金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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275-286:大和和紀『イシュタルの娘~小野於通伝~』1~12巻

2022-10-23 21:57:24 | 22 本の感想
大和和紀『イシュタルの娘~小野於通伝~』
★★★★★
 
【Amazonの内容紹介】
 
「うわさにたがわぬおもしろき娘よ」と信長にも愛された娘・
小野於通(おの・おつう)。
於通を知らずして戦国は語れない!!
大和和紀が初にして待望の戦国ロマンのヒロインに抜擢したのは、
小野於通――!! 
その輝きはあたかも戦国の闇を夜明けに導く明けの明星――
信長に見出され、秀吉に重用され、家康に信頼された才女、小野於通。
その知られざる生涯を大和和紀が描く本格戦国ロマン!!
 
****************************************
 
長い間積んでいたのを、旅行を機に読み始めた。
(とりあえずダウンロードしておいた1~12巻だけ)
序盤のあたりだけは一度読んだはずなのに、
ヒロインが無理やり結婚させられたパートしか記憶がない。
 
いや~、めっちゃ面白いじゃないか!!
オリジナルのファンタジー要素かと思っていた飯綱権現の話、
九条稙通のエピソードとして実際に伝わっているのだね。
歴史上の有名人に絡みすぎといえば絡みすぎだが、
お通が教養と才能で世を渡っていく文化人であるから、
それが不自然でない 。
実際、千利休や古田織部といった文化人が、
自分よりはるかに身分の高い人々と広く親交していた時代なので、
すんなりと受け入れられる。
お通と真田信之に関わりがあったのは知っていたが、
淀殿に仕えていたという説もあるのだな。
いろんな説をふまえて、うまく調理している。
 
お通があまり感情的でなく、冷静な賢い女性であるところが良い。
教養と才能でのしあがっていくヒロインというのは、
創作物でも実はあまりいないのでは。
実在の女性で表に出た人が多くなかったというのもあるけれども、
架空のヒロインでそれをやろうとしても、
作者に教養がないと難しいのだろうな
(たいしたことない部分でやたら持ち上げられる話になってしまう)。
 
お江与と秀忠のカップルが可愛い。
秀忠が尻に敷かれている設定はスタンダードだけど、
このお江与のキャラ立ては珍しいと思った。
 
しかし……
信尹、参内する時ぐらいちゃんと髻を結ってくれ!!
傾奇者時代はその髪型が設定に合っていてむしろよかったが、
ずっとこれだと「少女漫画の呪縛……」と思ってしまう。
指南書みたいなのに書いてあったのを読んだことがあるが、
女の子対象のコンテンツだと、
ヒーローの髪型が原因で特に江戸時代はウケないらしい……。
私は別に髷が好きなわけじゃないのだが、
歴史物で「それなりに身分があるのに髷を結ってない男」が
ヒーローだと興ざめなんだよ。
 
いま1・2巻が無料公開されているみたいなので、
興味がある人はどうぞ。

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273-274:市川ジュン『華の王〈上〉・〈下〉』

2022-10-23 21:46:50 | 22 本の感想
市川ジュン『華の王〈上〉・〈下〉』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
後に尼将軍と恐れられた北条政子の半生を、
源頼朝との恋愛を通して描いた歴史絵巻。
流人だった頼朝と運命的に出会い、
数々の戦を乗り越えて天下の覇者にまでのぼりつめた夫婦の愛を、
ドラマティックに描く。
 
****************************************
 
この作者さんの作品は、『鬼国幻想』『燁貴妃』に続いて3作目。
好きなところがたくさんあるんだけど、
どうしても受け入れられない要素が二つある。
 
その1:男性キャラにちゃんと髷を結わせてくれ~!!
 
作者さんが長髪の美形がお好きだというのは、とてもよくわかるのだが、
歴史ものだからそれはしっかりしてほしい。
他をしっかり調べて考証に気を遣っていても、
頼朝が「ずーっと長髪を下ろしている」というだけで台無し……
(というか、他がしっかりしてる分、興ざめになってしまう)
長髪男はともかく、おかっぱ男は、髷を結おうにも結えないよ。どうすんの。
 
その2:女性にわめかせないでくれ~!
 
「気の強い賢い女性」という設定は、私も大好き。
しかし、ヒロインがやたらとわめくと、頭が悪そうに見えてしまう。
今回の政子は、ある部分仕方ないところもあるのだが、
本人の才覚というより、「虎の威を借る狐」。
賢い女性を描くというのは難しいのだなあ。
 
女をめぐるいざこざで安達景盛を討とうとした頼家を止めた。
そこで話は終了。
承久の乱までは描かないのね。

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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」♯40

2022-10-23 21:42:02 | 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
第40話「罠と罠
 
こいつ、本当に大河ドラマの主人公か……?
誰か早く始末してくれ~!!
 
そう思わずにはいられないほどの小四郎の闇落ちっぷり。
 
それに対する和田義盛のあまりの「変わらなさ」が
苦しくて苦しくて。
謀反に加担したら
「本気じゃ無かった」
「つい調子に乗ってしまった」
で済まないのが解らないんだよね。
時政パパと同じで、ずーっと板東の田舎のチンピラ時代と
同じノリなんだ。
変わりすぎた小四郎と代わらなさすぎる義盛の対比が
すさまじくて、
ギャグのはずの「無数の和田義盛」も笑えなかったよ~。
 
「眉毛剃る」って、上総広常のところへ説得へ言ったときの
エピソード持ち出してきてさー。
本当にあのころは平和だった。
あの場にいた上総も梶原も、平家との戦いじゃなくて
内ゲバで死に追いやられてるんだよな……
怖すぎるよ鎌倉!
 
黒すぎる小四郎、もはや姉に嘘をつくのも普通のことになりつつあるが、
政子もだまされっぱなしではなかったこと、
「もっとうまくやれるはずなのに、怯えてる」と評したこと、
実朝が圧倒されっぱなしじゃなくて義盛を救おうとあがいたこと、
よかったね。
こうやって希望を見せられて、
あっというまに希望を打ち砕かれるわけだが……。
 
「もう俺らしか残っていないよな」
という義盛の底抜けの人の良さも見せられて、
なんだかんだでやっぱり義盛を闇討ちにはできない小四郎。
「本当は和田殿のこと好きじゃん!」
と時房に言われて、否定できない小四郎。
それでいて、回避できたと思った戦が、結局始まってしまうし、
うまく立ち回っていたと思っていた平六もピンチに陥るし、
本当に脚本が上手い。
 
【その他いろいろ】
 
・事情を知らない実衣に「孫の顔を」と言われて
 即座に「私のせいで」と謝る千世ちゃん、
 優しすぎる……涙。
 歩き巫女が言ってたとおり、これで幸せなわけはないんだけど、
 夫に放置されてるより、秘密を共有した理解者であったほうが
 まだマシだと思っているんだよね。
 頼むから、優しさにあふれた可愛い夫婦を
 ひどいめにあわせないでくれ~!!
 
・実衣「都育ち のわりに大雑把」
 のえ「育ちがいいと小さいことは気にならないんです」
 政子はのえについて「りくさん思い出すわね」と言っていたが、
 りくさんほど賢くなく、欲丸出しなとこが憎めないのえさん。
 
・小四郎の闇落ちの理由が、
「泰時の代になる前にトラブルの種を全部取り除いておくため」
 ということだとはわかったが、泰時の返事が、
「私のために……!(感動)」
 ではなく、相変わらずの
「父上は間違っている! 私は別のやり方でやる!」
 なの、いいよね。
 キャラが一貫している。
 光の執権になれたのは、やっぱり父親が全部始末したおかげだと
 思うけど。
 
・泰時が政子に小四郎の悪行をチクってる、
 その背後に小四郎がいたの、怖すぎた。
 
・小四郎「兄上の望んだ世にもうすぐなる」
 三郎兄上、なんだかんだで少年ジャンプの主人公タイプだから、
 マジで曲解だと思うよ、それ。
 頼朝を利用するしたたかさはあったが、
 まさか同じ「板東武者を殺しまくって」そうしたいとは
 思ってなかったでしょ。
 
・合戦の気配を感じて、朝時を呼び戻す初、
 有能すぎる!
 
・我が家に伝わる秘策=女装
 帝や公卿もやってたわりとメジャーな方法。
 よそでも本当に機能してたのか謎。
 
・実朝と義盛の語らいで泣いちゃった……
 
コメント (2)
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