吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

マスクの有用性 その7

2023年05月30日 06時18分33秒 | 日記
■ これからもマスクを着けてほしい3つの状況
 マスクは万能ではありませんが、感染拡大を防ぐには効果的です。ただ、これをいつまで続けるのか? 有効だからと言って、ずっと社会にユニバーサル・マスキングを求め続けるのか? 
 基本的には個人の判断で良いでしょう。着けたくないなら、着けなくていいですし、着けてない人にとやかく言うのはやめましょう。逆もしかりで、着けている人にとやかく言うのもやめてください。最近のマスメディアは街頭インタビューでは「何故マスクつけていますか?その理由は?」などと外すことを暗に匂わせるような世論誘導もあります。

 以下の3つの状況においては、引き続きマスクの着用は必須です。
⑴ 症状があるとき。
 コロナかどうかの診断によらず、発熱や咳などの症状を認めるとき、できるだけ自宅で療養いただきたいのですが、やむを得ず外出するのであれば、マスクは必ず着けるようにしてください。加えて、換気の悪い場所や人混みを避けていただくことも大切です。
⑵ 医療機関や高齢者施設を訪れるとき。
 ハイリスク者が集まる場所では、集団感染が起こりやすく、また重症化する人も増えます。あなたにとって、ただの風邪であっても、持病のある人や高齢者にとっては、いのち取りになりかねません。マスク着用は個人の判断とはいえ、その事業所がとっている対策には従ってください。
⑶ コロナが感染拡大しているとき。
 公共の場(屋内)において「マスクを着けておこう」と考えていただけると、ひっ迫しがちな医療現場の者としては助かります。とくに高齢者や乳幼児、あるいは妊婦が近くにいるときは、そのときだけでも配慮してマスクを着けてください。公共交通機関で乗り合わせることもあり、相手も距離をとることが難しかったりするので、どうぞ宜しくお願いします。

マスクの有用性 その6

2023年05月29日 05時42分07秒 | 日記
 このユニバーサル・マスキングについて、系統的にレビューした研究によると、コミュニティ全体でマスク着用を推奨したところ、新規感染者数、入院患者数、死亡者数のすべてが減少することが示唆されています(EClinicalMedicine. 2021;38:101024.)。
 実際、コロナの拡散を抑えながら、被害を最小限に抑え込んできたのは、日本、韓国、台湾、香港、シンガポールなど、ユニバーサル・マスキングを導入してきた地域でした。外出禁止などロックダウンを実施しなかったにも関わらず、私たちはマスク着用によって社会を回すことができていました。

マスクの有用性 その5

2023年05月27日 06時05分44秒 | 日記
■ ユニバーサル・マスキングで社会を守ってきた
 コロナ対策におけるマスクの意義を理解するうえで、もうひとつ重要なことがあります。それは、コロナでは、約半分に相当する感染が発症前の潜伏期間に起きていると考えられることです(Int J Infect Dis. 2020;93:284-286)。
 このため、症状のある感染者へのマスク着用が推奨されてきたインフルエンザ対策とは異なり、症状の有無によらず外出時のマスク着用が推奨されたり、義務化されたりするようになりました。これをユニバーサル・マスキング(無症状者も含めた公共でのマスク着用)と呼びます。
 感染しないためにマスクを着けるのではありません。すでに自分が感染していて、ウイルスを排出している可能性が否定できないため、マスクを着けることで周囲への感染リスクを減らしているのです。前述のように、咳やくしゃみなどの症状がなくとも、マスクを着用することでエアロゾルの排出量も減らすことができるからです。

マスクの有用性 その4

2023年05月26日 05時41分27秒 | 日記
今回のコロナウイルスは、肺の奥にエアロゾルが入り込んで感染するため、ウイルス性肺炎を引き起こすことも稀ではありませんでした。ただし、上気道粘膜に飛沫が付着することでも容易に感染し、咽頭炎を引き起こしてます。エアロゾルから飛沫までの幅広い対策が求められ、実にやっかいな感染症なのです。

■ マスクはエアロゾル感染のリスクも減らす
 インフルエンザ対策におけるマスクの有用性を認めていても、「コロナはエアロゾル感染なんだし、マスクしたって意味ないよね」と考えている人がいます。しかし、これは2つの理由で間違っています。
 まず、コロナは飛沫によっても感染するため、感染者にマスクを着けていただくことで予防しなければなりません。微量のウイルスしか含まないエアロゾルよりも、ウイルス量の多い飛沫を吸い込む方が感染リスクは大きいため、医療現場では患者さんにマスク着用をお願いしています。当たり前の対応です。
 加えて、マスクはエアロゾル排出量も減らします。インフルエンザと季節性コロナの感染者が排出するエアロゾル中のウイルス量を測定した研究では、感染者がサージカルマスクを着用することにより、未着用に比して大幅にウイルス量が減少することが確認されています(Nat Med. 2020 May; 26(5): 676–680. )。
 つまり、感染者がマスクを着用することは、周囲への飛沫感染予防になるだけでなく、エアロゾル感染予防にも貢献しているのです。ここまでは、紛れもない科学的事実です。

マスクの有用性 その3

2023年05月25日 05時32分29秒 | 日記
■ コロナはエアロゾルでも飛沫でも感染する
 細かいことを言うと、咽頭に付着しても感染しにくく、肺の奥深くに入り込んで感染する微生物はいます。代表的なものは結核菌ですね。なので、結核では飛沫感染対策はほとんど無効で、厳格な空気感染対策が求められます。
 鳥インフルエンザも咽頭は苦手なようで、肺の奥まで入り込むエアロゾルの大量暴露が必要です。このため、ヒトからヒトへの感染は起こりにくい代わりに、発症してしまうと高い確率でウイルス性肺炎を起こします。
 一方、季節性インフルエンザになると、咽頭など上気道に容易に感染することができます。このため、比較的大きな(つまりウイルス量の多い)飛沫を吸い込むことで効果的に感染し、そこで増殖しながら(くしゃみや咳などを介して)周囲に感染を拡げていきます。

マスクの有用性 その2

2023年05月23日 06時00分14秒 | 日記
■ エアロゾルや飛沫といった概念は便宜上のもの
 コロナウィルスでは、多くが「エアロゾル」によって感染すると考えられています。エアロゾルとは、5μm未満と飛沫より小さく、会話や呼吸においてすら出ているものです。重力で沈降しながらも空気中をしばらく漂い、風下など離れた人にも感染させることがあります。よって、今回のコロナ対策においては、エアロゾル感染対策としての換気やソーシャルディスタンスなどが追加されました。
 ここで大切なことは、インフルエンザは飛沫感染で、コロナはエアロゾル感染といった単純な整理をしないこと。どちらも程度の問題であって、インフルエンザだってエアロゾル感染しますし、コロナだって飛沫感染をします。感染者から発生する呼吸器分泌液を含む粒子には、0.1〜1000μmにわたる多様な大きさがあり、エアロゾルや飛沫といった概念は便宜上のものにすぎません。いずれも、多寡はあれどウイルスが含まれています。

マスクの有用性 その1

2023年05月22日 05時54分33秒 | 日記
 政府は人流回復させ観光や旅行を奨励しイベントの規制も緩和させました。しかしそれならば感染拡大するのは自明の理ですが、なんと「マスク着用の緩和」も発表しました。
 当然、それ以降、5月になってからコロナ感染者はまた増えています。小学校ではコロナのクラスターで学級閉鎖も現在おこっています。またこの時期、インフルエンザによる学級閉鎖も他区で見られています。このままの状況で政府は本当にいいと思っているのでしょうか。
 メディアも感染者数の発表をせずこの増えている事態を周知しようとしません。
 某感染症専門医のコメントが分かりやすいので引用します

■ マスクは感染者が着けることで飛沫の拡散が防げる
マスクの効果について、従来より「感染している人が着用して、飛沫をまき散らすのを防ぐ」ことはできても、「感染していない人が着用して、飛沫を吸い込まないようにする」ことは限定的だと考えられてきました。なお、ここでいう「飛沫」とは、5μm以上の大きさで、感染者のくしゃみや咳で発生するウイルスを含む「しぶき」のことです。
このため、インフルエンザ対策では、感染者のマスク着用や咳エチケットが重視されてきました。流行シーズンになると、医療従事者は外来診療などでマスクを着用していましたが、あくまで感染リスクを幾ばくか減らすためであって、よっぽど発熱患者にマスクを着けていただく方が重要でした。
SNSなどで、マスクの効果を疑問視する発言を繰り返している医療従事者がいますが、感染者が着用することまで否定している人はいないと思います。ゲホゲホ咳をしている発熱患者の診察時に、マスクを着けるよう求めない医者はいません。ところが、一般の方のなかには、「マスクはすべて無意味」と読み違えている方がおられるようです。ここは理解を修正いただきたいところ。

コロナワクチン

2023年05月20日 06時26分43秒 | 日記
 6回目が始まっています。無料接種は今年度までです。ぜひともお打ちされることをお勧めします。なるべく多くの方にお打ちいただき集団免疫を作ることが重要です。個人的に確固たる信念や根拠があって拒否される方は構いませんが、もし迷っておられる方がいましたら是非接種をお勧めします。来年度からは有料接種になりますので、おそらく接種率は低下してしまう可能性があります。
 現在コロナ感染者はまた少しずつ増えてきています。小学校では学級閉鎖もみられています。5類になってから感染者の総数発表がないため、現状がみにくくなっていますが目に見えるところは氷山の一角でしょう。うちのクリニックでの陽性者数をみるとかなり感染者は増えていると思います。おそらくは9波がきているかもしれません。世の中は「コロナ終息」と浮かれている感じですが、感染状況は以前とかわるところはありません。
 マスク着用など、どうぞ感染者数を減らす手立てにご協力お願いいたします。

岸田首相の近くに爆発物「命の危険あった」 警備の難しさ再び直面 その7

2023年05月19日 05時39分11秒 | 日記
 また関係者が「実際選挙戦では観衆の中にはいり、握手した数が票数につながる」と言っていましたが、それもまた本質ではないですね。握手しただけで候補者に一票入れようという市民感覚が疑問です。ネットでもTVでもその人の政策指向はわかります。百歩譲って、現場での演説を聴くのでもいいでしょう。しかしそこで握手の有無で一票を投じるかどうかの判断をするとはなんだか違和感があります。なんだか候補者を通り越して、まるで芸能人のようです。タッチしたとか笑顔で握手してくれたからとかでファンになるという感覚のように思えます。それで一票が立候補者によって勘定されるとしたら、国民の意識に疑問の余地があります。
 また群衆をオイこら式に威嚇しての警護で、それでもし気分を害したから投票しないというのもどうでしょうか? 決して候補者の政策がオイこらというわけではないと思うのですが。
 もう日本での安全神話はありません。候補者(および応援演説者)とのタッチで投票する、または逆にオイこら式の警護だったので投票しないというようなバイアスはかけないほうがいいと思うのですが。

岸田首相の近くに爆発物「命の危険あった」 警備の難しさ再び直面 その6

2023年05月18日 06時25分44秒 | 日記
 非常に残念な事件です。ついこの間、安倍元首相が素人のテロリストに襲撃されて亡くなりました。そしてまた今回の事件です。大きな破裂ではありませんでしたが実際は至近距離まで爆発物が転がっていっているのが問題です。
 いろいろと要人警護の難しさは分かりますが、結果がすべてです。すべて言い訳のようにしか聞こえません。これら言い訳が正当であっても外国のプロのテロリストからみれば「日本は仕事がしやすい」と舐められているはずです。
 選挙戦の時は市民と演説者の距離が近く、また事前の大観衆の身体チェックなど現実的ではないとのことですが果たしてそうでしょうか? このような場合にこそ、昔から警察が得意とした「オイコこら」式の威嚇をしながらの警護をやってほしいと思います。むしろオイこら式の群衆威圧のほうが生命を守るという観点で正当性があり十分納得しますけど。
 まあとにかく完全に外国要人からは「日本は安全管理ができない国」と思われていますね。


岸田首相の近くに爆発物「命の危険あった」 警備の難しさ再び直面 その5

2023年05月16日 06時32分07秒 | 日記
4/15(土) 21:17配信 毎日新聞
 ◇安倍氏銃撃事件の教訓、生かされず  ◇テロ対策に詳しい日本大危機管理学部の福田充教授の話  
「起きるべくして起きた事件だ。安倍晋三元首相銃撃事件と同様、選挙の地方遊説中、市民との距離が近く、誰でも立ち入れる場所で起きた。政治家が有権者に近づきたいと要望したとしても、もっと聴衆との距離を取るか、手荷物検査などを実施するべきだった。銃撃事件の教訓が全く生かされていない。 現役の首相が襲撃され、日本の要人警護が甘いことを世界的に知らしめてしまった。5月に広島市で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催されるが、サミット反対派やテロ組織に狙われるリスクが高まったと言わざるを得ない。今回の事件を模倣しようとする人が出てくる可能性もある。「テロは海外で起きること」という気の緩みがある限り、同じような事件が繰り返されてしまう。警察も政治家も市民も、もっと社会全体が危機意識を持つべきだ」

岸田首相の近くに爆発物「命の危険あった」 警備の難しさ再び直面 その4

2023年05月15日 05時41分58秒 | 日記
4/15(土) 21:17配信 毎日新聞
 ある幹部は「聴衆との触れ合いは安全とトレードオフの関係にある。聴衆と距離を取った上で、屋内で所持品検査をするなどバランスを取った対応をするよう努力するしかない」と強調。別の幹部は「結果的に(爆発物の)投てきを許したのは事実。同様のことが起きないようにしっかり対応を検証しないといけない」と話した。
 元警視庁特殊部隊(SAT)・伊藤鋼一氏の話  
「首相を安全に避難させられたことは良かったが、映像を見る限り、筒状のものが投げ込まれた後も現場に大勢の一般人がとどまっている。容疑者が刃物や爆薬を持っていたり、共犯者がいたりする恐れもある。警察は容疑者を確保するだけではなく、聴衆をいち早く避難させなければいけなかった。第二の犯行を防ぐための対応が不十分で、危機感が足りないと言わざるを得ない。 人が集まるところでは無差別テロが起きる可能性もあり、全ての事態を想定すべきだ。2022年7月に奈良市で発生した安倍晋三元首相に対する銃撃事件を教訓に、警察は警備計画の見直しなど対策を強化したはずだが、地方の警察は要人警護の経験が少ない。これまでの訓練が十分だったのか、現場の警察官への指示が徹底されていたのか、警察幹部が当時どのような指揮を執っていたのか検証が必要だ。」と述べた。

岸田首相の近くに爆発物「命の危険あった」 警備の難しさ再び直面 その3

2023年05月13日 05時43分52秒 | 日記
4/15(土) 21:17配信 毎日新聞
 屋外で多くの聴衆が集まる場合、全ての人の所持品を金属探知機で調べるのも、選挙では現実的でないという。別の警察幹部は「手間と時間がかかり、政治家と聴衆双方から嫌がられる」と話す。  安倍氏銃撃事件を受け、警察庁は要人警護の在り方を大きく変え、2022年8月から、都道府県警が作成する要人の警護計画を事前審査するようになった。審査した計画は23年3月末までに約2200件にのぼる。
 また、今年1~2月に警察庁幹部が各政党本部を訪れ、警護対象者の統一地方選の遊説日程の早期の連絡などの協力を要請。現職首相の周囲を警戒する警護員を増強した上、特定の組織に属さない「ローンオフェンダー(単独の攻撃者)」対策として、要人の安全に関わる情報に特化したサイバーパトロールを始め、SNS(ネット交流サービス)の投稿などのチェックも進めた。
 こうしたさまざまな対策を取りながら、選挙警備については多くの課題があると指摘されていた。

岸田首相の近くに爆発物「命の危険あった」 警備の難しさ再び直面 その2

2023年05月12日 06時05分38秒 | 日記
4/15(土) 21:17配信 毎日新聞
 しかし、その一方で、選挙での警備の難しさを訴える警察幹部は少なくない。通常の要人警護では、一般の人が立ち入ることができないクリアゾーンを広くもうけ、要人との距離を保つ。ゾーンが広ければ、安全はより一層担保される。ただ、そうした対応は選挙では取りにくいという。聴衆の近くで演説し、身近に感じてもらうことが票につながると考える政治家は多い。握手するために自ら聴衆の輪に入ろうとする政治家もいる。
 今回の遊説でもクリアゾーンは設定されたが、聴衆のなかにいた木村容疑者と岸田首相の距離はそれほど離れておらず、物を投げれば十分に届く範囲だった。
「どれだけクリアゾーンを取れるかは現場で異なる。演説場所は地元の陣営側が決めることが多く、要人と距離を取れないこともある」と警察幹部は明かす。

岸田首相の近くに爆発物「命の危険あった」 警備の難しさ再び直面 その1

2023年05月11日 06時07分13秒 | 日記
4/15(土) 21:17配信 毎日新聞
 「最悪の結果は免れたが深刻な事態だ」。和歌山県に選挙遊説に来ていた岸田文雄首相が狙われた。安倍晋三元首相の銃撃事件から9カ月あまり。警察当局は警備態勢の強化に努めてきたが、今回の事件の発生を防ぐことはできなかった。どうすれば要人を守れるのか。改めて浮き彫りになったのは、選挙における警備の難しさだ。木村隆二容疑者(24)が投げたとされる爆発物は岸田首相のすぐ近くまで転がった。現場に居合わせた首相周辺は「すぐに爆発していれば首相の命の危険もあった」と振り返る。
 「首相の近くまで投げられたことが問題だ」。警察幹部はそう指摘した。現場で警戒する警察官は周囲に目を光らせ、不審な動きをする人物がいればその場で声をかける。そうした対応ができなかったことを多くの幹部は重く受け止める。