文化逍遥。

良質な文化の紹介。

わたしのレコード棚―ブルーグラス、Flatt & Scraggs,

2011年06月19日 | わたしのレコード棚
 ブルースは食傷気味になってきたので、一回お休みして、ブルーグラス。世界中からおいしい料理が入ってきているのに食わず嫌いで、ひとつの物しか食べないのはもったいない。せっかくだから、いろいろと味わってみるのがいい。実際、音楽好きの人の中には自分の好みのジャンル以外は聞こうともせず、馬鹿にする人さえいる。特に、クラッシック音楽の愛好家にはその傾向が強いように思われる。わたしはクラッシックも聞くし、たまにはナイロン弦のギターで簡単な曲を弾くこともある。しかし、クラッシックのミュージシャンが「クラッシック音楽は世界共通の言語です」などと寝ぼけた事を平気で口にするのを聞くと憤りさえ感じる。その背後にあるのは異なる文化を理解しようともしない限りない傲慢と自己中心的世界観と言わざるを得ない。ブルース好きの人も又しかり。ブルーグラスのCDを薦めると「カントリーですかあ・・・」と、聞く前からいやな顔をする人に何度もあったことがある。しかし、その昔はジャンルなどはかなり曖昧だった。バンジョーだって今ではカントリーの楽器と思われているが、元はアフリカ起原と言われているし、ガス・キャノンのようなブルースのミュージシャンでバンジョーの名手もいる。誰が言い出したかは知らないが「音楽には良い音楽と悪い音楽の2種類しかない」というのはわたしの好きな言葉だ。先入観を持たずに異なる文化に接したいものである。前置きが長くなった、本題に入ろう。

Flattscruggs
 最近テレビのCMで[Home Sweet Home]が流れていて、懐かしくなってこのLPを聴き返してみた。やっぱり、いいなあ。レスター・フラット(Lester Flatt)のギター、アール・スクラッグス(Earl Scraggs]のバンジョー、ポール・ウォーレン(Paul Warren)のフィドル、ジョシュ・グレイブス(Josh Graves)のドブロ。いずれも名人技。出る人は出るべき時に出て、引く人は引くべき時に引く。みごとなアンサンブル。ほとんど世界遺産・・・はちょっと大げさかな。
 LPの解説には詳しい録音データは記されていないが、調べたところ録音は1961年らしく、このCBSソニーの日本盤は'76発売となっている。わたしが手に入れたのは'80年頃と記憶している。'95年にはCD化されたようだが、残念なことに今は廃盤になっているようで、アマゾンのリストにも中古のCDしか無い。短い曲が多く、12曲全体でも25分余りなのでCD化しにくい事もあるかもしれない。
 いつも言うことだが、歴史的録音は廃盤にならないように出し続けてもらいたい。そうしないと若い人たちは優れた音楽を継承できず、作られる音楽のレベルが下がってしまう。結果、質の悪い音楽しか無くなり、リスナーはソッポを向いてしまう事態になりかねない。現にわたしは、新しいCDを見つけにCDショップに足を運ぶことはほとんどなくなった。音楽業界は負のスパイラルの中に落ち込んでしまっているかのように見える。


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