「弟子への理不尽な振る舞いが事実である」ということは本当であろうか? 噺家の世界ではどこまでが洒落でどこからが実話なのか我々のような非業界人には計り知れぬところである。お弟子さんが師匠の理不尽を事実だといっても、これは「師匠ネタ」として洒落で言った可能性もある。一方、あるいは本当は理不尽などという事実はないが、師匠を腐したほうが笑いがとれるということで師匠を理不尽大王に仕立て上げたのかもしれぬ。いずれにせよ同道したこの鞄持ちのお弟子さんは表情を変えずに淡々と師匠の弟子に対する理不尽な行為を延々と話し出した。黙って聞いていると確かに「いじめ」みたいな行為もありそうな内容であるが不思議と陰湿な印象は受けなかった。やはり噺家の世界における洒落話のような感じである。談志師匠もお弟子さんも、ここのところは阿吽の呼吸でつながっているのかもしれない。師匠はやはり落語の世界を地でいった人である。今年の診療も本日までです。師匠の話もこれで終わりにしましょう。(合掌)
新年は1月4日より診療開始いたします。