金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

214:金井美恵子 『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』

2006-10-04 16:00:50 | 06 本の感想
金井美恵子『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』(朝日新聞社)
★★★★☆

これはファッション誌の読書特集で挙げられていたもの。

目白のボロアパートに住む桃子(30歳、アルバイト、彼氏なし)と
彼女をとりまく友人の花子、小説家のおば、隣に住む岡崎さん。
独身女たちの、飲んだくれ、しゃべりたおす毎日をつづった物語。
弟の結婚、母の再婚など事件らしい事件もあるのだけど、
映画と本が頻出するやけに高尚な、けれどとりとめのないおしゃべりが
大半を占める。

筆者自身、自らをモデルとしたおばの文章を登場人物に
「センテンスが長くてねえ」と言わせているように、一文が長い。
文字量に比して句点と「」の使用頻度が低いため、
最初はあまりの読みづらさに投げ出そうとしたのだけれど、
慣れてくるとそれほどでもない。
何も起こらない話なのだけど、ついつい読みすすめてしまう。
ブログ日記をひたすら読んでいる感じ。

新潮批判のくだりでは思わず背表紙を確かめ、
「朝日新聞か、やっぱり……」
とつぶやいてしまった。
キティとうさこちゃん対決がおもしろかった。

『小春日和』という本の読編だったようだ。



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213:荒川洋治 『日記をつける』

2006-10-04 09:50:40 | 06 本の感想
荒川洋治『日記をつける』(岩波アクティブ新書)
★★★☆☆

「読みたい本リスト」消化月間。
これは確か角田光代のエッセイで紹介されていたもの。昨晩読了。
著者は詩作家。
日記というもの、または日記をつけるという行為について分析したり、
自説を述べたりしている。
作家や詩人の日記の引用が多く、読書案内としてもお役立ち。
新書だけどかたくるしさはなく、エッセイみたいな気軽さで読める。

エロ日記といえば石川啄木のローマ字日記だけれども、
この本に挙げられている徳富蘆花の『蘆花日記』、
山田美妙の日記もこっばずかしーい!
そして大学の講義で、同じ話を聞かせないため、誰がいてどんな話をしたか
日記につけているという著者の姿勢に感服。
わたし、毎年ネタは同じだよ!
引き出しをたくさん持ちたいものです。

それにしても日記って、つけてないときはまったく平気なのに、
一度毎日つけるくせをつけると記録しないことに不安を感じるようになる。
根暗日記もよそで毎日ひっそりこっそりつけてます。

コメント (2)
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212:筒井康隆 『七瀬ふたたび』

2006-10-04 09:32:17 | 06 本の感想
筒井康隆『七瀬ふたたび』(新潮文庫)
★★★★★

昨日読了。おもしろかった!
久しぶりに胸躍る本を読んだなあ。
テレパス火野七瀬を主人公とした三部作(これは読了後に知った)の二作目。
同じ能力、あるいは異なる能力をもつ超能力者たちとの出会いと、
超能力者を殲滅させようと企む謎の組織との戦い。
異端者である超能力者たちの孤独と、友情にホロリ
これぞエンターテイメント!という感じで、読みながらどきどき。
存在は知りつつ長い間手をつけられずにいたけれど、
高校生くらいのころに読んでいたらかなり嗜好に影響していたはず。

とりあえず次は一作目の『家族八景』。

コメント (4)
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