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★★★☆☆
【Amazonの内容紹介】
パティシエになりたいという将来の夢を胸に、
高校生活最後の年を迎えた桃子。
でもその希望の前に、家庭の事情が大きく立ちはだかる。
夢をあきらめられる?それとも?
短歌甲子園をめざす高校生たちの青春小説!
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シリーズ1作目の感想で
>シリーズ3作目の一部を仕事で読んだことがあって、
>合わなさそうだ……と思っていたのだけど、
と書いたとおり、最初にこの3作目を読んだせいで
シリーズに嫌な印象がまとわりついていた。
そのときは本当に一部しか読んでいなかったのだけど、
実際、この3作目は好きになれない。
無理にシリーズの中に組み込もうとしたせいで
不自然さが生じている。
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1・2作目の形式を踏襲して「日記」パートがあるんだけど、
これ、なくてもいいよね?
これまでと違って視点人物と日記の書き手が同一人物なので、
日記にしなくても主人公の考えていることは
地の文に組み込める。
「日記とそれ以外のパートが同時進行することで
事実が明らかになっていく」という効果もないし。
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先にストーリーありきで展開していくせいで、
1・2作めで固まってきたキャラクターと
ブレが生じている。
主人公・桃子が(キャラが定まりきっていない感がありながらも)
1・2作めでそれなりの成長を遂げているのに、
また逆戻り……というか、前よりひどくなっている。
「どうして隠すんだ」「どうして根回ししないんだ」と
「ストーリーのために演出された愚鈍さ」に
イライライライラ……
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これはシリーズの宿命だと思うんだけど、
その巻で必要のない登場人物にも触れなければならないため、
話が散漫になりがち&キャラクターの掘り下げができなくなる。
今回は、2作目で出てきた友郎の掘り下げが
あったくらいじゃないだろうか。
違う学年の子を主人公にするとか、
別の学校を舞台にするとかすれば、
上記1~3の欠点は生じなかったんじゃないのかな……。
重朗さんのエピソードと主人公・桃子の悩みが
うまくリンクしていなくてちぐはぐだったのも気になった。
そして、展開上特に必要もない選考委員の描写が多いと思ったら、
実在の取材相手がモデルだったんか……。
読者にはいらんサービスだったわ……。
1作目は本当におもしろかったし、
3冊通して短歌の良さも伝えてくれる作品だったので、
最終巻の失速が本当に残念。