吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

倍量服用 その2

2010年03月31日 07時12分51秒 | インポート

 夜間頻尿でお困りの患者さんに頻尿改善剤をお出ししました。こちらも症状や年齢、そして並存内服薬との兼ね合いなどで、用法・用量を判断します。ところがある日、外来で「先生、最近喉が渇いて渇いて水分ばかりとるようになり困りました」と・・・。 あれ? この方は特に糖尿病でもないし特に塩分を取りすぎる人でもない。さてなんで急に喉が異常に渇くようになったのだろうかと不安になった。いろいろ診察したりお話を聞いたりしたところ・・・、ああーー。


時効

2010年03月30日 06時56分09秒 | インポート

 昔、警察庁長官狙撃事件というのがあった。結局犯人が捕まらないまま、今日はその時効日である。 銃撃された時の長官の主治医であった自分には感慨深いものがある。 今もお元気で働かれているし、自分が開業する時には彼からお祝いもいただいた。 もちろんお元気にされているので嬉しい限りであるが犯人が捕まらないのは心残りである。長官が入院されて受持ちになったとき、それはもういろんな意味で人生最大の修羅場であった。もし万が一のことがあったら自分は退職なんだろうなぁ~と当時ふっと頭をよぎったことが今では懐かしい思い出になっている。あれから15年・・あっという間である。


倍量服用 その1

2010年03月29日 06時53分51秒 | インポート

 「この薬は副作用はありませんか?」と聞かれる事がよくあります。でも副作用のない薬なんてありませんので返答に困ってしまいます。たとえば解熱剤には解熱・鎮痛効果がありますが、痛み止めとして使うときは鎮痛効果が「主作用」で解熱効果が「副作用」になります。逆に熱を下げたい時は解熱効果が「主作用」になり鎮痛効果は「副作用」になります。副作用というと何か「悪いもの」というイメージがありますが、その時その薬に「期待されていない効果」ということなのですが。


銃刀法に関する診断書その5

2010年03月27日 06時47分24秒 | インポート

 ところがこの方は「えー! 6000円?? たかいなぁ~・・・」と。  父が死んでから随分たつ。その間、どこかの医療機関で診断書を書いてもらっていたのだろうが、これより安い料金で書くところもたぶんたくさんあるだろう。しかし大学病院にいけば自費健康診断はもっとするし1週間以上はかかる。彼は「ちょっと高いのでもう少し検討させてください」といって引き上げた。おそらく「高い」というのはそんなに理由ではないだろう。おそらくは中毒者ではないと思うが、尿を提出するということが気に障ったのかもしれない。しかし、そう簡単に5-6分話をしただけで診断書なぞかけるはずがない。この手の診断書は「借金の保証人」みたいなものだから、何か事故でもあったら自分の責任が問われるのでとても重いものである。こちらとしては今回の法改正でアブない橋を渡らなくて済むようになったので清々している。あ そうだ、その人は以後二度と来院していませんが。


銃刀法に関する診断書その4

2010年03月26日 06時37分50秒 | インポート

 尿の提出を提案したところ、その方の顔色が曇りました。たぶん中毒者ではないと思いますが、尿を出せなんていう医者はおそらく過去にはいなかったはずです。明らかに不機嫌な顔色になりました。「あ~、そうですか、尿・・・、尿をねえー・・そういうことはしたことないなぁ~」としばらく言葉につまり「で、診断書は明日になるんですか? はあ・・で、料金は?」と聞かれたので「6000円です」と破格の料金を提示しました。通常、尿検査などの手間ひま、およびその人を保証することのリスクを考えたら、健診料金最低価格の6000円くらいでできるわけもなく、こちらはサービスのつもりで言ったのですが・・・。


銃刀法に関する診断書その3

2010年03月25日 06時43分43秒 | インポート

 さて、困り果てたものの何とかしなければならない。精神疾患があるかどうかなんぞは専門医であってもわずか5-6分会話を交わしただけで分かるはずもない。精神疾患の診断については諦めざるを得ないが、ここで客観的な判断として尿検査を思いついた。尿を頂いて夜中こそっと前勤務先の救命センターにいって簡易尿検査をすれば覚せい剤と麻薬については診断がつく。そこで目の前の診断書依頼者に「尿をいただけたら明日の朝までには診断書をお書きしますよ」と提案したところ・・・。


銃刀法に関する診断書その2

2010年03月24日 06時35分26秒 | インポート

 2年前、射撃をするという人が自分の外来に初診でこられ「昔、あなたの父上に診断書を書いてもらった。いつもすぐ書いてくれました。今日も急ぐのですぐに書いてほしい」と希望された。・・・といっても自分は初対面だし、この人に精神疾患があるのかどうかは長い時間インタビューでもしてみないと診断できない。ましてや覚せい剤や麻薬中毒者かどうかなどは急性中毒なら救命センター時代いくらでも診たが、慢性中毒(耽溺)の場合は瞬時で分かるはずもない。過去ずっと自分の外来に通院していれば、ある程度状態も推測できようが、初対面では診断などできるはずもない。これには困り果てた・・・。


銃刀法に関する診断書その1

2010年03月23日 06時36分32秒 | インポート

 銃を保持し猟やクレー射撃などをする人は、その適性を証明するために、医師による診断書が必要とされている。つまり精神疾患がなく麻薬などの中毒者でもないことを医師が証明するわけである。ところで昨年12月に銃刀法に関する法改正が行なわれたらしい。この診断書は、以前は医師であれば何科の医師であっても記載することができた。ところがこの法改正にて、精神科や神経内科の医師以外は書いてはいけないことになった。まあ、自分としてはそのほうが気楽である。万が一自分が診断書を書いた人が事故でも起こしたら、こちらはとても寝覚めが悪い。そう2年前こんなことがあった・・・。


感謝

2010年03月20日 07時06分50秒 | インポート

 先だって自転車で転倒し上口唇をぶつけ、唇がぐしゃぐしゃにつぶれて皮1枚でかろうじてくっついていた患者さんがこられた。途方にくれたが外来の他の患者さんを待たせながら、さて縫合をはじめた。途中何度か困ったすえにようやく終了。努力のかいあってか10日後にはほとんど綺麗に仕上がって抜糸ができた。とても感謝された。また他の患者さんでは胸苦しいとのことで夜間に往診した。発作性頻脈のようで往診時には治まっていた。発作時の頓服のみ処方した。この方にもいたく感謝された。別に特別のことをしたわけではない。ごく普通のことをやって感謝されるのは何かこそばゆい感じがする。同じことをしても感謝される場合と逆に恨まれることもあるのでこの職業は難しい。


あぁついに・・後日談 その3

2010年03月19日 06時41分49秒 | インポート

 しかもまだ後日談がある。きっと自分はクレーマーとみなされているのであろうが、その私の指摘とは彼らの作った「医師意見書の書き方の手引き」の記載内容がいいかげんであったことである。そこでこれを直せ、あれも直せと強く言ったら、書き直した手引きが送られてきたが、これに目を通して校正してほしいというのだ。ところが読んでみると私の要望のすべてが盛り込まれているわけではないので、結局最初から見直すはめになった。赤ペンで添削して送り返したが、結構な時間と手間だった(普通は返信用封筒くらい入れておくが入れていなかったのは向こうの無言の抵抗のあらわれだろう)。 結局、何のことはない、役者は何枚も向こうのほうが上手なのであった。お釈迦様の手のひらの上で体よく踊らされた感じだった。しかし最後に言っておきますが私はクレーマーなんかじゃない! リスクマネジメント対策よりも、まずは自分たちのより良き業務システム改善のほうが先でしょ~、順番が違うワイ(苦笑)。


あぁついに・・後日談 その2

2010年03月18日 06時35分42秒 | インポート

 講演では、相手とトラブルになりそうな時はまず以下を行うようにと話があった。①相手の不満、不快感に遺憾の意を表する。 ②相手の苦情を傾聴し、指摘していただいたことに感謝を述べる ③落ち度があれば謝罪する ④苦情に対する改善策の検討を約束する ⑤便宜供与を要求された場合は毅然とした姿勢を示す。・・・・って、これはあの時、みんな自分に対して行われた方法で、逐一、方法も順序もこの通りに行われていた。ということは自分に対しリスクマネジメント対策がガッチリ施行されていたということになり、やっぱり自分は区の職員さんにとってはうるさいクレーマーだったのだぁ~あああ!(笑)。 うすうすは感じていたがしょーがないかも・・・。 


あぁついに・・後日談 その1

2010年03月17日 06時40分25秒 | インポート

 区役所の職員さんとモメた話には続きがある。完全に役者は向こうが上である話も書いた。ところでその翌週のことである。最近ではモンスター・ペイシェントと呼ばれるクレーマーが増加しているらしく医師会で「医療機関での暴力・暴言対策」という講演があった。クレーマーというわけではないが患者さんとトラブルにならないようなリスクマネジメント対策の講演である。トラブルになりそうな時の対応方法についての講演内容であったが、聞き終えて、ありゃ? こりゃなんだ?と思った。


あぁついに・・その8

2010年03月16日 06時46分21秒 | インポート

 しかしながら彼らは冷静である。絶対に馬鹿な私のように感情的にはならない。「それは医学的にはおかしいでしょう?」といっても、「ええ、でも規則ですから・・・」と言われたら、それ以上ラチがあかない。向こうもこちらが焦れて諦めるまで、「規則ですから」または「ご意見をお聴きして改善できる点は今後改善に向けての努力を・・・」を続けるのである。これをされたらこちらも引きさがざるを得ないのである。翌日、電話があった。「昨日は大変失礼いたしました。今後も先生の貴重なご意見に最大限耳を傾け、改善に向けての努力をいたします。今後ともご指導宜しくお願いいたします」と。たぶん本心ではそんなこと爪の先ほども思っていないであろうが、とにかくそつが無い。役者が違うのである。


あぁついに・・その7

2010年03月15日 07時15分32秒 | インポート

 今回の課員さんの説明の中で「・・これは通達できまっていることなので・・・」とのフレーズが何回か出てきた。そうなんである。彼らは監督官庁からの省令、通達、通知、または条例などで動いているのである。つまり行動根拠は規則に基づいて動いていることであり、その法令順守こそがリスクマネジメントなのである。あまりに自分が「それはおかしい」と言うもんだから、終いには「では先生のところに後日、通知文のコピーを送りましょう」と言い出した。「万人が認めざるをえない普遍的な立ち位置」から一歩も外に出てこなければこちらには勝ち目が無い。


あぁついに・・その6

2010年03月13日 07時03分53秒 | インポート

 それにしても本当に馬鹿なことをした。黙って仰せの通りにいたしますと適当に認定業務を流していればよかったのだ。そうしたらみんな仲良く「笑顔」だったのだ。話はかわるが大昔、メディア研究家の講演を聴いた。仕事で不都合があり、もしも追求されて窮地に陥ったら、「常に自分を万人が認めざるを得ない普遍的なよりどころに持っていくよう」に聞いた。つまり医者なら「・・・そうです、あの時そうしたのは患者さんの命を守るためにしたのです」などとくり返すことである。「患者さんの命」という普遍的な重要性を前面に押し立てて自分の思いや行動を弁護するという手法である。医者同士での会話で「僕ぁ~、患者さんの命をっ、救うんだぁ」という言葉が出てくると、オイオイ、熱血医療ドラマの見すぎじゃないの?と、逆に相手が胡散臭くみえてしまう。普通の医者ならこんなことは誰も口にださずにただ「淡々と」やっているのである。しかし一般的にこれを口に出す場合こそまさにリスクマネジメントなのである。