金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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186:東直子『とりつくしま』

2021-06-28 00:19:45 | 21 本の感想
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

死んだあなたに、「とりつくしま係」が問いかける。
この世に未練はありませんか。
あるなら、なにかモノになって戻ることができますよ、と。
そうして母は息子のロージンバッグに、
娘は母の補聴器に、夫は妻の日記になった…。
すでに失われた人生が凝縮してフラッシュバックのように現れ、
切なさと温かさと哀しみ、そして少しのおかしみが滲み出る、
珠玉の短篇小説集。 

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先輩から借りたもの。
著者のことは歌人として名を知っているのみだった。
今回初読み。

ものに宿る使者たちの物語。
「白檀」、片想いしていた既婚者の書家の、
夏だけ使われる扇子に宿る、というのが
慎ましくて切ない。

さらりと読めるけれども、かすかな余韻も。

どの話も、人の醜いところを封じているように思えたけれど
番外編は業のようなものを感じて恐ろしかった。

コメント
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