酒見賢一『後宮小説』(新潮社)
★★★★★
第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
子どもの頃、これを原作にした『雲のように風のように』という
アニメを見て泣いたもんです。
恩田陸さんが、小説を書き始めたきっかけとしてこの本を
何度か挙げていましたね。
素乾王朝の末期、庶民から正妃となった少女・銀河。
皇帝を亡き者にしようとする陰謀、反乱軍の蜂起の中で、
後宮軍を組織して戦うことになる。
史料をもとに筆者が想像をふくらませて書いた歴史小説、という
かたちをとっているのだけど、これがとても上手い。
アニメを見ていたときは、子ども心に「架空の物語だ」と
わかっていたのだけど、本を読み始めたら、
「この頃日本は江戸時代なんだよね?」
「こんな王朝あったっけ?」
「こんなおもしろい話があったらさすがに知ってるはずだろう……」
「ってか、どこがファンタジー?」
と、どんどん自信がゆらいできた。
世界史を途中で放棄していて疎かったせいもあるけれど、
史料がばんばん出てくるし、荒唐無稽な話なのに妙なリアリティがあって
すっかりだまされた。
読後、世界史の年表で確認してしまったよ。
銀河をはじめとする後宮の少女たちのキャラクターが良い。
滅びゆく王朝の悲しさもあって、銀河と皇帝の別れのくだりでは
思わず涙……
一般的な「ファンタジー」ではないので、苦手な人も
歴史小説のように抵抗なく読めると思います。
名前を知りつつあまり興味を持っていなかった作家さんですが、
ほかの作品も読みたくなりました。
★★★★★
第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
子どもの頃、これを原作にした『雲のように風のように』という
アニメを見て泣いたもんです。
恩田陸さんが、小説を書き始めたきっかけとしてこの本を
何度か挙げていましたね。
素乾王朝の末期、庶民から正妃となった少女・銀河。
皇帝を亡き者にしようとする陰謀、反乱軍の蜂起の中で、
後宮軍を組織して戦うことになる。
史料をもとに筆者が想像をふくらませて書いた歴史小説、という
かたちをとっているのだけど、これがとても上手い。
アニメを見ていたときは、子ども心に「架空の物語だ」と
わかっていたのだけど、本を読み始めたら、
「この頃日本は江戸時代なんだよね?」
「こんな王朝あったっけ?」
「こんなおもしろい話があったらさすがに知ってるはずだろう……」
「ってか、どこがファンタジー?」
と、どんどん自信がゆらいできた。
世界史を途中で放棄していて疎かったせいもあるけれど、
史料がばんばん出てくるし、荒唐無稽な話なのに妙なリアリティがあって
すっかりだまされた。
読後、世界史の年表で確認してしまったよ。
銀河をはじめとする後宮の少女たちのキャラクターが良い。
滅びゆく王朝の悲しさもあって、銀河と皇帝の別れのくだりでは
思わず涙……
一般的な「ファンタジー」ではないので、苦手な人も
歴史小説のように抵抗なく読めると思います。
名前を知りつつあまり興味を持っていなかった作家さんですが、
ほかの作品も読みたくなりました。