吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

「華」で思い出したが その3

2012年11月30日 07時00分01秒 | インポート

 それではクリニックでの+αである「華」とはなんであろうか? 医療における専門性か? 例えば「うちの専門は甲状腺疾患ですよ」とか「睡眠時無呼吸症候群の治療を専門に行ないますよ」といったところであろうか。よくTVCMでみかける都心のクリニックさんはとても洗練されていておしゃれで羨ましい。このような専門分野だけの診療でやっていけたならそれに越したことはない。うちのクリニックで「〇〇専門ですので、それ以外は診療しません」なんてことをしたら患者さんはだれも来なくなる。うちのような開業医さんの多い地域では単科専門性だけでは難しい。幸い?というか、比較的うちにはいろいろな患者さんがやってこられる。高血圧、糖尿病、喘息、風邪ひき、腹痛はもちろんのこと、鼻出血やら切り傷、擦り傷、打撲、捻挫、骨折・・・。そして陥入爪によるひょう疽やらはては足裏、指先のとげ抜きまでもこられる。ということはうちの専門性というのは「何でもやる」ということなのであろうか? はぁ・・、もちろんみんな大歓迎であるのだが、最近目が遠くなってきたのでとげ抜きは「とげ抜き地蔵さん」に行ってくれと言いたい所なのであるが・・・(笑)。さて今まで5年、よく潰れずに診療ができた。これからも開業医には厳しい時代であるが潰れないような経営方策を立てないと・・・。


「華」で思い出したが その2

2012年11月29日 07時05分40秒 | インポート

芸能界もそうであろうが、実社会でも人に好かれる人間には「華」があるようである。「華」とは、ある意味天性のものであろう。技術や努力で身につくものではない。前回の国民栄誉賞でも書いたが同じ実績か、またはそれより業績が少なかったとしても、それこそ「華」のある人間のほうが重用される。これは世の常のようである。桑名の歌手としての実力はものすごいものであるが、たぶん実力だけなら肩をならべるものは日本にも沢山いると思われる。ただし人気があって売れる人間は「華」という+αをもっているものである。クリニックを継承して早5年、周囲は新たなる開業医が増えてきた。たぶん医療レベルはほぼ同じようなレベルであろう。やはり売れるかどうかは+αが肝腎なのだと実感した。ま でもギター弾いて唄うクリニックという+αでも困るんですけどねー(笑)。


「華」で思い出したが その1

2012年11月28日 06時54分07秒 | インポート

 肩書き「ロック歌手」という括りが妥当かどうかわからないが、桑名正博さんが59歳の若さで脳幹出血でなくなった。実はデビュー当時、彼をライブで観たことがあった。ファニーカンパニーというバンドでギターを弾いて唄っていた。初めて観た時の印象は今でも覚えているが強烈だった。実は先日、その当時に一緒にライブを見た友人と話をしたが「あの時見たのはファニカン時代の桑名じゃないよ。ファニカンよりも前、メジャーデビューする前だったよ」と言われたが、なんともはや35年以上も前なので記憶が曖昧で申し訳ない。まあしかしながら、とにかく二十歳そこそこの若僧だったろうが抜群に唄が上手く、ステージが派手でありカリスマ性があった。かっこよかった。いやはや、とんでもない奴が出てきたなと当時思った。これこそ「華」があるといった感じであった。たぶんこいつは以後売れるだろうなと思ったが、以後の活躍はご存知の通りである。


国民栄誉賞 その3

2012年11月27日 06時53分40秒 | インポート

 もちろん歴代受賞者の業績は素晴らしいものである。ところが「記録」的にみると、はたして唯一無二のものかといわれるとそうでもないようなのである。歴代受賞者の名前を言われると、「あっ、あのスポーツの○○だ」と選手の顔と名前を思い出す。つまり「記録」よりも「記憶」に残るような活躍をしたか、メディアでの露出度が高かったか、あるいはその選手に「華」があったかで、それで記憶に残っているような選手ばかりなのである。残念ながら女子レスリングは、浜口親子の頑張りもあるが、いまだにメディアでの扱いはメジャーではない。五輪連覇くらいでもあまり話題にならない。五輪3連覇して、かつカレリンの記録を抜く世界選手権10連覇して、そこでようやく国民栄誉賞なのかいなーと思うと極めて不公平感を感じざるを得ないのである。実は彼女の記録はプロレス好き、レスリング好き、元柔道部の自分にしてみれば、とてつもなくすごい記録なのである。国民栄誉賞とは業績はあっても、知名度が高く、華がある人ではないともらえないのかと勘ぐっていた。ところが今回、吉田選手が受賞したということは、「華」を凌駕するほどの有無を言わせぬ「記録」なんだなと実感しているのである。これは実はものすごい出来事なのである。


国民栄誉賞 その2

2012年11月26日 07時01分29秒 | インポート

 歴代受賞者でスポーツ関係は王貞治、山下泰裕、衣笠祥雄、千代の富士、高橋尚子、なでしこJAPANである。言わずもがなで受賞前から誰もが知っている超有名人ばかりである。ここに吉田沙保里が続くのである。高橋尚子は日本陸上界初の金メダルということであるが金は1回である。その次の五輪のマラソンでは野口みずきも金を取っているが野口は2番目ということで注目度は高橋に比べると低かった。また柔道の野村忠宏は軽量級で五輪の金を3連覇しているが、谷亮子(国民栄養賞受賞者ではないが)の影に隠れ扱いは大きくなかった。山下泰裕は初めての五輪はロシア五輪であり日本がボイコットしたため出場していない。次回のロス五輪では金をとったが1個である。ところが斉藤仁はロス、ソウルで金をとり連覇しているが山下の影に隠れていた感がある。山下選手の業績はもちろん素晴らしいものであることに異論はない。しかしオリンピックのメダルから言えば斉藤のほうが多い。また記録的に見れば過去に全日本選手権13連覇している鬼の木村政彦の強さと記録には到底及ばない。これら記録とつき合わせてみてみると国民栄誉賞の選考基準は単に記録だけではないと推測される。


診療こぼれ話 その13

2012年11月24日 06時53分33秒 | インポート

 今では患者さんへ生活習慣に関していろいろと注意・指導することがある。過度の飲酒、偏食、運動不足、喫煙は極めて健康によくないのでやめるようにとお話しする。なんのことはない、研修医時代の自分の生活はこの悪い習慣をすべからく「網羅」していたのである。部屋に帰る時間があったら、病院で1分でも長く寝ていたい。食事など作る時間があったら出前の弁当のほうが楽である。運動などという馬鹿なことをすれば眠くなり業務に差し支える。そしてストレスだらけなのでやたら煙草ばかり吸った。大学病院の救命センターに勤務し始めた時は、一般病院とは異なり寝るところがなかった。そこで夜中、患者の空きベッドに寝ていたら当直婦長に「これはあんたらに用意したものではない」と追い出された。しかたがないので廊下の床に新聞紙を敷いて仮眠した。でもまあいい経験だった。あのおかげでいつでもどこでも寝ることができるようになった。しかしあれで病気にならなかったのは若かったということと運がよかったのだろう。今、この歳でこんな生活をしたらあっというまに肺炎でもおこすか、あるいは生活習慣病になってしまうだろう。いやはや若さとはとにかく頑丈であると換言できる。


診療こぼれ話 その12

2012年11月22日 07時01分07秒 | インポート

 大昔の話である。外科研修医時代は一冬病院の当直室に寝泊りしたことがあった。どうせ仕事は夜遅くまで続くのである。部屋に帰っても寒い中、寝るだけである。病院のICUの当直室はエアコンも効いており、またシャワーも24時間使い放題なのでむしろ快適であった。洗濯もユニフォームなので病院のランドリーにだせばすむ。あとは下着だけだが、これはシャワーを浴びる時に石鹸をつけて身体を洗えば洗濯もできることになり一石二鳥であった。なかば毎日病院当直のようなものであったがこの時の夜昼ない経験がとてもためになった。いまではこんなことはどこの病院でもさせてもらえないだろう。さて食事であるが当然、全部、出前のものを食べていた。数ヶ月この食事内容ではとても健康にはよいとはいえない。まあハイ・カロリーなものであることは間違いないのである。しかもたまに研修医仲間と外へ出かければ大酒飲んでまた病院に戻ってくるのである。


診療こぼれ話 その11

2012年11月21日 07時20分26秒 | インポート

 体重コントロールの指導をするときに食べ物の組み合わせは重要である。「炭水化物+炭水化物」の組み合わせはとんでもないメニューである・・・、がっ、美味いっ! 柔道部に入っていた大学1年の頃である。学食での昼食では金はないが腹いっぱい食べたいのである。「ソースカツどん+カレーライス」を食べたかったが、しかし高い。ふとメニューをみてひらめいた。「ライス(丼)+カツカレー」の組み合わせのほうがはるかに安いのである。カツカレーの上に乗ったカツを丼飯の上に乗せてテーブルの調味料入れにあるソースを思いっきりかける。そうすれば安価に「ソースカツどん+カレーライス」が食べられるのである。いやはや糖尿病の食品表をみているといろいろなメニューがでてくる。そして偏りなく組み合わせて献立をつくるのであるが、その時はついつい幸せになるほど満腹になった、とんでもなく偏った組み合わせを思い出すのである。これはもういかん。


診療こぼれ話 その10

2012年11月20日 07時03分24秒 | インポート

 どうもこの「強力!炭水化物づくし」のメニューは健康的ではないがファンは多いと思われる。もちろん外来で患者さんへの栄養指導でこんなメニューを提示するわけはない。しかしこのような「炭水化物大好き少年」に出会うと、つい自分もポロリと好物であることをカミングアウトしてしまうのである。とにかくラーメンライス、タン麺ライス、天ぷらそばライス、ウドン+稲荷ずしセット、焼ソバライスなどの組み合わせは、聞いただけでもゾッとするほどの充実感がある(笑)。昔、学生時代お金のないころであったが、蕎麦屋に入って天丼とソバが食べたかった。しかしお金が足りなかった。そこでメニューをみてひらめいた。天ぷらそばライスならかなり格安になるのである。少し味は異なるがライスの上に海老天を乗せて食べたらこれが結構うまかったのである。まあ天丼とはいえないが学生時代の苦肉の策である。


診療こぼれ話 その9

2012年11月19日 06時57分54秒 | インポート

 患者さんで体格のいい方がいる。この方は高脂血症で通院されている。食べ物の好みを聞くと小さい頃より「粉モノ大好き少年」のようである。つまり、米、うどん、そば、ラーメン、パスタ、お好み焼き、餅、団子系がお好きであり、炭水化物があれば何もいらないという感じであった。残念ながら?これらメニューは私の好物でもあり、同時にこのメニューは身体にはあまりよくないのである。自分は高校時代、昼食は外の中華料理屋でいつもラーメン・ライスを食べていた。この取り合わせは強力である。とにかく美味いのだ! たまに金があるときはタン麺ライスにした。まず丼のご飯の上にラー油と醤油をかけてかきまぜるのである。そしてその上にタン麺の野菜をすべて乗せて野菜炒め丼にするのである。そして具のないタン麺の麺とスープをおかずにするのだが、これが本当に涙が出るほど美味いのである。これは高校時代ならまだしも、今これをやってはいけない。でもこの高脂血症の患者さんの話を聞くと高校時代の自分の好物を思い出してしまうのである。嗚呼・・・。


診療こぼれ話 その8

2012年11月17日 07時16分32秒 | インポート

 翌週、再度その病院に行った。カルテをみると他の曜日担当の医者のコメントが記載されていた。どうやら種々の検査も終了し総合していろいろな疾患を除外していくと脂肪肝がもっとも疑わしいとのこと。・・・ううん、肥満があるとはいえ、でも10歳児なんですよね・・・。確かに食生活は1日4食でジャンクフードの間食三昧。そしてとにかくコーラが好きで1日何缶も飲んでいると(当時は確かペットボトルはまだなかった)。今のギャグなら「どうだぁ、ワイルドだろぉー」というのであろうが笑い話ではない。さていままで肝機能障害ということで安静状態にしていたが脂肪肝となると今度は運動させ食事療法で痩せさせないとならない。先週までは安静に、今週からどんどん運動しなさいとは何となくばつが悪かったという思い出である。すでに昔のことであったが学童の間にも生活習慣病が入り込んでいたという私の最初の驚き体験であった。それにしてもまだ10歳の未成年なのにすでに成人病とは・・・。今この児童はどうしているのだろうか?


診療こぼれ話 その7

2012年11月16日 07時01分43秒 | インポート

 生活習慣病のことを、昔は成人病といっていた。食事習慣や日ごろのエキササイズ不足などが昔で言う成人病の成因に大きな割合を占めていることからこのような呼び名になったのかもしれない。昔の話である。医者になって10年目頃だった。週1回行っているバイト病院に10歳の男子が入院していた。当時で言う肥満児だった。カルテをみると肝機能障害精査目的入院とあり、肝炎ウイルスの検索やら薬剤性肝障害の可能性がカルテに記載されていた。肝酵素は中等度の上昇であり、本人は何の症状もなく毎日を病院のベッドでもてあましていた。いろいろ医者が日替わりで診察しそれぞれの診断やら印象やらがカルテに書かれていた。私はとりあえず超音波検査が予定されていたので施行した。特に胆道系の拡張やら門脈系のうっ滞もない。結石もはっきりしないのである。しかしなんとなく肝臓は高輝度でbright liverの印象があった。どうも脂肪肝のような感じであった。結局分からないままその日は帰宅した。


診療こぼれ話 その6

2012年11月15日 07時00分38秒 | インポート

 このような確固たる一家言をお持ちの患者さんとお話しするときは大変なのである。まずはお持ちの持論をまずやんわりと否定することからはじめるが、これはうまくやらないと気分を害される。お話してもなかなか納得されないことも多い。このプロセスが面倒くさいし外来診療においてはリスキーなのである。怒らせたらまずい。そして持論を白紙にもどしたとしても、そこから新しい考えを受け入れてもらうまでにはまたまた一苦労なのである。昔はこの「隣の花子さん」を否定するような健康相談もしていたが最近では一切やめた。労多くしてまったく何ら得はないのだ。「先生、私36.5℃ですが今これはかなり熱があるんですようっ」 そういわれたらこう答えることにしている。「あぁ~そうなんですか。そりゃ大変だ」 こう言ってしまえばわずか数秒で話は次に進めるのである。スムーズに診療を進めることのほうが患者さんにとってはより大事なのである。そこに気がつくまでに5年もかかった。


診療こぼれ話 その5

2012年11月14日 06時42分32秒 | インポート

最近、ようやくひと段落ついたが、「トイレの花子さん」的な都市伝説のような話題である。一時期体温が低いと病気になるとかいわれた時期があった。患者さんも体温低いことは悪いことで体温が高いほうがよいのだと括っていた人も多かった。私にしてみればまあ別にどっちでもいいのである。自分の通常体温を自ら厳格に定め、その体温から増減するととたんに「病気になる」方も多い。 「風邪ですか? お熱は、ええっとー、36.7℃で平熱ですねー」というと即座に切り返される。「いやっ、先生私の平熱は35.6℃ですから、今のこの体温では私は熱があるのですっ!」とキッパリと否定されるのである。正直言ってこれら患者さん達がお持ちの「平熱論」には参加したくない。面倒くさいのだ。とりあえず開業医は健康相談なども行なっているのだが、このような持論をお持ちの患者さんはご自身の健康バロメーターに確固たる一家言をお持ちなのだ。しかしながらその一家言の根拠はどうも「○○さん(友人)がそう言っていたから」とか「TVのバラエティ番組で観たから」といった比較的医学的根拠の乏しい都市伝説を信じられているようなのである。


診療こぼれ話 その4

2012年11月13日 07時03分07秒 | インポート

 外来患者さんの訴えを聞き病状を推定することは必要なことである。患者さんのお話だけから診断到達の7080%まで進むこともある。患者さんから正確に症状をお伝えいただけるととてもスムーズに事がすすむのである。しかしながらそうそう話が早くすすむことはない。私:「お腹が差込のですか?」 患者さん:「いやそうじゃなくて、キリキリするのです」 私「キリキリと差し込むのですか?」 患者さん「そうじゃないんです、キリキリなんです」 私:「・・・痛むの・・ですか?」 患者さん:「いやっ、そうじゃなくてですねっ、キリキリといった感じなんですよ」 私:「・・・」 ここで私が黙ってしまうと診療が進まないのであるが八方塞がりなのでつい黙ってしまう。とにかくなんとかきっかけを見つけて自分がしゃべりださないとはじまらないのである。 「え~っと、で、下痢はありますか?」といって当該事項は受け流して次に進むのである。うーん、辛いなー。でもこれが自分の商売なんだからしょうがない(笑)。