まあ、このような時に限って重症患者が入ってくるようなことが多いのでしょうが、幸いにも軽症患者(しかも自分よりも)さんばかりで助かりました。その後は診療時以外はずっと眠っていましたし、翌日の日曜は午前中に患者さんがどっと来たきりで、午後からはずっと休めました。そして月曜日の朝にはスッキリ解熱し、そのままその当直病院から大学病院の勤務につくことができました。かえって家にいたら完全に身体がなまって月曜日にも出勤できなかったかもしれません。仕事しながらの休養がよかったかもしれませんが、よい子のみなさんは絶対にまねしないでください(笑)。10年前の話で恐縮でした。(この項おわり)
日曜の夜中でした。何回か急患で起こされたあとにウトウトしていると、病院の屋上から人が飛び降りようとしているから早くきてくれと囁かれたので、走って病院の屋上へいきました。暗い中、フェンスのあたりを探してもだれもいません。「はっ」と我に返りました。たぶん熱にうなされたのでしょう。インフルエンザでみられる「異常行動」をとっていたようです。よく考えれば夜中に話のつじつまがあいません。自分も危うくフェンスを越えようとしました。
喋っている時はいいのですが、会話がとぎれるとそのままフーっと寝入ってしまいます。もしかしたら傍で見ている人は「あ 意識がうすれてきた」と見えたかもしれません。まあ食欲はありましたので、水分をたくさんとり食事も多めに摂りました。まあ、じたばたしてもよくはならないので、とにかく「面倒くさい重症患者」が来ないことを祈りながら、土日をその救急病院で過ごしました。まあもっとも自分のかわりの医師はいないので体調のよい悪いにかかわらず月曜の朝までは勤務時間なのでしょうがありません。
その当直先の病院では、こんな体調の悪い時に限ってワンサカ救急患者がきましたが、まあ夜になってひと段落。しかし歯の根が合わぬほどガチガチと震えが止まらない状況で、とにかく高熱で寒くてしょうがない状態でした。もう我慢ができず、当直室の風呂に熱い湯をはりしばらく浸かっていましたが、あれはとても気持ちがよかったです。震えも取れて快適な状態になり風呂から上がってしばらくしたら、どうもしばらく意識消失していたようでした。「先生、患者さん来てますよ」という声で救われたようです。
最後にインフルエンザに罹患したのは10年くらい前でした。いきなり39℃以上の熱で身体が動かせず、横になるとすぐ眠ってしまうくらい消耗しました。悪いことに当時、外の一般病院で土日泊り込みの救急当直の仕事が入っていました。外来にカゼの患者さんがたくさん来ましたが、「先生、大丈夫ですか?お大事に」と患者さんに逆に心配されてしまうほどでした。正直、不謹慎にも心の中で思いました。(「このぐらいの病状で夜中に来ないでよ~。私のほうが病院に行きたいくらいだわー・・・」と) ン?・・ ここは病院だった。
今年の初めに、熱発でお子さんがこられました。検査の結果インフルエンザでした。お母様は「予防接種はしたのに」といわれていましたが、確かに子供さんやご高齢の方では1回では不十分な場合があります。受験を控えているお子さんや慢性肺疾患を持っている高齢の方では予防接種は2回が勧められます。どちらも罹患すると「致命的」な結果となることもありますので。
特定健診、そして長寿健診(後期高齢者健診)はすでに始まっていますが、それぞれ個人によって受診期間が定められています。受診しそこなった方でも期間が2ヶ月程度延長になっていますので、お電話くだされば確認いたします。この機会に健診をお受けください。中には「ずっと病院に通って診てもらっているので、わざわざ健診の必要はない」と考えている患者さんもいますが、健診の検査項目と、現在の治療中の診療内容と必ずしも一致しないので健診は受けたほうがよいと思います。で ついでに?インフルエンザの予防接種も受ければ万全!
いろいろ健診の制度がかわり複雑になりました。今まで宙に浮いていた社保家族の方の健診ですが、保険組合の多くが医師会と契約したので11月よりご家族の方が区内の医療機関で健診を受けられるようになります。ただし健診内容ですが国が定めた最低基準しか行いませんので区で行っている特定検診よりも検査内容が大分少なくなっています。また追加検査が必要な場合、適宜追加実費請求となります。その実費額も健保組合によって負担割合が異なります。
10月よりインフルエンザの予防接種をはじめています。すでにたくさんの人が予防接種を受けられに来ました。ご存知のように高齢の方には区からの補助があります。ところが隣の北区在住で75歳以上の方は全額補助、つまり無料で受けられるようです。都内全域、区を越えて医療機関のどこででも「補助あり接種」を受けることが可能です。区によってはもう少し全額負担の年齢制限の低いところもあるようです。残念ながら豊島区では補助額は一律2200円です。
あっ、それから補助はでませんが接種は2回打ったほうが万全です。
どうにもこうにも、そろそろ衆院選を控えていろいろ各議員も動いています。麻生政権もどうやら医療費をウン兆円削減するような話です。先進諸外国から比べると日本の医療費は低いほうなのですが、またまた引き下げになるのかと思うと・・・。最近の医療訴訟の増加、医療費削減による単価の低下を考えると、医師が辞めていく現状は理解できます。これからは何か安定収入の得られる副業をやるしか手はないかもしれません(泣笑)。
先日、医療機器の点検のため、ある業者がきました。いろいろチェックしてくれたあとで請求書をみたら、出張料2万円+技術料1万5千円だそうです。これは大体どこの医療機器の業者も同様の価格です。まあどの程度の技術料かは分かりませんが、基本的に私はプロの仕事には敬意を表していますのでこの技術料を高いとは思いません。・・・・・がっ、しかし、出張料2万円とは・・。というのは自分も往診をしていますが、保険で定められた往診料は6500円です。夜間の往診なら1万3000円です。この中には技術料も含まれています・・・。国策で医療費がどんどん削減されていますが、今後ますます下げられるのかと思うと何ともやりきれません・・・。
ところが、その後、外来通院している患者さんから言われたのだが、患者さんはすべからく「病気について聞きたいし、十分診察して欲しいし、そして自分の世間話にも耳を傾けてほしい」のであると。つまりどれかではなく、すべてを期待しているのであり、それが何十分かかろうと関係がないのだそうである。時間をかけてじっくり診療するのはやぶさかではないが、患者さんのアンケートで不満度1位は「待ち時間が長い」という事実もある。あちらを立てればこちらがたたず。いや手きびしい・・、参った。
それで、そのご婦人の目的は一体なんだったんだろうかと考えてしまった。1.ジョギングしている私へのエール? 2.自分の身の上を伝えたかったのか? 3.自分にエールを送ってほしかったのか? 高齢の患者さんはうちにもたくさん来ますが、その日、患者さんが期待をしていることを正確に察知しなければ診療は難しいですね。今日は病気について聞きたいのか? 十分診察して欲しいのか? あるいは世間話に耳を傾けてほしいのか?などの瞬時の判断は必要だと痛感しました。
この前、ジョギングしていたら、前から杖をついてようやっと歩いている高齢のご婦人に遭遇した。10m先ぐらいから私に向かって「ハイ、ゴクローさん! 頑張ってね!」と声をかけてくれた。私は「ありがとうございますと」と答えたところ、そのご婦人は「あたしだって、80越えたったこんなに頑張っているんだよっ! ・・・若い時からずっと働きずくめで、今じゃ膝を悪くしてさー・・・」と私とすれ違って、その後彼女の視野から私が見えなくなるまで、ずっと走っている私の背中に向かって話しかけるのでした。(この項つづく)
以前、足腰のわるい患者さんの自転車通院について書きました。そんなこと書いたわけでもないでしょうがこの前その患者さんのご家族から連絡があって、患者さんが自転車で家の前の段差にひっかかり転倒したとのことでした。案の定、大腿骨骨折で今度、手術になるそうです。スピードが出ていなかったのが不幸中の幸いでしょう。しかしまた元どおり歩けるようになるかは難しいかもしれません。一刻も早い軽快退院を祈念しております。