金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

295:河村恵利『時代ロマンシリーズ2 清水鏡』

2022-11-11 18:24:19 | 22 本の感想
河村恵利『時代ロマンシリーズ2 清水鏡』
★★★★★
 
【Amazonの内容紹介】
 
木曾義仲の子・義高と源頼朝の娘・大姫は幼い恋をするが、
そんな二人を非情な歴史が引き裂く!!
「春宵(しゅんしょう)」「血の涙」「さめない夢」
「百の花 千の花」「ふしぎ野行き」を収録。
 
****************************************
 
この巻も紙で持っていて、全部覚えている。
作品作品、全部よいのだけども、
「さめない夢」が特に印象的。
父と息子、父の再婚相手である幼い妻の幸福な日々、
父の病死による離別、
訪れた義理の息子を、死んだ夫と認識する妻……と
めちゃくちゃ切ないのであった。
秀頼と千姫の関係を描いた「百の華 千の花」でも、
泣いてしまう。
 
【収録作品】
 
「清水鏡」源義高と大姫
「春宵」足利直義とその妻
「血の涙」遠藤盛遠と袈裟
「さめない夢」藤原基実・基通と平盛子
「百の華 千の花」豊臣秀頼と千姫
「ふしぎ野行き」平教経 タイムスリップもの?
 

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294:河村恵利『時代ロマンシリーズ1 ささめごと』

2022-11-09 11:18:05 | 22 本の感想
河村恵利『時代ロマンシリーズ1 ささめごと』
★★★★★
 
【Amazonの内容紹介】
 
遠い昔、平家の御曹司・平資盛と右京は互いに
淡い恋心を抱くのだが…。ハートフル歴史ロマン!
 
****************************************
 
25年くらいぶりに再読。
これは紙の本で持っていて、繰り返し読んだから、
話を全部覚えている。
初期のころは有名どころを扱っていて、
読んでいるこちらにも付随する知識の蓄積があるから、
非常にエモーショナルに感じる。
 
わたしが「藤原定家」を初めて認識したの、
この漫画でだったのだ。
右京大夫の母と定家の父がかつて男女の関係で、
定家と隆信は異父兄弟、隆信と右京大夫は男女の仲……と
ここらへん、関係が濃すぎておもしろい。
 
あとは、日野富子とお今の関係の描き方に
衝撃を受けたのを覚えている。
 
足利直義、最初の出会いが大河ドラマの高嶋政伸だったため、
その呪縛から抜け出せないのだけれども、
第一印象がこの漫画だったら絶対好きになっちゃっただろうな。
 
【収録作品】
 
「ささめごと」右京大夫と平資盛
「霧雨雨情」義経と静、頼朝
「見果てぬ夢」日野富子と今参局
「雨の糸」足利尊氏と直義
「火炎」足利尊氏と直義
 

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290~293:大和和紀『イシュタルの娘~小野於通伝~〈13〉~〈16〉』

2022-11-06 18:27:30 | 22 本の感想
大和和紀『イシュタルの娘~小野於通伝~〈13〉~〈16〉』
★★★★★
 
【Amazonの内容紹介】
 
「うわさにたがわぬおもしろき娘よ」と信長にも愛された
娘・小野於通(おの・おつう)。
於通を知らずして戦国は語れない!! 
大和和紀が初にして待望の戦国ロマンのヒロインに抜擢したのは、
小野於通――!! 
その輝きはあたかも戦国の闇を夜明けに導く明けの明星――
信長に見出され、秀吉に重用され、家康に信頼された才女、小野於通。
その知られざる生涯を大和和紀が描く本格戦国ロマン!!
 
****************************************
 
うお~! ついに最終巻!
生きた時期も重なっているし、主人公が文化人であり、
その死までを描いているという共通点もあって、
『へうげもの』と似た読後感。
テイストは全然違うんだけどね。
本作は東福門院和子の入内後まで扱っていて、
かなり長い時期を描いているため、
余計に「生き抜いた」感がある。
 
お通が最後まで聡明で、相手の非道な行いに対して
たしなめたり抗議したりはするんだけども、
乱世を生きてきた者同士ゆえの理解があるのか、
決して相手の生き様を否定しないところがよい。
 
終盤、お福の出番が増えて、
悪者にされすぎてる感はあるのだけども、
明智光秀に従っていた父を失い、公家のもとに身を寄せ、
不幸な結婚をし、自らの才覚で世を渡っていった……と
お通とお福には共通点が多いのだな。
 
茶々とお江与もそれぞれに欠点と美点があって、
馬鹿にしたり腹を立てたりといった確執はあれど、
憎めない、という姉妹の関係がよかった。
茶々の最後、治長に
「わたくしはまだ美しいか?」
と訊くシーンにも涙……
 
 

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289:高橋克彦『時宗 巻の壱 乱星』

2022-11-02 10:58:15 | 22 本の感想
高橋克彦『時宗 巻の壱 乱星』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
国を守り抜いた男を描く渾身の歴史巨編。
源頼朝亡き後、北条氏に権力が移り抗争が続く鎌倉。
若き北条時頼は、病に臥した兄の執権・経時に、
棟梁になれと告げられた。
北条を継ぐ者に安寧はない。地獄の道だ――。
内部闘争に血を流しても、国のあるべき姿を求めねばならぬ。
武家政治を築いた父子を描き、「国を守るとは」を問う巨編、
ここにはじまる。(講談社文庫)
 
****************************************
 
読んだのは単行本版。
 
そういえば、大河ドラマ『北条時宗』は早々に脱落したのだった、
時頼の時代の話を読みたいな……と思って図書館で借りた
(すでに紙書籍は手に入らない)。
 
1巻の主役は時頼で、時宗は終盤にようやく生まれたところ。
宮騒動から宝治合戦、摂家将軍から親王将軍への切り替えの構想、
までで終了。
たまたま「鎌倉殿」関連で北条氏の本を読んだから
理解が出来、おもしろく読めたけれど、
鎌倉幕府や北条氏に関して、
ある程度の知識がないときついと思う。
特に北条氏庶流の面々については、
前提知識がないと、誰が誰やらわからないのでは??
系図くらいほしかったね……。
 
毛利光季が三浦と運命をともにする覚悟を決めるまでの
場面は涙・涙。
文官たちの家系も、この時代になるとすっかり武士だな。
 

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288:河村恵利『戦国落城秘話 青柳の糸』

2022-10-27 10:36:32 | 22 本の感想
河村恵利『戦国落城秘話 青柳の糸』
★★★☆☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
後世に戦国武将の鑑と謳われた木村重成の生涯を描いた表題作のほか、
大坂城落城にまつわる、人々の儚くも美しい想いを綴った珠玉作品集。
「青柳の糸」「桐の葉」「水底」「水鳥」「霧の籬(きりのまがき)」の
5編を収録。
 
****************************************
 
木村重成、名前すら知らなかった……
そしてその妻は大蔵卿局の姪で、
「青柳」という名も本当に残っているのね。
 
河村先生は本当に茶々が好きなのだな。
 
【収録作品】
「青柳の糸」木村重成とその妻
「桐の葉」片桐且元と茶々
「水底」毛利勝永と山内忠義
「水鳥」江戸もの オリジナル? 本多忠朝
「霧の籬(きりのまがき)」本多忠朝
 

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287:河村恵利『逢魔ヶ辻~晴明と道長~』

2022-10-25 21:06:05 | 22 本の感想
河村恵利『逢魔ヶ辻~晴明と道長~』
★★★☆☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
平安の頂点に立つ藤原家の三代に渡る男たち。
彼らは少年、青年、老年時代の安倍晴明が繰り出す恋の術に翻弄されて、
気がつけば、思いもよらぬ結末に…。
ちゃめっけたっぷりの安倍晴明の活躍を描いた「逢魔ヶ辻」3編のほか
時代ロマン2編を収録。
 
****************************************
 
安倍晴明が若いイケメンでないというだけで、評価する!
夢枕獏の呪縛が強すぎるのだろうけど、
陰陽師にも晴明にも夢見すぎなんだよ、みんな!
 
というわけで、どちらかというと不細工な晴明が、
じいさん・おっさん・子どもの姿で登場するのがいいね。
この話では、道長と明子が幼馴染で、
倫子は「政敵の娘」という位置づけ。
道綱母が、どちらかと言うと可愛らしく控えめで、
『蜻蛉日記』とのギャップがすごい。

【収録作品】

「逢魔が辻 その一 晴明と道長」
「逢魔が辻 その一 晴明と兼家」
「逢魔が辻 その一 晴明と師輔」
「清水聖」のちに藤原頼通の妻となる進命婦
「平安怪盗伝説 真結び」これは完全な創作かな
 
進命婦のことは初めて知った。
これは宇治拾遺物語が元ネタらしい。
恋心を打ち上げた爺さんにこの態度、
なかなかできることではないよ。
 

 

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275-286:大和和紀『イシュタルの娘~小野於通伝~』1~12巻

2022-10-23 21:57:24 | 22 本の感想
大和和紀『イシュタルの娘~小野於通伝~』
★★★★★
 
【Amazonの内容紹介】
 
「うわさにたがわぬおもしろき娘よ」と信長にも愛された娘・
小野於通(おの・おつう)。
於通を知らずして戦国は語れない!!
大和和紀が初にして待望の戦国ロマンのヒロインに抜擢したのは、
小野於通――!! 
その輝きはあたかも戦国の闇を夜明けに導く明けの明星――
信長に見出され、秀吉に重用され、家康に信頼された才女、小野於通。
その知られざる生涯を大和和紀が描く本格戦国ロマン!!
 
****************************************
 
長い間積んでいたのを、旅行を機に読み始めた。
(とりあえずダウンロードしておいた1~12巻だけ)
序盤のあたりだけは一度読んだはずなのに、
ヒロインが無理やり結婚させられたパートしか記憶がない。
 
いや~、めっちゃ面白いじゃないか!!
オリジナルのファンタジー要素かと思っていた飯綱権現の話、
九条稙通のエピソードとして実際に伝わっているのだね。
歴史上の有名人に絡みすぎといえば絡みすぎだが、
お通が教養と才能で世を渡っていく文化人であるから、
それが不自然でない 。
実際、千利休や古田織部といった文化人が、
自分よりはるかに身分の高い人々と広く親交していた時代なので、
すんなりと受け入れられる。
お通と真田信之に関わりがあったのは知っていたが、
淀殿に仕えていたという説もあるのだな。
いろんな説をふまえて、うまく調理している。
 
お通があまり感情的でなく、冷静な賢い女性であるところが良い。
教養と才能でのしあがっていくヒロインというのは、
創作物でも実はあまりいないのでは。
実在の女性で表に出た人が多くなかったというのもあるけれども、
架空のヒロインでそれをやろうとしても、
作者に教養がないと難しいのだろうな
(たいしたことない部分でやたら持ち上げられる話になってしまう)。
 
お江与と秀忠のカップルが可愛い。
秀忠が尻に敷かれている設定はスタンダードだけど、
このお江与のキャラ立ては珍しいと思った。
 
しかし……
信尹、参内する時ぐらいちゃんと髻を結ってくれ!!
傾奇者時代はその髪型が設定に合っていてむしろよかったが、
ずっとこれだと「少女漫画の呪縛……」と思ってしまう。
指南書みたいなのに書いてあったのを読んだことがあるが、
女の子対象のコンテンツだと、
ヒーローの髪型が原因で特に江戸時代はウケないらしい……。
私は別に髷が好きなわけじゃないのだが、
歴史物で「それなりに身分があるのに髷を結ってない男」が
ヒーローだと興ざめなんだよ。
 
いま1・2巻が無料公開されているみたいなので、
興味がある人はどうぞ。

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273-274:市川ジュン『華の王〈上〉・〈下〉』

2022-10-23 21:46:50 | 22 本の感想
市川ジュン『華の王〈上〉・〈下〉』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
後に尼将軍と恐れられた北条政子の半生を、
源頼朝との恋愛を通して描いた歴史絵巻。
流人だった頼朝と運命的に出会い、
数々の戦を乗り越えて天下の覇者にまでのぼりつめた夫婦の愛を、
ドラマティックに描く。
 
****************************************
 
この作者さんの作品は、『鬼国幻想』『燁貴妃』に続いて3作目。
好きなところがたくさんあるんだけど、
どうしても受け入れられない要素が二つある。
 
その1:男性キャラにちゃんと髷を結わせてくれ~!!
 
作者さんが長髪の美形がお好きだというのは、とてもよくわかるのだが、
歴史ものだからそれはしっかりしてほしい。
他をしっかり調べて考証に気を遣っていても、
頼朝が「ずーっと長髪を下ろしている」というだけで台無し……
(というか、他がしっかりしてる分、興ざめになってしまう)
長髪男はともかく、おかっぱ男は、髷を結おうにも結えないよ。どうすんの。
 
その2:女性にわめかせないでくれ~!
 
「気の強い賢い女性」という設定は、私も大好き。
しかし、ヒロインがやたらとわめくと、頭が悪そうに見えてしまう。
今回の政子は、ある部分仕方ないところもあるのだが、
本人の才覚というより、「虎の威を借る狐」。
賢い女性を描くというのは難しいのだなあ。
 
女をめぐるいざこざで安達景盛を討とうとした頼家を止めた。
そこで話は終了。
承久の乱までは描かないのね。

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271-272:上橋菜穂子・藤原カムイ『精霊の守り人〈上〉・〈下〉』

2022-10-19 08:02:21 | 22 本の感想
上橋菜穂子・藤原カムイ『精霊の守り人〈上〉・〈下〉』
★★★★☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
短槍使いの女用心棒バルサは、あるとき偶然1人の高貴な少年を助けた。
少年の名はチャグム。
新ヨゴ皇国の第二皇子だった。
その晩、バルサはチャグムの母親であるニノ姫から、
帝の放った刺客からチャグムを守ってほしいと頼まれる。
別の世界に生きる謎の生き物の卵がチャグムの体に産み付けられたのが
狙われる原因だった。
バルサは皇子の寝間に火をかけると、皇子を連れて宮を脱出した。
 
****************************************
 
興味を持ちつつも、ファンタジーが苦手なため
なかなか原作小説に手を出せなかった作品。
コミカライズ版を貸してもらったので
ようやく読んだ。
 
主人公が「戦う30歳の女性」というのが、児童文学としては斬新。
当時よりは世間一般の30歳のイメージは若くなった思うけれど、
やはり子どもにとって30歳は「おばさん」だろう。
それでも人気が出たのだなあ。
 
ファンタジーな設定がなかなか頭に入ってこなかったけれど、
バルサとタンダの関係性にはキュン。
 

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270:深山くのえ『恋をし恋ひば かんなり草紙』

2022-10-18 20:00:08 | 22 本の感想
深山くのえ『恋をし恋ひば かんなり草紙』
★★★☆☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
運命の人はかつての許婚?平安後宮ロマン!

大納言だった父と母を続けて亡くし、
他人に騙されて家の財産も失ってしまった沙羅。
親が決めていた縁談もあっさりとなかったことにされ
路頭に迷いかけた沙羅だったが、
入内した従姉妹の女房として内裏に入り、
今は幸せだった頃をときおり思い出しながら、
梅壺で静かな日々を過ごしている。
そんなある日の夜。
主が飼う猫の散歩につきあい、
月明かりの中で一人ぼんやりと庭をながめていた沙羅の前に、
宿直装束姿の男が現れる。
親しげな様子で話しかけてくるその男は、
右近少将藤原朝蔭と名乗った。
その名を聞いて衝撃を受ける沙羅。
それは忘れたくても忘れられなかった、
かつての許婚(いいなずけ)の名前だった――。
運命に翻弄され、裏切られ、過去の悲しみの中で
すべてを諦めるかのように生きてきた沙羅だったが、
強引なほど沙羅との距離を詰めようとする朝蔭の態度に、
いまさらと思いながらも、ゆっくりと心を開きはじめる。
だが、右大臣家の姫君と朝蔭の縁談が調ったという噂を、
沙羅は耳にしてしまい……。
運命の恋を描く、平安後宮ロマン!
 
****************************************
 
前に読んだ『色にや恋ひむ ひひらぎ草紙』と同じ世界。
 
「火事の中、大事な物を取りに行く」
という展開は、盛り上げるためとはいえ、
やや無理矢理感がある。
平安ものは、しっかり勉強している作者さんほど、
女性に動きを起こしにくいから、
特におとなしい人がヒロインだと
盛り上げるのが難しいのはわかるのだけどね。
 
あくまでも中心は恋。
実家が没落した姫を正室に迎えたうえ、
父親という後ろ盾を失ったら、
平安の貴族社会のシステム的に、
ヒーローの出世は絶望的じゃないか?
……と思うが、それは言わないお約束か。

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