桜の季節だとおもったらもうツツジの季節である。この時期になると思い出すのが根津神社のツツジ祭りである。このお祭りでは境内にたくさんの屋台がでるのだが、昔、タイ・ラーメンが出ていた。今でもでているのかもしれないがもう5年行ってないのでどうなっているのか? これはスープがトムヤムクンでビーフン麺なのだが、これが屋台にしてもったいないくらい旨かった。B級グルメにしてはかなりレベルが高く、どこか店舗で出していたらきっと繁盛すると思う。大学病院から歩いて1分の距離であったので昔よくたべたが、あれは同僚からもすごい人気であった。「いつもはどこでお店やってるの?」ときいたら「普段はたい焼き焼いていて、タイ・ラーメンはツツジ祭りの屋台だけ」といっていた。残念である。それにしてももう6年前なのでいまでもツツジ祭りに屋台をだしているのか懐かしくなる。
いよいよゴールデンウイークに突入です。今年は飛び石連休であり、平日が4月30日(火)、5月1日(水)、5月2日(木)と間に3日間入ります。当院はカレンダー通りに診療いたしますので、この3日間は通常の診療をしております。
なんだかまだ風邪の方も多いようです。そしてつい数日前はこられた方でしたが、突然の高熱ということでとりあえずインフルエンザ検査をしたら、なんとこれが陽性に出ました。「えっ? この時期いまになってもインフルエンザ?」と驚きでした。「まさか?」と思いましたが最近中国への渡航歴はないのでトリではないようです。さて連休中、中国に行かれる方もいるかと思います。くれぐれもご注意を。
おそらくは開業医レベルでは少し「勇み足」的な早すぎる転送だったかなと思ったが、もし「明日また来て下さい」と家に帰していたら確実に手遅れなるところであった。それにしても敗血症性ショックになったらいくら早く手術してもなかなか救命は難しい。自分が救命センター時代はこの疾患ですでにひどい敗血症ショックになって転送されてきた患者さんをたくさん手術した。手術後も人工呼吸器管理を余儀なくされたり、あるいは血液中の毒素を除去するために血液浄化をしたりで集中治療に大変な思いをしたものである。しかしそれでも救命率は高くはなかった。それらに比べこの患者さんは割りと早めの対応だったようなので救命は期待できそうである。あとは都立病院の医師に委ねるしかないが、とりあえず開業医としての自分の職責は全うできたとホッとしている。それにしても年に1人は見逃したら手遅れになる疾患が忙しい外来の中に入り込んでくるので気が抜けない。
それでも都立病院の救急外来に連絡をとった。担当医が電話に出たので病状を説明した。「今、少し混んでいるので待てますか?」と聞かれたので「あ~全身状態は安定しているので、まあ待てると思います。すみませんお願いします」といって電話を切った。紹介状をもたせてこのまま都立病院にいくよう患者さんに伝えた。たぶん自分の思い過ごしかもしれない、都立病院の医師からは「救急で送ってきて大げさだなぁ~」と言われているかもしれないともおもった。ところが翌日である。そこの都立病院の外科の医師から電話があった。「昨日、待合室でお待ちの最中にショック状態になりましてCTなどの検査をしたらS状結腸穿孔が疑われたので緊急手術となりました」とのこと。正直「えっ? まさか? そんなにあっという間に状態が悪くなったの?」であった。本当につい数分前までは痛みはあるが自制内で外来のイスに座って待っていたそうである。
その患者さんは高齢の方である。朝、急に腹痛が出現したとのこと。腹部所見ではお腹は柔らかく腹膜炎の所見はなかった。また腹膜炎なら発熱もあろうが、この方は平熱であった。腹部超音波検査では特に明らかな異常所見はなく、腹部レントゲンでも腸管穿孔を疑わせるようなfree airや腸閉塞の二ボー像もなかったのである。つまり診察上では腹痛を訴えるのみで他には開業医程度でできる検査でも何もつかまってこなかったのである。通常なら「じゃあ採血して痛み止め出しますから明日また来て下さい」ということになる。しかしそうしなくてよかった。いままで20年以上救急医療をやってきた勘が働いたのであろう。まあしいて言えば「朝10時に急に痛み出した」という訴えがひっかかったのである。通常は高齢の方でこんなに時間をはっきり断言する人はいない。とはいえ腹痛は訴えるものの比較的元気で独歩も可能である。とても大きな病院にすぐ行きなさいといえるような状態とは思えなかった・・・。
1年くらい前に「年に一人ぐらいゾッと冷汗をかくような患者さんが来る」とかいた。開業して5年になるが確かに5年間で4~5人くらいはあった勘定である。今年はないかと思っていたらやはり冷汗をかいた。どうも年に1人のこの確率は正しそうである。今まではヘルペス脳炎、くも膜下出血、急性心筋梗塞、胸部大動脈解離、甲状腺クリーゼなどであった。どれもそのまま帰宅させたら大変なことになるものである。今回、こられた患者さんは、実は今まで自分が一番多く何度も経験してきた割に一番診断が難しく、ちょっと時間が遅れると手遅れになるものであった。病名は大腸穿孔性腹膜炎である。この腹痛は非典型的である。ものすごく痛がる人もいれば、ほとんど腹痛がなく何となく痛いかなーという人もいる。なかなか診断が厄介であるばかりでなく、数時間でショックに陥る可能性が高い。しかもそのショックは敗血症性ショックといってかなり重篤な状況になるのである。そりゃそうである、大腸に穴があいたらお腹の中が便だらけになるわけであるから、きれいなものではない。大変なのである。
自分が6年前に大学病院を退職した時であったが、その時代の病院における業務上の説明書や同意書の類の多さには辟易した。知らない間に義務付けられた書類がどんどん山のように増えてきたのだ。おそらくは自分が研修医のころの仕事量の2~3倍にはなっていただろう。しかも電子カルテが導入されてからは医療の内容に加え、診療報酬請求やらの事務仕事も医師がしなくてはならなくなった。そこにきて近年「説明と同意」(IC:インフォームドコンセント)というものが言われ、きちんと診断やらそれにいたる検査方法の説明と、診断がついたら複数の治療法をその都度何回も患者さんに提示してそれに納得したら治療が開始されるという「気の遠くなる」ような業務が追加されたのである。患者さんがその都度納得しなければ先にすすめない。こちらできちんと説明義務を果たしたつもりでも、あとから患者さんから「あの時はよくわかりませんでした」といわれればこちらの義務は果たしていないこととされている。一人に費やす時間が増えれば外来ではますます待ち時間が増えるのである。
昔自分が研修医のころ、米国留学から帰国した先生の話をきいたものである。当時、驚いたのは医療訴訟の数の多さである。なにやら病院から出てきた患者を弁護士が待ち構えていて「何か診療で問題はありませんでしたか?」と聞きまくり「顧客」を探しているのだそうである。もう一つ驚いたことはささいな入院でも、患者に分厚い説明書などの冊子が手渡され、それを熟読し説明したうえで同意書を何枚も書かされるそうである。当時これは雑多な民族の集合体である米国であるから民族間の多様な価値観を調整するため仕方がないものであると思っていた。そしてこれは日本とは無用のできごとと考えていた。あれから30年がたつが現在の日本はまったく当時の米国のその状況になっている・・・。
その患者さんは仕事で時々車の運転をしなければならない。仕事上運転が必要なのである。処方した薬は中でも一番眠くはならない抗ヒ薬だったので自分は運転の可否については説明しなかった。そのほかの抗アレルギー薬では余り効果がないので、この抗ヒ薬しか手はなかった。それにしても医師の裁量として「眠くなるかも知れませんがほとんど皆さん「眠い」とはいいません。でも運転するときはくれぐれも注意してくださいね」といって薬の内服を勧めるのが正しいのであろう。しかしながら結果的に車の運転中万が一事故でも起されてしまったら、「言語道断!抗ヒ薬を処方しながら運転を勧めた非常識医者」というマスメディアの見出しが目に浮かぶのである。前述のBCGの訴訟と同じで、患者さんへ便宜をはかることよりも、起こってしまった結果がすべてなのである。ということはやはり抗ヒ薬を処方したら患者さんには全員に対して「車の運転は何があっても絶対禁止ですからきちんと守ってくださいね」とガイドライン(効能書き)どおりの医療をするしかないのであろうか? 嗚呼、世知辛い世の中になったようだ。
ガイドラインで思い出した。薬を投薬するときの注意事項である。内服をしたときにおこり得る可能性があるものは説明しなくてはならない。でも実際はそれを細かく逐一説明していたら外来は滞るし患者さんも怖くなって「じゃあこの薬はいりません、他の薬に替えて下さい」といわれてしまう。最近では花粉症の薬である。昔の抗ヒスタミン薬は確実に眠くなる副作用があった。第2世代の抗ヒ薬は眠くなる頻度がぐっと減ってきた。それでも20人に1人くらいは眠くなると訴える。薬の説明書に「車の運転は控えるよう」と書いてある。昨年のことである。患者さんが「花粉症が良くならないんですが・・・」と来た。聞くと投薬した薬をほとんど服用していない。理由を聞いたら「院外薬局でもらった薬の説明書には車の運転は控えるようにと書いてあったので飲んでいません」と。服用しなければ花粉症の症状は緩和するわけはない。
それにもかかわらず訴訟を起されたのでは「話が違う。ICも取れているじゃないか」と疑問にも思う。しかも司法判断までもが医療側の落ち度とするのであれば、今後、信頼関係というものは構築できなくなってくることになる。患者さん(この場合は、予防接種なので患者さんではないが)の希望には一切耳を傾けず、やはりガイドラインの指示どおりにやるしかないだろう。よく行政のガイドラインには「~の方法がもっとも勧められるが、医師の判断にて可能と思われればその他の方法として・・・」と医師の例外的裁量を認めているような記載もある。しかしあれは医師の裁量権を担保にした行政のガイドラインの逃げ道なのである。問題が起こったなら裁量権を行使した医者の責任とするものである。とにかく大多数のやり方と違った方法を行なえばトラブルの元となる。患者サービスで良かれと思ったことが裏目に出ることはいくらでもある。自分のような個人開業では一度そのようなことがあるととても対応できないので、なにがなんでもガイドラインに従うしかないのである。
ある親御さんに「とにかく目立たない腋の下などにお願いします。瘢痕がひどくなってもいいので見えないところにお願いします。上腕の外側は見えるところなのでやめてください。後からクレームはつけませんから」と懇願されたそうだ。最初は断った接種医も根負けしてしぶしぶ上腕外側以外のところに接種したとのこと。ところが以後、やはり瘢痕がひどくなったそうで、結局訴訟になったそうである。しかも最後は裁判では接種医が敗訴したとのこと・・・。この話をきいてゾッとした。きちんと「瘢痕がひどくなるので他の場所はだめです」と説明し、それでも「クレームつけませんから」という言葉に負けて接種したが、結果的に瘢痕がひどくなりクレームをつけられ、その後訴訟をおこされた挙句、しかも医療側が敗訴しているのである。インフォームド・コンセント(IC)(説明したうえで同意をとること)をきちんととったという流れにはなっているのであるのだが・・・。
<msnctyst w:st="on" addresslist="13:東京都豊島区;" address="豊島区"></msnctyst> 豊島区では26年度からBCGの接種が開業医による個別接種に移行される予定である。せんだって医師会でBCG接種方法の説明会があった。かなり濃度の濃い生菌の接種である。必ず接種痕は残るのである。そのため一番痕が残りにくい場所が左上腕の外側の部分なのでそこへの接種を指導された。演者の説明である。「ここの場所以外へは接種しないでください。よく親御さんから将来ノースリーブや水着をきたりするとき痕が目立たないような腋の下か足の裏に接種をお願いしますといわれることがあります」と。なぜ上腕外側が一番いいかというとその場所が一番外界からの刺激をうけないので痕が残りにくいからであることと、世界共通の場所らしいので「この痕はすでにBCG接種した」と確認しやすくなるからだそうである。痕が残りにくく、かつある程度、既接種であることが明確に見つけやすい場所だからである。しかしこんな話も聞いた。
ワクチン接種事業は目まぐるしくその枠組みが変っていくので大変である。今回、風疹が流行している。妊娠中に母体が風疹にかかると胎児に影響をもたらされる先天性風疹症候群がある。これを予防するため緊急事業としてワクチン接種が行なわれることになった。対象は妊娠を予定しているが現在妊娠していない女性、及び現在妊娠している妻を持つ夫に対して風疹ワクチンが接種されることになった。ややこしいのが「妊娠していない女性」と「現在妊娠中の妻を持つ夫」である。これをゴッチャにして「妊娠している女性」に風疹ワクチンを打ったら、風疹にかかったことと同じことになり胎児に障害をもたらす可能性がある。医療従事者にすればそんなことは当たり前のことであるが、大量にワクチン接種にこられるとバタバタして見逃される可能性もないわけではない。これはほんの些細なミスであるが深刻な結果をもたらす。うちでも気を引き締めて必ず女性は妊娠していないこと、そして接種後は2ヶ月避妊してもらうことを確認して同意書を毎回とることにしなければ・・・。ああ、いろいろなワクチン事業の枠組みがどんどん変っていくので面倒であることこの上ない・・・。
さて4月から子宮頸癌ワクチン、小児肺炎球菌ワクチン、小児髄膜炎ワクチンが定期接種化されることになった。つまり全額国費補助となったのである。今までは国の補助ではないため区からの一部補助にてワクチン接種が行なわれていた。「一部補助」と言うのが面倒くさく一部補助の金額を差し引いて窓口ではその差額を請求しなくてはならない。全部無料化するか全額自己負担にしてくれたほうがよっぽど分かりやすい。というのは区によって一部補助額が異なるのである。例えば水痘ワクチンの補助額は<msnctyst w:st="on" address="豊島区" addresslist="13:東京都豊島区;"></msnctyst>豊島区民が¥3000だが新宿区民\4500と異なる。豊島区民では当院設定料金の差額の¥5400を自己負担してもらうが、新宿区民がきて接種を受けると新宿区との協定によりその差額は¥3000のみの徴収にしなさいと規定されている。これは不公平である。各区地方自治体により住民がうける行政サービスに差があるのはしょうがない。しょうがないのではあるが、窓口における会計が複雑になるので困るのである。まあうちのクリニックには板橋区民や北区民の患者さんはきても新宿区民は来ないであろうからたぶん混乱はしないと思うのであるが・・。複雑怪奇である・・・。