いに来ることが多い。もう70歳を越えている女将さんとおしゃべりをするのが楽しいからだ(お花もおまけしてくれるし)。この街でもう40年、いや、50年だったかな、花屋さんをやっている。

帰宅して仏壇の花を取り換える(まだ捨てるにはもったいないものは残し、おまけに入れてもらったものもあるので、華やかな仏花である)。

大井町(JRで蒲田→大森→大井町)へ行く。

線路の横の土手の桜が見ごろを迎えている。

「ポットリー」に顔を出す。今日は開店記念日だ。

「マダム、32周年おめでとうございます」(花を贈る)

「おぼえていてくださったのね」

「もちろんです」

ロイヤルミルクティーを注文する。

「先生は定年後はまたどこかで教えるの?」

「いいえ。70歳まで働けばもう十分です」

「お時間ができますね」

「はい、ここにももっと頻繁に顔を出せるでしょう」

「それは嬉しいわ」

「立ち姿も撮らせて下さい」

「写真、私にも下さいね」

「スマホはやっておられないんですよね? 次に来るときにプリントしてもってきます」

33年目もどうぞお元気で頑張って下さい。

すぐに蒲田には戻らず、大森で途中下車して、久しぶりにジャーマン通りを歩く。

「sanno2198」に顔を出す。

昨年の10月12日以来である。

マダムは私の顔を見て(マスクのせいですぐには気づかず)、「あらっ」と言った。「ご無沙汰しています」

最近、またインスタにその日店で出すケーキの写真を載せるようになった(緊急事態宣言の間は自粛されていたそうである)。

お目当てのケーキはまだ残っていた。キンカンのタルトである。

コーヒーはバリで。

以前は月曜か火曜に顔を出すことが多かったのだが、オンライン授業になってから、火曜の夜が(木曜に公開する)オンデマンド授業の教材一式をアップする締め切りで、月曜火曜は家で缶詰ということが増えた。しかし、新学期からは作業にも慣れたので、また美味しいケーキとコーヒーをいただきに来ることができそうである。

もう一、二軒寄りたい店がある。ジャーマン通りを先に進む。

「あんず文庫」。昨年9月14日の開店1周年の日に訪問して以来である。店主さんの髪にパーマがかかっていた。

本を3冊購入。

寺田寅彦・中谷宇吉郎(山本善行撰)『どんぐり』(灯光堂) *これは新刊書

嵐山光三郎『編集者諸君!』(本の雑誌社,1994)

吉行淳之介『赤とんぼ騒動  わが文学生活1980~1981』(潮出版社,1981)

小型版の本だがハードカバーで箱入りである。

さらにその先の「はしごや」で鮭の切り身を2つ購入。

ジャーマン通りを駅まで戻る。

家の近所の専門学校のキャンパスの周り(いつもウォーキング&ジョギングをする場所)の桜が今日一日でずいぶん開花が進んだ。

でも、まだまだ満開ではない。明後日あたりかな。

穏やかな一日が暮れようとしている。

夕食はカレーライス。

もう冬のドラマはあらかた先週で最終回を迎えたので、しばらく食事をしながらドラマを観るということはない。今日は録画してある『モヤさま』(大井町周辺)を観る。

月夜の桜並木の下をウォーキング&ジョギング(3キロほど)。

風呂から出て、「ジェット・ストリーム」を聴きながら、今日に日記とブログ。

1時45分、就寝。


3月22日(月) 曇り時々小雨

2021-03-23 13:56:37 | Weblog

9時15分、起床。

グラノーラ(+牛乳)、サラダ、紅茶の朝食。

本日の『おちょやん』。父テルヲの死から5年が経ち、千代は30歳になっている。子供はいない。昭和12年12月。日支事変の始まった年の暮れである。「連戦連勝」の報に世の中は活気に満ちている。一人の少年が千代たち夫婦の前に現れる。

昨日のブログを書く。句会のあった日のブログは時間がかかる。入選句全部(今回は22句)にコメントを付けるからである。

途中で昼食休憩。「マーボ屋」に行く。

春キャベツとニラの回鍋肉をテイクアウトする。

味噌汁はインスタントで。

ごはんがススム君である。

ブログを書き上げてアップしてから散歩に出る。小雨が降っている。

「テラス・ドルチェ」に入る。

緊急事態宣言が解除されたので、恒例のジャズライブが復活するかもしれない。/

コーヒーで一服。

久しぶりにやってしまった。無銭飲食。鞄に財布を入れてくるのを忘れたのである。支払いのときに気づく。店主さんに告白すると、彼は他の客に聞こえないよう小さな声で、「いつでも大丈夫ですから」と言った。店を出て、しばらく歩いたところで(アーケードを出たところで)、傘を店に置いてきてしまったことに気づいて引き返す。財布を家に忘れ、傘を店に忘れる。Wの悲劇。

神は乗り越えられない試練を人に与えることはない。

帰宅すると知人から絵葉書が届いていた。このライン全盛の時代に絵葉書とは優雅である。絵は小倉真望「春暉十勝連峰」。

この切手を使いたかったのかもしれない。こんな図柄の切手があるのか。カフェ好きにはたまらない。

返信はもちろん絵葉書で。絵は奥村土牛「醍醐」。京都醍醐寺の枝垂れ桜を描いたもので、山種美術館で観ることができる。

夕食は鶏むね肉のソテー。

チーズと紫蘇の葉をはさんで。

食事をしながら『モヤモヤさまぁ~ず2』(録画)を観る。大井町周辺。

近所の「まいばすけっと」に菓子類を買いに行く(ガツンとみかん、アーモンドチョコレート、カレーせんは三種の神器なのだ)。徒歩一分なので、袋には入れてもらわず手にもって帰る。ただし、万引きを疑われて職務質問をされたときのためにレシートはもらっておく。

風呂から出て、『ジェットストリーム』を聴きながら、今日の日記とブログ。

さあ、寝ようかと思ったら、パソコンに不具合発生で対処に時間かかる。やれやれ。

2時半、就寝。

 


3月21日(日) 雨

2021-03-22 16:37:25 | Weblog

8時半、起床。

今日は終日雨の予報が出ている。風も吹くらしい。庭先の桜の見ごろは今日で終わりそうである。

桜にばかり目を奪われていたが、海棠も見ごろを迎えている。

下向きに咲いている点は熱川桜と同じだが、こちらは花弁がもっとしっかりしているから、今日の雨風で散ってしまうことはないだろうと思う。

トースト、ソーセージ&エッグ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

『桑田佳祐のやさしい夜遊び』をタイムフリーで聴きながら、昨日のブログを書いてアップする。

午後1時から隔月で開催している「いろは句会」(オンライン)。今回は第42回である。単純計算すると年6回であるから、もう丸7年続いていることになる。

今日の参加者(zoom)は7名。

画面の上段左側から、月白さん、私(たかじ)、主宰の紀本さん

中段左から、恵美子さん、さやかさん(選句のみ)、萬笑さん

下段は渺さん

今回の作品は30句。その前半15句。

読みも併記しておくので、わからない言葉があったら(けっこうあると思う)調べられたい。

後半15句。〇や✖が目に付くのは、今回の兼題が「丸・マル・〇」だからである。

読み方。

選句は一人5句。天(5点)1句、地(3点)2句、人(1点)2句である。

私は次の5句を選んだ(今回はかなり悩んだ)。

 天 〇✖をつけず保留の春の恋

 地 雪柳揺れさざめくは侍女の群れ

 地 鬼やらい打ち捨てられし聴診器

 人 なんとなく新生活です春爛漫

 人 風丸く光も丸くミモザ咲く

時節柄、明るく軽い作品を選んだように思う。

全員の選句の結果、以下の通り入選句が決まった。今回は票が分散した。

 10点(特選) 旅立ちの布団袋に春一番 あやこ

今回の特選句はあやこさんの作品。紀本さんとさやかさんが「天」を付けた。難解なところの何一つない句である。あえて一ついえば、この布団袋はすでに布団が入っているのか、いないのかということであるが、たぶん後者であろう。だから春一番に大きくたなびいているのであろう。風をいっぱいに受けて進む船の帆のように。あやこさんはzoomには参加していないが、投句の際の説明によると、娘さんの引っ越しを手伝ったときのことがモチーフになっているそうである。以前、私は「この街を離れんとして春の風」という句を詠んだことがある。大学の近くの「maruharu」というサンドウィッチのお店が閉まるとき店主のはるさんに贈った惜別の句である。新しい生活の始まりと春風というものは相性がよいようだ。

 9点 別人となりし母の手春寒し 月白

萬笑さんが「天」を付けた。「別人となりし母の手」というのは病気をされたのか、もしかして臨終の場面なのかと想像してしまったが、作者が月白さんと知って、施設に入られたお母さまを見舞ったときの句とわかった。季語「春寒し」との取り合わせは近すぎる(そのまま過ぎる)ように感じた。もっと中立的な、あるいは対照的な季語の方がよかったように思う。たとえば「春浅し」とか「春の服」とか。

 8点 辛丑(かのとうし)黄の初蝶に出会いたし 花

渺さんが「天」を付けた。2021年の干支は「辛丑」である。他の干支同様、60年に一度めぐってくる(ゆえに60歳を「還暦」という)。高浜虚子に「初蝶来何色と問ふ黄と答ふ」という句がある。モンシロチョウはなくモンキチョウなのである。たんにリズムからいって「白」よりも「黄」の方がよいというだけでなく、「幸せの黄色いハンカチ」ではないけれども、「白」よりも「黄」の方が気分を明るくしてくれるように思う。

 8点 〇✖をつけず保留の春の恋 月白

私が「天」を付けた。作者の説明によると、最初は「就活」をモチーフに作ろうとしたのだが、「恋活」に変えたという。私はこの句からいま流行の(というよりも広く普及し定着した)マッチングアプリを連想した。アプリに登録するとたくさん連絡が入る。その中からピンと来た相手とメールでのやりとりが始まり、さらにその中から「会ってもいいかな」と思える人と会う、という段取りを踏むわけだが、早々に一人の相手に絞り込むわけではなく、数人はキープ(保留)しておくというのは一種の生存戦戦略である。

 8点 人の子の群れその先に蛙の子 萬笑

蚕豆さんが「天」を付けた。「蛙の子」はオタマジャクシのことだろう。私はこの句を見たときに作者はたぶん萬笑さんだろうと思った(当たっていた)。なぜかというと、「その先に」という言葉で、近景と中景(遠景)を作品の中に取り込んで空間的な奥行きをもたせるという技法を彼女は好むからである。以前の句会のときの「しゃぼん玉ねこの小径の先の先」という彼女の句を私は覚えていた(選句した)のである。

 7点 益荒男のツーブロックや蝶とまる 犬茶房

私は誤解をしていた。「ツーブロック」が髪型(段差が出るような髪型)だということを知らなかったのである。男性がスーツの肩に蝶が止まっているのに気づかずにそのまま銀座通りをツーブロックほど歩いている情景を思い浮かべたのである。それはそれでいいんじゃなかとも思う。

 6点 雪原に五目並べの〇と✖ 蚕豆

蚕豆さんは旭川在住なので、季節感が東京や関西のメンバーとは違うということがわかる。「◯✖」という遊びがある。ノートに井桁「井」を書いてその中に交互に◯と✖を描いて縦横斜めに◯あるいは✖が三つ並んだ方が勝ちというゲームである。先手有利だが、後手がうっかりしない限り、たいてい引き分け(勝負付かず)に終わる。しかし、この句に描かれているのは、「◯✖」ではなく「五目並べ」である。長い戦いになりそうである。

 6点 仙涯の〇は右側春うらら 花

私は誤解をしていた。「仙涯」を中央アルプスにある山「仙涯嶺」のことだと思ったのである。その尾根の片側は傾斜が緩やか(◯)だが左側は危険(✖)という標識が立っている情景を思い浮かべた。しかし、この句の「仙涯」(「仙崖」と表記するのが正しいようである)は江戸時代の禅僧(画家)仙厓義梵のことで、彼の有名な作品にこういうものがあるのである。

 5点 切りかえて背筋伸ばせよ花辛夷(はなこぶし) 月白

 「背筋伸ばせよ」と花咲く辛夷の木にに呼び掛けているわけでない。自分自身に言っているのである。月白さんは物事を引きずって負の連鎖に陥りやすい性格だという(本人談)。ほんとですか! 人は見かけによらないものである。

 5点 曇り日の底に深紅のシクラメン たかじ

私の句。渺さんから「地」、蚕豆さんと萬笑さんから「人」をいただいたい。紀本さんからは「底に」が効いているという評をいただいた。「曇り日」と「深紅のシクラメン」だけでは平面的な色彩の対比にとどまるが、「底に」を加えることで、構図が立体的になる。「深紅」の「深」と共鳴して「深海の底」のようなイメージを生むだろう。曇天の日、玄関先のシクラメンを詠んだ写生句である。

 5点 龍のごと鯉跳ねて澄む春霞 萬笑

月白さんが「天」を付けた。豪華絢爛、錦絵のような作品である。

 4点 丸く盛る炒飯くずす山わらう 恵美子

昔、街の中華屋さんで出てくるチャーハンは大きなプリンの型ようなものを使っていた。いまはピラフのようなものが多いように思う。残念なことである。「山わらう(ふ)」との取り合わせは、「くずす」と反応して「山崩れ」のイメージを生む。

 3点 雪柳揺れさざめくは侍女の群れ 渺

私が選句(地)した。いまの時期、雪柳をよく見かける。たくさんの細い枝が風に揺れ動くさまを「侍女の群れ」とは言いえて妙である。きっとわがままなお姫様に仕えているのだろう。

 3点 丸善の檸檬のような夜のこぶし 萬笑

梶井基次郎の小説「檸檬」をモチーフにした作品。「ボン!」と音がしそうである。

 3点 風丸く光も丸くミモザ咲く 渺

兼題「丸」を使った作品。「丸を使って」と思うからこそ、「風」や「光」を「丸い」と形容することが可能になるのである。そうでなければ「やわらか」あたりで済ますところである。

 3点 紅白の梅のまじってかくれんぼ 紀本直美

背景にもよるけれども、一般に白梅の方が紅梅よりも目立つものである。まして白梅と紅梅が混じっているときはなおさらである。句の意味としては、かくれているのは紅梅の方である。

 3点 東北忌人の時間と原子の時と 渺

俳句では俳人や文人の忌日を季語としている。たとえば太宰治の命日(6月19日)を「桜桃忌」(太宰忌)というように。「東北忌」は個人ではなく東日本大震災(3月11日)で亡くなった人たちの集合的な忌日を季語としたものであるが、これには賛否両論あるようである。

 3点 鬼やらい打ち捨てられし聴診器 蚕豆

私が選句(地)した。「鬼やらい」は節分の豆まき(鬼は外!)の起源となった儀式で平安時代は大みそかにやっていたそうである。それにしても「打ち捨てられし聴診器」はシュールである。どういう状況を詠んだのか作者に問い合わせたところ、「医療崩壊です」との返事あり。

 1点 うららかにゾンビは叫ぶ昼下がり 犬茶房

あまり視聴率はよくないようだが『君と世界が終わる日に』というゾンビもののドラマをやっている。ゾンビはコロナの比喩なのだろうか。

 1点 なんとなく新生活です春爛漫 紀本直美

私が選句(人)した。先日、紀本さんとオンライン句会のURLの件でLINEでやりとりしていたとき、彼女が「4月から新生活です」と言ったので、「えっ?新生活?!」と尋ねたら、「新しいパソコンを買ったのでzoom頑張ります」とのことだった。なんだパソコンか(笑)。

 1点 雛あられ契らじ産まじ吾(あ)もかじり 犬茶房

結婚もしない、出産もしない自分も雛あられを食べているという句。自虐と諧謔がブレンドされている。

 1点 鬱鬱としていたとして百千鳥 恵美子

「鬱々とした気分でいたとしても(人間界とは関係なく)鳥たちは鳴く(自然界は独自の動きをする)」という意味らしい。

 1点 無人バス真冬の街を直進す 蚕豆

私は誤解していた。「無人バス」は「客の乗っていないバス」の意味らしい。私は本当の「無人バス」(運転手も乗っていない自動制御のバス)のことかと思った。「無人トラクター」はすでに実用化されているが、バスもそうなのかと驚いた次第。

次回の句会は5月16日(日)と決まる。

句会を終えて、雨の中、、昼食を食べに「プリミエールカフェ」へ行く。

ミートソースのスパゲティセットを注文する。

コーヒーと、

トーストとサラダが付く。

時刻は3時半。遅い昼食である。

食事を終え、お替りのコーヒーを飲みながら、昨日買った『将棋世界』4月号に目を通す。

「スリック」にも顔を出す。

時間はまだ4時半だったが、「CLOSED」の札が出ている。この雨でお客さんが少なかったのだろう。引き返そうとしたら、私に気づいたマダムが店の外に飛び出してきて、「先生、戻ってきて!」(シェーン、カンバック!)と叫んだ。

今日は全然お客さんが来なくて、テイクアウトが一人だけだったそうだ。つまりイートインの客は私が本日最初。昨日は猛烈に忙しかったそうだから、天候次第でずいぶん違う。キャラメルバナナのシフォンサンドを注文して、お茶はそれに合ったものをお任せで。ディルマ(紅茶会社)のエレガントアールグレーをチョイスして下さった。

キャラメルバナナは三度目だろうか。

支払いのとき、千円札+五百円硬貨を出そうしたら、私の財布をのぞいたマダムが「先生、小銭をたくさんお持ちですね」と言った。

五百円硬貨を引っ込めて、小銭をかき集めて、ぴったりで支払いをする。

雨はまだ降っている。

昨日をもって店仕舞した「ティースプーン」の前を通る。

我が家の桜は今日の雨でだいぶ散ってしまった。

部屋で『山下達郎のサンデーソングブック』をタイムフリーで聴く。

夕食は炒飯、薩摩揚、サラダ、ミョウガとかきたま汁。

デザートはデコポン。

食事をしながら『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』第8話(録画)を観る。あれこれのドラマが今週で最終回を迎える中、あと残り2回ある。始まったのが遅かったのと、地震で一回飛ばされてしまったからである。

9時から『天国と地獄~サイコな2人~』最終回をライブで観る。いつものように録画で翌日見ると、SNSなどで結末がわかってしまうかもしれないからである。最後、そうきましたか。

近所をウォーキング&ジョギング(2.5キロ)。

風呂から出て、『山下達郎のサンデーソングブック』をもう一度聴きながら、今日の日記とブログ(写真)。

2時、就寝。