深山くのえ『恋をし恋ひば かんなり草紙』
★★★☆☆3.5
【Amazonの内容紹介】
運命の人はかつての許婚?平安後宮ロマン!
大納言だった父と母を続けて亡くし、
大納言だった父と母を続けて亡くし、
他人に騙されて家の財産も失ってしまった沙羅。
親が決めていた縁談もあっさりとなかったことにされ
路頭に迷いかけた沙羅だったが、
入内した従姉妹の女房として内裏に入り、
今は幸せだった頃をときおり思い出しながら、
梅壺で静かな日々を過ごしている。
そんなある日の夜。
そんなある日の夜。
主が飼う猫の散歩につきあい、
月明かりの中で一人ぼんやりと庭をながめていた沙羅の前に、
宿直装束姿の男が現れる。
親しげな様子で話しかけてくるその男は、
右近少将藤原朝蔭と名乗った。
その名を聞いて衝撃を受ける沙羅。
それは忘れたくても忘れられなかった、
かつての許婚(いいなずけ)の名前だった――。
運命に翻弄され、裏切られ、過去の悲しみの中で
すべてを諦めるかのように生きてきた沙羅だったが、
強引なほど沙羅との距離を詰めようとする朝蔭の態度に、
いまさらと思いながらも、ゆっくりと心を開きはじめる。
だが、右大臣家の姫君と朝蔭の縁談が調ったという噂を、
沙羅は耳にしてしまい……。
運命の恋を描く、平安後宮ロマン!
運命の恋を描く、平安後宮ロマン!
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前に読んだ『色にや恋ひむ ひひらぎ草紙』と同じ世界。
「火事の中、大事な物を取りに行く」
という展開は、盛り上げるためとはいえ、
やや無理矢理感がある。
平安ものは、しっかり勉強している作者さんほど、
女性に動きを起こしにくいから、
特におとなしい人がヒロインだと
盛り上げるのが難しいのはわかるのだけどね。
あくまでも中心は恋。
実家が没落した姫を正室に迎えたうえ、
父親という後ろ盾を失ったら、
平安の貴族社会のシステム的に、
ヒーローの出世は絶望的じゃないか?
……と思うが、それは言わないお約束か。