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★★★☆☆
怨霊―それはわたしの心を大学時代に引き戻すミラクルワード!
(友だちが早良親王好きで、卒論もその関係だったから……)
かつてのオタクスピリットはどこへやら、
日本史関係の本を読まなくなって久しいけれど、
「ツチグモ」とか聞くと妙にそわそわしてしまうのであります。
説話や史料をもとに、神代から南北朝までの
怨霊や妖怪のかかわるできごとを紹介し、それについて考察を加えた一冊。
「ツチグモ虐殺と蛇神の威力」の章を目当てに借りてきたのだけど、
読みたかった「常陸国風土記」の記述は軽くスルーされていてがっかり。
しかし、染殿后と天狗、聖剣の変遷など、「史料」ではない
説話の世界は初めて知ったことも多くておもしろい。
卒論を書くときに使った史料や論文の作者名があちこちに出てきて
なにやらなつかしい感じも。
『太平記』の時代以降、妖怪たちが力を失っていく、など
「なにを根拠に言ってるんだ!!」と納得いかないことも多かったけど、
入門書というか、サワリとしては読みやすく、楽しめました。
前半で、少子部栖軽のエピソードのあらわす意味について、
結構なページ数を割いて解説しているので、
ディープな『白鳥異伝』(荻原規子)ファンも楽しめるはず。