金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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89:岡田鯱彦 『薫大将と匂の宮』

2020-05-04 21:07:31 | 19 本の感想
岡田鯱彦『薫大将と匂の宮』 (扶桑社文庫)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

薫大将と匂の宮、光源氏の亡き後に二人の貴公子が織りなす物語こそ
『源氏物語』でも名高き「宇治十帖」である。
千年以上に亘って未完とされていたその『源氏物語』には、
驚くべきことに幻の続編が存在した。
貴公子たちの恋の鞘当てが招く、美しき姫君たちの死。
平安の宮中を震撼させる怪事に、紫式部と清少納言が推理を競う。
絢爛たる長編小説を表題に据えた王朝推理傑作選。

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最近、創元推理文庫から新装版が出たようなのだけど、
わたしが読んだのは扶桑社版。
このあらすじからして自分は絶対好きだろうと思ったのだが……

200ページ強しかない表題作を読み切るのに3日かかった。
その他の収録作品も、「先へ先へ」と気が急く感じじゃないのよね……。
よくできてるなあ、と思うし、
六条御息所に関する源氏物語の記述の謎がいかにして生まれたか、という
「『六条御息所』誕生」なんて、
新書だったら普通に面白く読んでいたと思う。
なんというか、どの話も、物語じゃなくて
「説」を読んでいる感じがするの。

「艶説清少納言」だけは、キャラ付けや関係性が
今まで読んだものとはまるでちがう感じで、楽しかったけど。

わたしの中で、「うまい」「よくできている」と「面白い」が
両立しない稀有な本だった。

コメント
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