金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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大河ドラマ「 鎌倉殿の13人」♯39

2022-10-16 22:27:02 | 22 本の感想
第39話「穏やかな一日
 
おい、何が「穏やかな一日」だ。
タイトル詐欺すぎる!!
 
 
今回の小四郎は、ただの自己中野郎。
 
・「私のすることに口出しするな」と主君に向かって面と言う
 
・和田義盛を国司につけるのは反対したのに、
 自分とこの家人を御家人にしろと言い出す
 
・要求を断られたら、年若い主君に、
 「もう何にもしてやらない。一人でやれば~?」
 
・これまでなんだかんだで献身的に協力してきた平六に
 「俺の一族の権利は手放さないけど、お前らは手放せよ。
 いいよな?」
 
これ、実朝サイドから見ても、平六サイドから見ても、
完全な悪役だろ……。
『平清盛』も終盤、主人公が闇落ちしてたけど、
あれは本当に「徐々に」といった描き方だった。
しかし、今回はいきなり。
前回までは、まだ「正しくない政をただす」という目的が明確だったが、
いきなり自分本位で権力を振るい始めた。
 
 
小四郎が悪役にジョブチェンジしたので、
今回は実朝が主人公ポジション。
泰時に結婚生活や妻のことを重ねて尋ねていたし、
彼を見つめる目の描き方から、匂わせはあったけれど、
今回で確定。
でも言葉としてはっきり「女を愛せない」的なことを言わせておらず、
制作サイドがかなり慎重に描こうとしているのは感じた。
妻とは仲が良かった様子なのに子はできず、
二十代後半になるまで側室がいた気配もなかった、
というところから、
「妻との間に性交渉がなかった」
という設定の小説はいくつか読んでいたし、
以前から匂わせもあったので、驚きはなし。
配慮を感じる描き方だったし、千世ちゃんにだけ打ち明けて、
妻との絆ができるという展開もよかった。
小四郎が北条の家人を御家人にしろと実朝にねじ込んで拒絶された、
というエピソードを、泰時への片想いと鶴丸への嫉妬と
リンクさせたのも本当に上手い。
 
泰時、
「意味もわからまま、『返歌』できないとか言っとったんか!!」
というツッコミどころはあったが、
彼も人の心がわからんわけではないのよね。
鈍感すぎて気づかずに
「歌、間違って渡してますよ」
って言ったわけじゃなく、実朝の気持ちに気づいたうえで、
相手のメンツを傷つけずに「受け入れられません」を
伝えたのであった。
気づいてなかったら、源仲章に「だれからもらった歌?」って訊かれたときに
「御所が間違えちゃったみたい」くらい言ってたよね。
一人で酒飲んでるシーンも、気づいてたからこその
苦しみのシーンだったのだろうし。
千世→実朝→泰時の一方通行の恋心が切ないよ~。
 
 
【その他いろいろ】
 
・「こんばんは、徳川家康です」形式で登場する長澤まさみ。
 
・小四郎の前では子どもを抱いてたのに、いなくなったとたん、
 侍女に子どもを預けちゃうのえ。
 「小四郎も太郎も辛気くさい」
 「私なんて欲が服着てるようなもの」
 と初にはぶっちゃけトークしてるのね。
 バレそうなものだが……。
 
・朝時、登場!
 嫁にすると嘘ついて女房をたぶらかしたあげく、
 兄の力で相手を鎌倉から追い出そうとか、 
 いいとこなしだな、お前……。
 ドラマ内では父親に義絶されなかったみたい。
 
・藤原定家出た!!(名前だけ)
 
・また仲章にいじめられた三善殿を慰める実朝、
 優しい。
 
・八田殿も、小四郎には頭来てるんやな。
 
・大江殿、今日も黒いですな~。
 
・さすがに平六も小四郎に怒り心頭。
 本当に、今まで一方的に友情を搾取されてたようなもんだもんな。
 
・4年間を45分でダイジェストにしてるからというのもあるが、
 実朝の成長をしっかり描いてる。
 鶴丸への嫉妬に駆られいたとはいえ、ちゃんと小四郎の非を衝いたし、
 脅しに屈したとはいえ今後のことを考えて
 折れるだけの冷静さも持ち合わせてる。
コメント (2)
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257-269:石田スイ『東京喰種トーキョーグール〈1〉~〈14〉』

2022-10-09 18:24:21 | 22 本の感想
石田スイ『東京喰種トーキョーグール〈1〉~〈14〉』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
“東京”には、或るひとつの「絶望」が潜む…。
群衆に紛れ、人間を狩り、その死肉を喰す怪人、
人はそれを「喰種(グール)」と呼ぶ。
青年が怪人に邂逅したとき、数奇な運命が廻り始める──!
 
****************************************
 
「人間サイドの主人公だと思ってた人が死んじゃった、
これからどうするの!?」
 
と思っていたら、
 
「え、これで終わり!?!? 正気か!?!?」
 
後で調べたところ、どうやら新編もあるようで、やや安心。
 
普通の人だった主人公が、ひょんなことから
大きな力を手に入れ……という導入は、
少年漫画でよく見かけるものだけれども、
「人間を食べる側」になってしまうというのが
他にはないドラマをもたらしていたように思う。
「これだけ出せば、誰かひとりお気に召す奴がいるでしょ!」
というジャンプ商法でキャラクターがどんどん出てくる。
この漫画、タイトルしか知らなかったんだけど、
有馬さんとか絶対人気キャラじゃん……とわかる
ツボの押えよう。
 
 
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256:深山くのえ『色にや恋ひむ ひひらぎ草紙』

2022-10-09 17:58:11 | 22 本の感想
深山くのえ『色にや恋ひむ ひひらぎ草紙』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

後宮で複雑に絡み合う恋を描いた平安恋草紙。

同じ屋敷に暮らす妹に婚約者を奪われてしまった淑子。
公卿である父親が勝手に決めた相手だったとはいえ、
妹は恋の勝者と勝ち誇り、
女房たちは腫れ物に触るような態度をとってくる。
厄介な状況に疲れ果てた淑子は、家を出て、
典侍として後宮で働こうと決めた。
そして月日がたち――生真面目な淑子は、
愛嬌がなくて刺々しい『柊の典侍』だと煙たがられながらも、
いまや後宮を仕切る立派な典侍に成長。
女同士の争いが日常茶飯事な後宮で、
揉め事解決になくてはならない存在になっていた。
ある日、典侍として仕事上のやりとりが多い五位の蔵人に、
二人の新任者がやってくる。
そのうちの一人が妹の夫となった元婚約者だと知り、
憂鬱になる淑子。
彼と顔を合わせないようにと願いながら蔵人所に向かった淑子は、
もう一人の新しい蔵人、源誠明と対面する。
誠明は、東宮の嫡子でありながら臣籍降下した人物。
宮中では難しい立場の誠明だが、
なぜか淑子のことをよく知っている様子。
そのうえ、誠明は唐突な言葉を淑子に告げた。
私と、結婚してください――。
後宮を舞台に複雑に絡みあう恋を描く、深山くのえの平安恋草紙!

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初めての作家さん。
少女小説のレーベルにいた方なのね。

しっかり勉強して書いているのがわかるし、
政争にまつわる設定も作り込んである
(モデルはあのあたりの時代かな~と考える楽しみも)。
特に夏実周辺の会話が現代寄りすぎて
そこがもったいないなあと思うのだけど、
仕事のできるヒロインと、実直なヒーローの
キャラクターも好ましく、楽しめた。

政争にまつわる作り込みがしっかりしている割に
そこが本筋にはあまり絡んでいなくてもったいないと
思っていたのだけども、
どうやらシリーズものであるらしいので、
他の作品を読むのが楽しみ。

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255:伊坂幸太郎『ホワイトラビット』

2022-09-30 22:04:16 | 22 本の感想
伊坂幸太郎『ホワイトラビット』
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

兎田孝則は焦っていた。
新妻が誘拐され、今にも殺されそうで、だから銃を持った。
母子は怯えていた。
眼前に銃を突き付けられ、自由を奪われ、
さらに家族には秘密があった。
連鎖は止まらない。
ある男は夜空のオリオン座の神秘を語り、
警察は特殊部隊SITを突入させる。
軽やかに、鮮やかに。
「白兎事件」は加速する。誰も知らない結末に向けて。
驚きとスリルに満ちた、伊坂マジックの最先端!(解説・小島秀夫)

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めちゃくちゃ久しぶりの伊坂幸太郎。
読み進めながら、
「そうだった、そうだった、こういう作風だった」
と思い出す、ユーモアを含んだ軽妙な会話とどんでん返し。

登場人物が多く、設定が入り組んでいるので
途中で中断すると設定を忘れてしまい、
もう一度読み返す羽目に。

綿子ちゃんが経理の女なのかと思ってた!


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254:森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』

2022-09-30 22:00:28 | 22 本の感想
森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

身長2メートル超のマッチョなオカマ・ゴンママ。
昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通うスナックを営む。
名物は悩みに合わせた特別なカクテル。
励ましの言葉を添えることも忘れない。
いつもは明るいゴンママだが、突如独りで生きる不安に襲われる。
その時、ゴンママを救ったのは、
過去に人を励ました際の自分の言葉だった。
笑って泣ける人情小説。

****************************************

決してつまらないわけではなく、
じーんと来る話も多いのだけども、
なぜかなかなか読み進められず、
読了までに時間がかかってしまった。

バーが舞台で、
「マスターがちょっといいこと言ってお客の悩み解決」
みたいな話はたくさんありそうだけど、
舞台は店よりもジム、というのがちょっと珍しい。

文化圏が違うはずなのに、
仏教の「阿吽」とキリスト教の「ΑΩ」が、
双方、初めの文字と終わりの文字から出来た言葉で
意味も共通しているのがおもしろい。

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241~253:うめ『大東京ボックス』シリーズ13冊

2022-09-23 16:03:20 | 22 本の感想
うめ『大東京ボックス〈1〉~〈10〉』 
   『東京トイボックス〈1〉・〈2〉』
    『大東京ボックスSP』
 ★★★★★

【Amazonの内容紹介】

ゲームクリエイターを目指す元気な関西娘・百田モモ。
かろうじて採用されたのは、あの天川太陽のいる
ゲーム制作会社・スタジオG3。
そこで企画見習いのモモを待ち受けるのは、
夢と現実の違いを痛感させられるリアルな修業の日々だった――!
面白いゲームのことしかアタマにない年中無休のゲームバカ・太陽、
キャリアだが隠れた趣味を持つ月山星乃ほか、
個性豊かなアイツらが、今日もアキバの片隅でゲーム魂を燃やす!

****************************************

名前は聞いたことがある漫画だ……
と思って読み始めたのだけども、
シリーズ展開していることに気づかなかった。
最初、『東京トイボックス1・2』→
『大東京トイボックス〈3〉~〈10〉』
の順で読んでしまい、
「いきなり出てきたこの子、何?? 人が覚えられん!」
と混乱してしまった。

ゲームにも、ゲーム業界にも全然詳しくないけれど、
それでも面白かった。
敵の本当の正体は早いうちに見当がついてしまったけれど、
その敵が最後に見せる愛も、
その立場ゆえのものだと納得がいくものだった。
序盤に敵として出てきた人も、真の敵の登場に霞むことなく
最後に活躍してくれたところがいい。



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238-240:板東いるか『廓源氏〈1〉~〈3〉』

2022-09-23 15:51:27 | 22 本の感想
板東いるか『廓源氏〈1〉~〈3〉』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

葵の上、六条、夕顔……
『源氏物語』の女たちが江戸・新吉原の娼妓として
苦界を生きる――。
性調教され続ける新入り女郎!
娼妓が恐怖する地獄の仕置き!
性の快楽にむせび泣く花魁! 
血まみれ童話と残酷実話の狂い咲き!

****************************************

絵がすごく上手い!!

この「まんがグリム童話」シリーズって、
残酷&エロで売ってるんだろうか。
Kindle unlimitedで知ったものの、
全然好きじゃないわ~って作品が多いのだけど、
この『廓源氏』は、絵だけで無くストーリー、構成含めて
漫画としての出来が突出して良い。

廓用語をばんばん使っているせいで
かなり読者をふるい落としそうなんだけど、
源氏要素がなくても、花魁ものとしてレベルが高いと思う。
末摘花の話がいちばん好き。

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228-237:最近読んだ漫画

2022-09-20 19:28:54 | 22 本の感想
 おつじ『いびってこない義母と義姉』

やっぱり悪い人が出てこない優しい世界はいいね。
最近とみにそう思う。
嫌いになりようがない。


 椿いずみ『月刊少女野崎くん1』

あれ?? と戸惑うほど入り込めなかった……



 信吉『漫画方丈記 日本最古の災害文学』

方丈記の原文も載っているのだが、
こんな短い作品だったんだな。



 本田『ほしとんで01 ~5』

再読。やっぱりとても良い漫画。
詩歌の面白さを堪能できる。


週末北欧部 chika 『北欧こじらせ日記』

作者さんの行動力すごすぎる。
そして、「好き」って尊いね。

登場する人がいい人ばかりなのは、
きっと作者さんの人柄が
そういう人を集めているんだろうな。


 葉月つや子
『まんがグリム童話 艶聞源氏物語 まんがグリム童話
 艶聞源氏物語』

登場人物の言葉遣いも振る舞いも、
やんごとなき血筋とはとても思えない下品さなのだが、
藤壺視点でまとめたのが見事。
王命婦にスポットライトをあてたのもよい。


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217-227:最近読んだ本(記録のみ)

2022-09-20 19:25:22 | 22 本の感想
 『眺めるだけでワクワクできる 彩る手帳アレンジ』


 『天然生活 2022年 08月号』

 『天然生活 2022年 06月号』

 『天然生活 2022年 07月号』

 『別冊天然生活 暮らしのまんなか vol.33』

 『別冊天然生活 暮らしのまんなか vol.34』

 『暮らしのまんなか vol.32』

 『サルビア給食室の毎日のおやつ手帖』
 『東海さんぽ旅』

 『日帰りウォーキング 東海(2023年版)』

 『見て楽しむカフェ風景 [ 東海 CAFE BOOK ] vol.1 気軽にカフェトリップ!: 東海地方のカフェ風景を集めました。(岐阜・愛知・静岡・三重)』
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216:森下えみこ『ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく名古屋』

2022-09-18 17:37:51 | 22 本の感想
森下えみこ『ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく名古屋』
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

ご当地グルメコミックエッセイ第9弾は、名古屋!
味噌カツ、どて、手羽先、ひつまぶし…
王道の茶色系から知られざるグルメまで、
どえりゃーうみゃー名古屋グルメを森下えみこが食べ歩き!

****************************************

思いがけず読み応えがあった。
あえて「一番手の有名な店」を外しているだけあって、
知らない店がほとんどだったし、
「たまり醤油」
「店の看板についているパトランプ」
が東海地方や名古屋に特有のもの、というのも知らなかった。

千種正文館も店長さんと一緒に紹介されていた。

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