山田風太郎『甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)』
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、
甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。
官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。
四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、
秘術の限りを尽くし、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。
恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ!
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なんでもありのスーパー忍者大戦。
あらすじはくノ一のハニートラップを前面に押し出している印象だけど、
本編はそうでもない。
細切れにちょこちょこと読み進めていたのと、
わりとキャラ(忍術)かぶりがあったのとで、
登場人物の名前とプロフィールが全然覚えられなかったのだけども、
実写やアニメで見たらわりとすんなり情報処理できそう。
甲賀VS伊賀の因縁があったとはいえ、
跡目争いのために、徳川家にほぼ無関係といっていい忍者達が、
死闘のあげくに死ななければならないのが理不尽。
忍びとはそういうもの、というのなら、
そうですかという感じなのだけども……。
以下、ネタバレ。
頼れるリーダー格として登場した薬師寺天膳が、
途中からゲスになって、朧に言い寄ったり、
敵方のくノ一を犯したりするのが
最高に気持ち悪かった……。
ロミオとジュリエットとなった若い二人が
最後に対決することになるのは予想がついたけれど、
「なんとかして二人で逃げて~!」とも思っていただけに、
バッドエンドがつらい。
互いの里の忍者がここまで死んでいる以上、
頭領の血を引く二人が逃げるわけにはいかないというのもわかるけれど、
跡目争いのためにこうなるのが、本当に理不尽……。