澤村伊智『ぼぎわんが、来る 比嘉姉妹シリーズ』
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
幸せな新婚生活をおくっていた田原秀樹の会社に、
とある来訪者があった。
取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。
それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。
原因不明の噛み傷を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。
その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。
一連の怪異は、今は亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか?
愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。
真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。
はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか…。
第22回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
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映画「来る」は原作とはだいぶん変わっていると聞いていたけれど、
まさか、映画でいいと思っていた二大要素
「霊能者のおばさん(柴田理恵)のかっこいい活躍」
「霊能者大集合」
がどっちも映画オリジナルだったとは……!!
おばさん霊能者、活躍する前にあっさり殺されちゃった……。
以下、ネタバレを含みます。
原作のほうが、怪異の正体や狙われる理由がはっきりしていたし、
物語の構造も明確だった。
「妻子をもってこそ一人前」とみなされる男、
その夫の持ち物として扱われる女とその子ども、
子を持つことができない男と女。
対比が効いていて、テーマもわかりやすかった。
「夫」は相変わらずクズで腹立たしい。
「子どもができなかったらどうする?」の問いかけに、
何の疑問もなく「できない原因は妻」という前提で話をするとことか、
ものすごく「ありそう」だった。
映画では不倫していて同情しづらかった「妻」は、
原作では不倫もせずただひたすらに娘を守ろうとしており、
死ななくて済んでよかった~。
ホラーらしい怖さを感じる部分もしっかりあった。
映画と原作、だいぶん違いがあるけれども、
それぞれの良さがあったと思う。