このように敗戦後の日本はお行儀の悪い外来文化に、古来の武道の精神性までもが塗り替えられたのである。戦争に負けたのでそれもやむをえないのであろうが、しかし野球は当初からとてもお行儀の悪いスポーツだったのである。日本の「敗者をいたわる」マナーを駆逐しておきながら、いまさらこのお行儀の悪い野球というスポーツの中で、田中投手が「相手をリスペクト」していないなどといわれるのは片腹痛いのである。まるでフルチンの相手から「お前のズボンのチャックが開いている。それは公衆の面前ではマナー違反だ」などと言われているような思いである。あのロペス選手の怒号の映像をみるにつけ米国野球の横暴さに何かとても奇妙な感じがした。日本も「サムライ日本」などと称し古来の精神性をアピールするのであれば、ガッツポーズや派手なパフォーマンスは封印して「こともなげに」振舞うほうが強そうに見えると思うのだが。あの王選手は現役時代、何回四球をなげられようとも、デッドボールを受けようとも、ホームランを打ったときでも淡々とダイヤモンドを回った。そのほうがやはりカッコいいのである。<o:p></o:p>