さて、いよいよ手術に臨んだ。アテロームの袋は直径4~5cmはありそうだ。通常ならば切開を少し加えれば袋がみえてくるので、そこをきれいに剥離していけば袋がクリッととれるはずである。しかし悪い予感は的中した(というか、こうなることは今まで何回も経験してきた。なぜ学習しないんだと自分を呪った)。袋自体がガチガチに硬くそして周りの軟部組織にガチとくっついているのである。とても剥離できないので、はさみで組織をパチンと切ると「ビュー」とばかりに出血する。それを止血してまた剥離操作にとりかかるが剥がれないので、またはさみで切ると「ビュー」である。このパチン→ビューを延々と繰り返す羽目に陥ったのである。