町田康『告白』(中央公論新社)
★★★☆☆
『メッタ斬り!』で絶賛されていた本。
明治26年に起き、河内音頭にもうたわれた〈河内十人斬り〉をモチーフに、
自らの妻までも殺害した城戸熊太郎の生涯を描いた物語。
思考を言葉に結びつけられないことから、誤解を受け、疎外され、
無頼者に身を落とす百姓の息子・熊太郎。
幼いころからのそんな体験の積み重ねの末、信じた者に裏切られて
凶事を引き起こすまでの軌跡が詳細に描かれる。
評判はかなり良いようなのですが、な、長い……
鬱屈のたまっていく過程を、たくさんのエピソードを積み重ねることで
描いていて、あまりの長さに途中で挫折しそうになる。
最初に「森の子鬼」たちの正体が明かされるものだと
思い込んでしまったのもよくなかったのかも?
世の中が変わっていく過渡期の風景、日常の中の不正義や悪意を
描いているところはおもしろく読めたのだけど、
主人公に共感できなかったために話の展開の遅さに苛つく。
わざとだとは思うけれど、時代背景にそぐわない比喩や表現が
多かったのも気になった。
本がどうこうというよりは、歯の立たないものに手を出してしまった、
という気も。
★★★☆☆
『メッタ斬り!』で絶賛されていた本。
明治26年に起き、河内音頭にもうたわれた〈河内十人斬り〉をモチーフに、
自らの妻までも殺害した城戸熊太郎の生涯を描いた物語。
思考を言葉に結びつけられないことから、誤解を受け、疎外され、
無頼者に身を落とす百姓の息子・熊太郎。
幼いころからのそんな体験の積み重ねの末、信じた者に裏切られて
凶事を引き起こすまでの軌跡が詳細に描かれる。
評判はかなり良いようなのですが、な、長い……
鬱屈のたまっていく過程を、たくさんのエピソードを積み重ねることで
描いていて、あまりの長さに途中で挫折しそうになる。
最初に「森の子鬼」たちの正体が明かされるものだと
思い込んでしまったのもよくなかったのかも?
世の中が変わっていく過渡期の風景、日常の中の不正義や悪意を
描いているところはおもしろく読めたのだけど、
主人公に共感できなかったために話の展開の遅さに苛つく。
わざとだとは思うけれど、時代背景にそぐわない比喩や表現が
多かったのも気になった。
本がどうこうというよりは、歯の立たないものに手を出してしまった、
という気も。