私はずっと救命センター勤務であった。だから糖尿病からの重度合併症を併発した患者さんはよく治療していたが、外来の元気な糖尿病の患者さんとはあまり接してはこなかった。今までは救命を目的とした治療が優先されていたので結構、有無をいわせずこちらの意向で治療を施行していた。しかし慢性期の管理では患者さんの意向が最優先される。だもんで、話がなかなか先に進まずガツンとした治療がいつまでも開始できない時はヤキモキしてしまうのである。私は気が短いので、それをグッとこらえているのは結構ストレスだが・・・。
もちろんこのご婦人の糖尿病克服のカギはご本人の性格もあるのであろう。最近、なんとなく糖尿病の患者さんと話していて「あ この患者さんは治りにくいな・・」と感じることもある。軽めに言ったらきちんと自制してくれないし、強めにいうとプイと外来に通院してくれなくなるような感じの人もいる。どこか別の病院に行ってくれればまだしも、どこにも通院されなくなるのが一番困る。何とかすこしずつうまいこと言いくるめて通院させながら徐々に治療内容を厳しくしていくのだが、これはまさに駆け引きである。私は本当はものすごく気が短いので、こういうやり方は苦手なんだけど・・・。
その肥満、不整脈、糖尿病のご婦人は不整脈発作が随分つらかったご様子だったので「辛い不整脈の発作も含めて、すべてその根源はその体重です。減らしましょう」といったところ、それがモチベーションになった。以来、食事制限および1日もかかさない散歩で、体重はみるみるうちに減少し、落ち着かない血糖値も下降し、不整脈発作も、コレステロールも血圧も安定してきた。これなら投薬内容も少し減らすことも可能であろう。あとはこのモチベーションの維持が重要である。次は何と言おうか? しかしながら突き出た自分の腹をさすりながら人に向かって「体重減らせ」とは説得力がないのだが・・。
何かモチベーションがないと糖尿病の自己管理は難しいと書いたが、通院されている患者さんの中でとても自己管理の優秀な方もいらっしゃる。肥満、糖尿病から高血圧、狭心症を併発し日本医大で治療され退院後、うちでフォローしているご婦人だ。大学からの紹介状をみて、正直「は~・・・」とあまりの管理の悪さ、データの悪さに絶句した。今だから言うが「これは街の開業医レベルで管理できるだろうか?」と思った。時々不整脈の発作もあり、正直閉口した。
自身で厳密な体重管理、食事管理、内服管理をやってくれる患者さんは、やはり糖尿病のコントロールは優良であることが多い。しかし糖尿病は痛いだの辛いだのの症状に乏しいので、なかなか「自分で頑張る」というモチベーションを持続させるのが大変である。自分だって目の前のご馳走を「半分だけ食べなさい」と言われたら難しいと思う(というか不可能だ)。食べ盛りの若者のいる食卓で自分だけほそぼそとしたメニューは辛いのも事実。はあ~・・・。
高血圧の患者さんが多いのはわかるが、最近、意外と糖尿病の患者さんも多いのには驚いている。まあ少なからずいるとは思っていたが予備軍を含めるともっと多いのだろうなと思う。これがまたやっかいなのは症状がほとんどないことである。ですので、ご本人の自覚がないと、なかなか生活の制限ができないのでむずかしい。あまり、テキトーな生活指導にして、なあなあであってもいけないし、あれもこれもダメ!ときついこと言い通院されなくなっても困る。ここは投薬の「さじ加減」よりも、診療・生活指導の「さじ加減」のほうが難しい。
とりあえず消化器内視鏡の専門医はもっていますが、この地域ではこの専門だけでは対応できないので、いろいろ内科、外科もやっています。外傷関係では時々、ケガの方が見えられます。もう何人も縫合手術をしましたし、また皮膚腫瘍や巻き爪が化膿した人も外科的処置を行いました。意外だったのが大きなケガの方がこないことです。父の代では結構ひどい大ケガも扱っていました。まあ時代が違うのでしょうし、きっと大きな病院にいくのでしょう。深くて大きな傷を「いかに修復しようか」と考えながらの縫合処置はある意味ダイナミックでやりがいがあります。でも・・よく考えると、それらを可能とするような複雑な手術器材等を準備していないので、対応はできないでしょうけど。
ここしばらく内視鏡検査の患者さんがきていない。お見えになる患者さんは地域的に近隣在住の方がほとんどなので、遠方からわざわざ胃カメラや大腸カメラの検査を目的に訪れる人はほとんどいない。もっともうちのクリニックは内視鏡検査だけの診療ではないが、もう少し増えてほしいところである。とりあえずうちではルーチンには鎮静剤は使用してないが、希望があれば鎮痛でも鎮静でも何でも行うことにしている。
もっと分かりやすく言えば、水道の蛇口にゴムホースをつないで思い切り蛇口を全開にしたり、急に緩めたりを繰り返せばよい。一定の流量で流し続けた場合とくらべてゴムホースが裂けるのはどちらが早いかは明白であろう。また古いゴムホースで、すでに劣化していたらこれまた裂けるのも早いだろう。劣化したゴムホースを動脈硬化の存在する血管と考えるなら高齢者の破傷風はきつい・・・。
急激な自律神経の変動は循環動態に負荷をかけるので極めて怖いのである。日本の絶滅した典型的な父親像として表現される「ほら~お父さんそんなに怒ると血圧によくないわよー」と妻にたしなめられる光景がある。急激な血圧上昇が身体によくないのは周知だが、1日のうちに何回も血圧を急上昇させればまあ健康的でないことは理解できる。
胃カメラに引き続いて、大腸カメラをやってもらった。ボクの大腸は挿入するのがそう簡単ではないのは前から知っていた。でも彼は上手く?入れてくれて小さなポリープもとってくれたが、ボクは痔があるので、むしろ肛門の方が痛かった。鼻腔も狭いし肛門も痔で痛いし、しょうがない身体だ。昔、長州力が「キレてない、キレてない、あの程度じゃ俺はきれないよ。この俺を切れさせたらたいしたもんだ」と言っていたが、ボクだって「俺の盲腸まで挿入できたらたいしたもんだ」と言いたい。彼のところは流行っているので宣伝はしてやらないけど。
休み中じゃないと自分の健診がなかなかできないので、夏休みの間に胃カメラと大腸カメラをやってもらった。自分の内視鏡修行時代の仲間の先生だが、もちろん技術的には上手いのは当然。経鼻胃カメラをお願いしたが結局、 自分の鼻腔内は狭く?、十分、麻酔をしても結構、痛いので経口に変えてもらった。やっぱりボクは経鼻の胃カメラはするのもされるのも向いていないようだ。
本日より休診とし18日(月曜)より平常診療を開始いたします。急患や急な往診には連絡を頂ければ適宜対応いたします。その間ブログも一時お休みさせていただきます。
さてオリンピックがはじまりました。以前、水泳の北島選手と同じマンションにすんでいました。よく駐車場でお見かけしました。開業してからは北島選手と一緒に練習している女子選手が受診にこられました。日本新もだしたので注目していましたが残念ながら予選敗退されました。でも日本記録でしたのですごい健闘です。ご苦労様でした。
自律神経変動の嵐とは、いきなり脈が速くなり、突然血圧が200以上にもなって発汗、皮膚紅潮するという、突然の交感神経緊張状態の波に襲われることである。このままであると高齢者であれば脳出血など起こしかねないので降圧剤を投与する。ところがこの波は突如として引いていくので今度は血圧がいきなりストーンと80以下にもなりショック状態となるのである。
大変なこととは、ずっと人工呼吸器管理にしているので肺炎をおこす。そしてずっと鎮静剤を投与しているので薬の副作用で時にひどい肝機能障害をおこす。そして破傷風の経過としてもっとも怖いのが自律神経変動の嵐が起こることである。これは発症後数日から2~3週くらいまで続く。これが来たらこちらの血圧も変動する。