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★★★★☆
たしか、『三四郎はそれから門を出た』の中高生向きの書評の中で
挙げられていたもの。
現代社会の諸問題の根本にあると言える「私」と「社会」、
「私」と「私たち」の齟齬について、
「前近代」と「近代」の関係をからめながら考えるエッセイ。
高校生の女の子が教科書に載っていた橋本治の評論を
「なに言ってるかさっぱりわからない」
と言っていた。
思想的な問題だからだということもあるけれど、
わざとわからないようにわかりにくく書いている部分が
あるせいだと思うのは、わたしの気のせい?
この本も「言葉遊び」の部分で混乱させられそうになる。
時間をかけ、ゆっくり咀嚼しながらようやく読了。
わたしに論理的思考能力が欠けているせいもあったのだろうけど、
やっぱり思想に関する本は読む人を選ぶのだと思う。
たとえば「近代」と「前近代」という対立概念は、
ある程度ベースがないとなかなか理解できないと思うんだよね……。
しかし「『私たち』を考える」と「『個性』とは哀しいものである」
の章はとてもおもしろかった。
小説に限らず、橋本治の仕事はすごいと、
よく知らないながらもなんとなく思う。