金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

115:カレン・キングストン 『ガラクタ捨てれば自分が見える』

2007-10-12 09:51:54 | 07 本の感想
カレン・キングストン 『ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門 (小学館文庫)
★★★☆☆

昨年から「捨て熱」におかされているわたし。
お片づけブログを見ていると、
この本が頻繁に取り上げられているので
なんだろう……と思っていたのだけど、風水だったのね。
この本が「捨てる」ブームのさきがけだったりするんでしょうか。
Amazonのレビューの多さにびっくらこいた!

似たような内容の本をすでに何冊か読んでしまったので
インパクトは薄く、「気」だとか「エネルギー」だとか、
スピリチュアルな内容には「うーん?」といったところだけど、
捨てるぞ~!!という気にはなります。
玄関の位置から、自分の家のどこが人生の何を司っているのかを
調べる「風水定位盤」というのがついていたのだけど、
わたしの家の物置は、「健康、結合」にあたる場所らしく、

「ここに『ガラクタ』がある人は、健康を害しやすく、
意義のある人生目的を見失います。」


だって!


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114:斉藤光政 『偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件』

2007-10-11 21:18:35 | 07 本の感想
斉藤光政『偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件』(新人物往来社)
★★★★★


「東日流三郡誌(つがるそとさんぐんし)」って
ご存知でしょうか?

青森県五所川原市の一民家の天井裏から「発見」され、
東北地方の知られざる歴史が書かれているとして
青森県を中心にひと騒動巻き起こした文書です。
騒動のあった十五年前、わたしは中学生だったのもあって
リアルタイムではまったく知らず、
その後、東北史関連の本で、名前とおおまかな内容、
偽書とされていることを知った程度。

本書は、この事件を追い続けた東奥日報の記者による
ドキュメンタリー。
おもしろくて一気読み!!
著者とともに事件を追っていくようなドキドキ・ワクワク感が
味わえます。
こうして経過とからくりを見れば、その荒唐無稽さに
「なぜだまされる?」
と思ってしまうのだけど、地元の人間としての
歴史的な認識・心情を持っていたら、
やっぱりだまされちゃったかもなあ……。

古田氏の立場がその後どうなっていったのか気になります。


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113:浅田次郎 『中原の虹〈3〉』

2007-10-02 13:49:05 | 07 本の感想
浅田次郎『中原の虹 第三巻』(講談社)
★★★★☆

西太妃の死後、皇族内閣によって追放された袁世凱が、
相次ぐ革命勢力の蜂起を押さえるため、奉天に呼び戻された。
復帰した袁世凱は、幼少の宣統帝に対し、
自らを新たな内閣の総理に任命するよう要求する。
一方、王永江を取り込んで政治的な能力を補った張作霖は、
東北地方で一大勢力を形勢するに至る。

*********************************************

西太后の死後、とうとう宣統帝が退位。
袁世凱はしぶとく頑張ってるし、
張作霖も勢力を伸ばしているのだけれど、
前巻のドラマチックな展開の後始末というのか、
それぞれの思惑がからみあいながら
地味ーに話が進んでいく印象。
徐世昌、趙爾巽といった地味なエリートの活躍が
目立ちます。
浅田次郎はスーパーエリートが好きだよね。

西太后の亡霊が降りてきて、溥儀に喋らせるという展開には
やや白けてしまいましたが、清王朝の終焉は感慨深い。
あと1巻で完結なのか……。

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112:乙一 『天帝妖狐』

2007-09-30 19:32:30 | 07 本の感想
乙一『天帝妖狐 (集英社文庫)
★★★★☆

【収録作品】
・「A MASKED BALL」
・「天帝妖狐」

蔵書整理のため、久々に再読。
わたしは乙一の描く悲しみとかせつなさを
「うまいなあ」とは思うのだけれど、
なぜか心に響かず、泣いたりはできないのです。
暴力とかグロテスクな描写も苦手だし。

そんなわけで、少年時代のこっくりさん体験から
人間の体を奪われ、人目を避けて生きる男の悲しみを描いた
「天帝妖狐」もいまいち入り込めず……。

「A MASKED BALL」は学園ミステリー。
伝言板のように書き込まれる学校のトイレの落書きを
発端とした事件の数々と、その顛末が描かれ、
うっすら怖い。
宮下さんのキャラクターなんていかにもライトノベル的なのだけど、
とぼけた味わいがあって、単純に楽しめます。
乙一作品の中では『暗いところで待ち合わせ』の次に好き。

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111:浅田次郎 『中原の虹<2>』

2007-09-28 19:03:04 | 07 本の感想
浅田次郎『中原の虹 第二巻』(講談社)
★★★★☆

自分の死後、幽閉されている光緒帝が担ぎ上げられ、
国が植民地となることを憂う西太后。
テレグラムによる光緒帝とのやりとりから、
彼女は悲壮な決意を固める。
次の皇帝をめぐるさまざまな思惑が入り乱れる中、
「政治的天才」西太后は、袁世凱の策略も越えて
「手垢のついていない」幼少の溥儀を次の皇帝に指名する。

************************************************

そういえば春児の妹は梁文秀と結婚したんでした。
と、はっきり言われてようやく思い出しました。
もうほんと、『蒼穹の昴』も『珍妃の井戸』も
記憶の彼方……。
もう一度読み直してからこれを読んだほうが
おもしろいかも。
蘭琴の存在もすっかり忘れてたし。

西太妃も光緒帝も春児も、無欲で美しすぎるだろう!
と思いながら、やっぱり泣かされちゃうんだなあ。

そしていよいよ溥儀の登場。
映画『ラスト・エンペラー』は見たいと思いながら
いまだ見ておりませぬ。

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110:浅田次郎 『中原の虹〈1〉』

2007-09-25 12:55:58 | 07 本の感想
浅田次郎 『中原の虹 第一巻』(講談社)
★★★★★

満州の覇者になると占い師から予言された張作霖。
馬賊の頭目となった彼は、手下となった春雷とともに
永陵に足を踏み入れ、乾隆帝が隠したといわれる
中華皇帝の証「龍玉」を手にする。
正気を失ったはずの光緒帝から「龍玉」の存在を
知らされた袁世凱も、その行方を追うことになるが……

*****************************************************

友だちが貸してくれました。久々の浅田次郎。
『蒼穹の昴』から話はつながっているのだけど、
あれ読んだのってもう6年くらい前なのでは……
うろ覚えではあったのだけど、読み進めながら、
「あ、この人出てきてた!」
と思い出していました。

前半で張作霖が持ち出した「龍玉」は偽ものなんですね。
あっちこっちで予言しすぎだろう占い師の婆さん
この人があの人になって、これはこういう意味で……と
予言のヒントから推測するのは楽しいのだけど、
張作霖のたどる運命はわかっているだけに、
最初からすでに切ない。
歴史の切り取り方や任侠なエピソードは
浅田ワールド健在といった感じで楽しめ、一気読み。
二巻が楽しみです。

しかし、『蒼穹の昴』でも思ったのだけど、
西太后のキャピキャピな語り口だけなぜだかものすごく違和感。
好きなんだけどね。

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109:川上弘美 『なんとなくな日々』

2007-09-18 23:02:38 | 07 本の感想
川上弘美『なんとなくな日々』(岩波書店)
★★☆☆☆

エッセイ集。
わたしはわりと起伏のない文章にも抵抗がなく、
川上さんのエッセイも何冊か読んでいるのだけれど、
なぜかこれはまったくダメでした。
ふわふわゆるゆるした日常の何気ないあれこれを書いていて、
ほかのエッセイと何が違うのかよくわからないのだけれど、
最後まで読み通すのがつらかった……。

でも映画『シベールの日曜日』はいいよね!!

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108:日明恩 『そして、警官は奔る』

2007-09-10 14:19:25 | 07 本の感想
日明恩『そして、警官は奔る』(講談社)
★★★★☆

デビュー作『それでも、警官は微笑う』の続編。
蒲田署に異動になった武本は、署内で疎まれている和田と
コンビを組むことになった。
一人暮らしの男の家から女の子の声がするとの通報から、
武本は不法滞在外国人の子どもの人身売買を追うことになり、
キャリア組として入庁の決まった潮崎とも再会を果たすが……

***********************************************

ううっ、わたしの苦手な幼女暴行ネタ……。
和田の過去といい、結末といい、
ずーんと気持ちが重くなるようなエピソードが満載ではあるものの、
おもしろかったです。
しかし前作に比べれば少なくなってはいたけれど、
「調べました!」って感じの説明部分はやっぱり浮いている。
こんなふうに薀蓄っぽく書かなくても、
ストーリーに支障はないのでは?と思うのだけど……。

おぬしの生理はどうなっとるんじゃい!
と下世話なツッコミを入れつつ、
不自然なくらい硬派な主人公には好感が持てます。
ラストの小菅さんにはほろっと来てしまいました。

偉そうな佐藤の態度については、なにか理由があると思っていたのに
特に説明もされず、そこのところはもやもや~。

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107:大橋芳子 『エプロンメモ〈2〉』

2007-09-05 11:04:25 | 07 本の感想
大橋芳子『エプロンメモ〈2〉』(暮しの手帖社)
★★★★☆

季節の装いやおもてなし、料理や掃除、リサイクル。
『暮しの手帖』で連載されていた、日常生活の中の
ちょっとした思いつきや工夫を集めた「エプロンメモ」を
まとめたもの。
ファッションに関するものは、まあ、昔の奥さんだなあ……
といった感じで、いまのわたしには真似できそうもありませんが、
料理のミニレシピは役立ちそう。
手元に置いておいて、ちょっとずつ読みたい本です。

表紙の装丁は編集長であった花森安治によるもの。
この人……最近になって名前をよく目にするようになったのだけど、
一度きちんとこの人に関する本を読んでみたいなあ。

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106:芥川龍之介 『侏儒の言葉』

2007-09-03 16:01:19 | 07 本の感想
芥川龍之介『侏儒の言葉』(岩波文庫)
★★★☆☆

芥川が死までの4年間に綴った箴言集。

ひとつひとつが短いので気軽に読めるし、
通勤時間が短いときにうってつけ……と思ったのだけど、
社会や文壇に対しての冷笑や憎しみに満ちていて、
ちょっと毒が強かった。
短いわりに、なんだか読んだことで
エネルギーを削ぎとられてしまったような感じ。
芥川のクールで皮肉屋ない一面が堪能できる一冊ではあります。
死についての言及があちこちに出てきて、
書かれた時期を考えると気が滅入ります。
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