金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

91:馬部隆弘 『椿井文書―日本最大級の偽文書』

2020-05-16 17:48:01 | 20 本の感想
馬部隆弘『椿井文書―日本最大級の偽文書』 (中公新書)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

中世の地図、失われた大伽藍や城の絵図、
合戦に参陣した武将のリスト、家系図…。
これらは貴重な史料であり、学校教材や市町村史にも活用されてきた。
しかし、もしそれが後世の偽文書だったら?
しかも、たった一人の人物によって創られたものだとしたら―。
椿井政隆(一七七〇~一八三七)が創り、近畿一円に流布し、
現在も影響を与え続ける数百点にも及ぶ偽文書。その全貌に迫る衝撃の一冊。

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椿井文書については、ずいぶん前からネットで情報収集していたので
「そうなのか!!」という驚きとか発見はなかったのだけど、
整理して解説してもらえるのはありがたい。

「真実かどうかはどうでもいい、町おこしにつながれば」
というスタンス、
斉藤光政『偽書「東日流外三郡誌」事件』

でも偽史が定着してしまう背景として言及されていたな。

コロナウイルス騒動で、本当に痛感することが多いのだけど、
物事を視点ごとに切り離して考えるということができない人は
世の中に多い(というか、大部分はそうなのかもしれない)。
多くの人は、
「この文書に書かれていることは嘘である」
「でも、当時の人々の意識や偽書の研究材料として価値がある」
の両方を自分の中に持つことができないんだろう。
だから「この文書、偽書ですよ」と言われて激昂したり、
偽物ならと破棄してしまったりする。


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90:モンズースー 『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』

2020-05-16 17:45:14 | 20 本の感想
モンズースー『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』 (KADOKAWA)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

幼いころから生きづらさを抱えていた私が生んだ子は、
二人とも発達障害グレーゾーンでした。
未来が怖い、人目が怖い、集団が怖い。
絶望と希望を繰り返しながら、
それでもなんとか前向きに生きていく姿に、
共感と応援の声!
アメブロで総合1位を獲得した実録コミックエッセイが、
未発表秘話100ページ以上を収録し、刊行します。

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漫画。
仕事のために読んだもの。

お母さんひとりがすべてを背負わされているようで
胸が痛かった。
あとがきに、
「あえて自分と子どものこと以外を書かなかっただけで
単身赴任中の夫も話を聞いてくれている」
と書かれていたけど、不在なことに変わりはないので
本当に大変だと思う。

フォロー体制があるかどうかは自治体による差が大きく、
子どもを見る医者と言っても、皆が皆、
発達障害に向き合えるわけではない……という現状
(書かれた当時とはまた多かれ少なかれ状況は変わっただろうけど)にも
触れていて、場所によっては受けられる支援が限られることになるので難しいね。

子ども同士の揉め事に割って入ると「大人が口を出すのは良くない」、
放っておくと「親は何をしている」と外野が言うのは
本当によくあること。
「ほっとけ!!」とはねつける強さも持つのがなかなか難しいだろうし。

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映画:『若おかみは小学生!』

2020-05-16 17:30:36 | 映画の感想
2020年の映画⑥:『若おかみは小学生!』(大森立嗣監督)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

交通事故で両親が他界した小学6年生のおっこは、
祖母が営む旅館「春の屋」に引き取られる。
ライバル旅館の跡取り娘で同級生の真月や、
昔から旅館に住み着いているユーレイのウリ坊たちと交流しながら、
若おかみの修業に奮闘するおっこ。
彼女は、失敗を重ねながらも訪れた客を懸命にもてなそうとしていた。

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NHK地上波にて。
原作未読。

原作がめちゃくちゃ売れてるってことは知っていて、
Twitterで話題になっていたから見たんだけど……

うううう……!

こんなに泣かされるとは思わなかったよ……

「期せずして加害者に出会ってしまうことによって
両親の死を現実のこととして受け止める」
「友だちになった幽霊たちが見えなくなりつつある」
というオーソドックスな泣かせの要素の組み合わせも
演出の妙で涙を誘うし、
なにより主人公のおっこちゃんの健気さにやられてしまうんだな。
小学生とは思えぬ精神力&自制心の持ち主だよ……。

努力家で勉強家、なんだかんだでいい人な真月のキャラもいいし、
これは人気になるのもうなずける。
あかねの美少年設定や、
グローリー水領のイケメン美女っぷりが、
ストーリーにあまり関係ない気がしたのだけど、
これは原作のエピソードを90分に落とし込もうとしたからなのかな。
序盤、おばあちゃんが「ふつう、ここで叱責する」って場面で
叱責しないのが何かよかった。
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