金木犀、薔薇、白木蓮

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22:恩田陸 『七月に流れる花』

2019-01-19 12:04:20 | 19 本の感想
恩田陸『七月に流れる花 (講談社タイガ)』(講談社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

坂道と石段と石垣が多い町、夏流に転校してきたミチル。
六月という半端な時期の転校生なので、
友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。
終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、
緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。
思わず逃げ出したミチルだが、手元には、
呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、
夏の城―夏流城での林間学校への招待状が残されていた。
ミチルは五人の少女とともに、
濃い緑色のツタで覆われた古城で共同生活を開始する。
城には三つの不思議なルールがあった。
鐘が一度鳴ったら、食堂に集合すること。
三度鳴ったら、お地蔵様にお参りすること。
水路に花が流れたら色と数を報告すること。
少女はなぜ城に招かれたのか。
長く奇妙な「夏」が始まる。

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久しぶりの恩田陸。
わたしが読んだのは単行本版のほうだけど、
文庫落ちしている模様。

不穏な空気に、興味を引き付ける謎、
選ばれた少女たちに、明るく鮮やかな夏の風景。
わたしの好きなタイプの恩田作品。
真相についてはそれほどの肩透かし感はなく、
意外性もあった。

しかし、腑に落ちないことが多々ある。

※以下、ネタバレあり。





最大の「納得できない」ポイントはコレ。
ネタばらしされた際、主人公も緑色感冒のことは
知っていた体で書かれている。
それなら「みどりおとこ」が現れた際、真っ先にそれを
連想するはずでは?
みんなが緑の人を描いた理由にも察しがつくはずでは?
それなのに、ネタばらしのときまで、主人公は
この病気について一切言及しないのだ。
おかしくない??

蘇芳が連絡を取り合っていた土壁の向こうの相手についても
明かされないままだけど、これは続篇『八月は冷たい城』で
明かされるのだろう。

コメント
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