昨日にひきつづいて、衣替えネタご容赦。トレンチコートは温暖な地方では防寒着として秋、冬、春先と着られることもあるようですが、こいつはただの雨具です(きつぱり)。防寒性能を期待してはなりませんし、ステイタスもウールのコートに比べたら明らかに劣る。各国首脳や大臣の集まりなどの映像がTVで写されるのをみておりますと興味深いです。欧米の大臣さんがたが分厚いウールの格式をうかがわせる「外套」をまとって公用車から降りてくるのに対して、ニッポンの大臣さんがペナペナのトレンチまたわレインコートを着て会場に降り立った時点で、すでに交渉には負けている、と思うのは私だけでしょうか?かように綿とウールの質感は際立って違うものです。そのあたりをおさえた上で着こなさないといけませんねえ。トレンチにはウールの裏地を装備したモデルも存在しますが、あくまでもバリエーションのひとつとしてとらえます。だいいち分厚い裏地などがはさまっていたのでわ、トレンチ名物のドレープ、つまりシワがプクプクしちゃいますからね~(爆)。
軍服としての歴史は他をご参照いただくとして(爆)、ここではその機能に根ざしたディテールを考察してみましょう。とはいっても画像は20年近く着ているラルフローレンのトレンチコート。いわずと知れたバーバリーとアクアスキュータムの2大双璧とは作りがかなり違いますがなにか(爆)。
まずは着丈がこれでもかと長い。Mサイズなのに120cmを優に超えてます。身長170ちょぼの私が着ますとそれこそカッパ並み(爆)。着丈が長い、ということはスタイリッシュである他に防滴性能にもすぐれるということですが、反面、動きが制限されるということでもあって、このトレンチの着丈というテーマはなかなか奥が深い。ただし、いまどきのひざ上トレンチだけはいけませんて。ま、好みのモンダイですがね。あれにスリムパンツときこり靴(爆)ときた日には・・・セレクト・ショップ系の包装紙を着て歩いているようなもんだと思います。個人的見解ご容赦。こいう軽さが今のファッションのノリなのだ、といえばその通りですが、永く愛用するのが前提のトレンチにほんのひとときのトレンドなんか持ち込んでも薄っぺらいだけでしょう(突き放す)。
トレンチのジョーシキといえる袖口のベルトとウエストベルト。ここのハトメ穴が金属ではなく糸で縫いつけられているのがどうやら高級トレンチの証しらしいです。ちなみにポロ製はしっかり金属の穴が開いてますがなにか(爆)。ポケットも手を入れてまっすぐに下ろすと普通のポケットなのですが、横っちょに手を伸ばしますと上着のポケットに到達するように穴が開けられている・・・そもそもは軍服の上から、現在ではジャケットないしはスーツを着た上に羽織るのが前提だというのも忘れてはいけません。トレンチにはエポーレットと呼ぶ、肩章装着用のタブがついていますが、これは肩幅を強調するのに効いています。下にジャケットを着ることでさらに肩幅が強調された結果、頭が小さく見える、という効能もついてきます。セーターの上にトレンチを羽織ってもどこか締まらないのはこのためです。また、このようにコートを脱ぐことなしに上着のポケットに到達できる機能をもつコートというのは他にはないです。このあたりに服好きはシビレるわけですね~。ちなみにポロの場合、この機能もなし(寂)。
さらに画像のチンフラップ。つまりはあごの部分を3角形の布で覆うことで雨滴の吹込みを防ぐ他に襟の後ろ側にゴツいステッチがかませてあって、襟は原則、立ててご使用ください、という造りになっております。このあたりのものものしさもまたタマランチ会長。トレンチの見どころのひとつはじつはこの立てた襟のステッチだと思うのわ私だけでしょうか?
トレンチコートの色は軍服由来だ、ということもあってカーキ系が中心ですが、このところブラックやらレッドやら、何でもありの様相を呈しております。個人的には画像のエッグシェルホワイト、つまり卵の殻の色が好みっす・・・あ、もちろん通勤電車でよく見かける玉虫色に光る(爆)グリーン・カーキだなんてえのも「枯れ」の演出としては秀逸というものでしょう(爆)。
去年あたりから異様に着丈の短いトレンチコートがはびこってきて、おまけにベルトを背中のところで「リボン結び」にしているイケメンを見かけることがよくあるのですが、もうね、蹴ろうか、と(うそ)。そもそも「雨具」なのですから、着丈が短かったらズボン濡れちゃいますからぁ~、ザンネーン(ギター侍はどこへいったのでしょう)!!
トレンチの着こなしの第一はベルトをギリリと締め上げることっす(きつぱり)!これさえはずさなければだいたい様になっちゃう。それもバックルにいちいち通すのはイマイチというものでしょう。無造作に結ぶ。これです!締め上げたウエストベルト周辺にできるシワをドレープと呼ぶのですが、このシワこそが男の勲章。ちなみに私の一着のベルトはもうヤレ過ぎてヒモみたいにねじれて、細くなっちゃってますがなにか(号泣)。
というわけで、そろそろトレンチコートの出番でございますよ~とひっぱりだしてみたのわよいのですが、なにやらヤレが目立ちますよ。よくみれば小さなかぎ裂きもあるし(涙)。首、裾ともにうっすらと汚い・・・刑事コロンボみたいだ~(懐爆)。ちなみに3番目の画像はわがトレンチ(爆)の襟のリアスタイル。ゴツくはないですが、印象的なステッチが施されているの図。全体にペナペナしたナイロンでできているせいで梅雨時などに多少ムレるのがあれなんですが、色と着丈、フンイキだけで20年間、ここまでやってきますた(爆)。
トレンチコートは着込んだほうが味わいが出る、というのはごもっとも。納得はしやすいのですが、着込んだ味わいとヤレは違うもののような気もするぞ・・・というわけで程度のよい本格派な一着を物色中(爆)。そりゃあ店頭で新品ポーンと、というのは理想ですが、とてもぢゃないが綿のコートとして考えたときには手の出るお値段ではないです。オークションで中古品を、などといったら亡き落合センセに笑われてしまいそうですが(爆)、中古品の実勢価格レベルですとあこがれのバーバリー+アクアスのオトナ買い(完全意味明瞭)もまんざら夢ではない。ユニクロもあるっちゃ、ありますけれど、ユニクロのトレンチを20年着て、愛着がわくのかい、となったときには、まあ有り得ない(爆)。
ところで最新トレンチ事情を調べるうちにバーバリーが中国縫製になってる事実やアクアスキュータムがレナウンに買収されてる事実を知って愕然とする昨今・・・ううむ、時代は変わるものですねえ(とほひめ)。ま、どこで誰が作ろうが王道トレンチの味わいは今後も変わらないでしょう。