吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

大人の階段 その2

2014年01月31日 05時43分45秒 | インポート

  記憶は曖昧であるが、たしか小学校低学年の頃の、生活目標に「お薬がきちんとのめる」などと言うような一文があったような気がする。つまり学校でも推奨し到達することが望ましい運動機能の目標であった。「良薬口に苦し」などという言葉があるくらいなので、効能を得るためには通過儀礼として苦みという関門を越える必要があった。しかし一度、服薬方法を体得すれば粉薬などなんでもなかった。最初に粉薬を口に含んでしまうと口の中に張り付いてしまう。そこに水を入れてもダマになって薬は溶けない。だからまず上を向いて口の中に水をため、その「池」の中に粉薬を投入すれば容易に飲み干せるのである。料理で小麦粉の中に水をいれるより、ボールに貯めた水の中に少しずつ小麦粉を注ぎいれるほうがダマになりにくいという原理である。まあいまさらこんな方法を解説してもしょうがないし、この方法でも飲めないという人もいるだろう。ただ自転車に乗れる乗れないのという運動機能のレベルよりも、いざという時に必要で重要な大人への階段だと思うのだが・・・。 <o:p></o:p> 


大人の階段 その1

2014年01月30日 05時53分25秒 | インポート

    子供が次第に成長する過程で精神運動発達のマイルストーンがある。たとえば生後4か月で首が座る、1歳になると一人で歩けるようになる、3歳になると自分の年齢が言える等などである。またある程度、練習しないと習得できない運動機能もある。それはブクブクうがいしたり自転車に乗ったりするようなものであり、個人的運動能力を必要とするものである。自転車などはさておき、自分が幼稚園や小学校低学年の頃であったが、上ることが必要とされた「大人への階段」があった。これは上らないと自身が周囲から認めてもらえないばかりでなく、生活上必要欠くべからざるものであったため半ば強制的にも習得させられたような記憶がある。それは「粉薬が飲めること」であった。当時の粉薬はドライシロップのように味付けされたものはなかった(ように思う)。とにかくなんだか苦いのである。しかもうまく飲まないと口腔や咽頭にへばりついていつまでも居座るので厄介だった。これをきちんと飲めることは、(もしかしたら自分の周囲だけの話だったかもしれないが)、同年代の子供らの中で一つ大人になれたと自慢できることであったし、あるいは周囲からも認めてもらえる運動機能の一つであった。<o:p></o:p> 


感染性胃腸炎の大流行 その8

2014年01月29日 06時07分37秒 | インポート

    それでもマスメディアは企業側に対し安全性の担保を最優先させるような報道をするだろう。しかし安全性を担保したかどうかは、その商品や提供されるサービスの中には見えてこないものである。そのため消費者側には目の前の商品が安全かどうかは伝わってこないのである。食品の衛生管理もそうであるが、たとえば他の職種であれば航空会社における機体の安全点検業務もそうである。この部分を疎かにすれば低コストで済むが安全性は落ちる。医療でも安全管理、衛生管理などにコストをかけても請求点数がないので自腹を切ることになる。つまり安全性の確保とはお金はかかるが収益を生むものではなく、かといって疎かにしてもし事故がおこったなら徹底的にたたかれ企業生命も失いかねないものなのである。高い商品でも「安全が含まれている」と納得して購入してくれる消費者ばかりであればよい。低価格で、かつ安全であるという二つの相反する命題を併せ持った商品が世の中に存在すること自体難しくなったと理解しておく必要があろう。<o:p></o:p> 


感染性胃腸炎の大流行 その7

2014年01月28日 06時09分10秒 | インポート

   要は食品衛生業界における感染防御対策の落としどころをどうするかである。TVでいうところの感染専門医の方法をすべて対策法に取り入れるのは果たして現実的であろうか? 今回の集団感染では何らかの落としどころをつけないといけないのであろうが難しく議論も多いところである。もしかしたら行政関係者は「そりゃ~理想いうのは簡単だけど、やるのは我々でありいざシステムを作り上げるとなると現実性にかけるなー、言うだけなら楽だよなー」とぼやいているかもしれない。当該企業も今回の集団感染は「えっ、なんでうちから(感染者が)でたの?」と意外に思ったかもしれない。もっともっと感染対策の疎かな企業もたくさんあるはずであろう。そのような会社では「あ~うちでなくてよかった」と思うかもしれないが、それは正直な気持ちである。それほどまでに感染力は強いのである。なのでそれを今後どうしたらいいのだろうかという問題は理想論と実行性の狭間で揺れ動き、そうそう解決できるものではない。困ったものである。<o:p></o:p> 


感染性胃腸炎の大流行 その6

2014年01月27日 06時09分25秒 | インポート

  TVでのコメンテイターのコメント聞いていて「え~そこまで食品衛生に期待するの?」と驚いた。当該企業は比較的万全と思われる感染防御対策をとっていたと思われる。おそらくこれ以上コストをかけてノロウイルス対策をしたとしても、ものすごい感染力であるためおそらくは感染防御としてはそれでもなお難しいものと思われる。今回は健康保菌者からの感染が原因と言われているが、健康保菌者ならば「何ら」症状がないので「下痢したら出勤しないように」などとのマニュアルも役には立たない。かといって全従業員に対しノロウイルス健康保菌者の有無を「定期的かつ頻回に」検査するというのもコストがかなりかかり現実的ではない。しかも必ずしも健康保菌者が「感染源」になるわけでもないし、ここまでくると魔女狩りみたいなものになってしまいそうである。まるで食品を製造しているのか保菌者探しをしているのかどちらが本業なのかわからなくなる。<o:p></o:p> 


感染性胃腸炎の大流行 その5

2014年01月25日 06時42分23秒 | インポート

   もし院内で専門的に行う感染対策を一般市民に適用するのであれば、そこから先はどうやって市民普及のためのシステムを作り上げるかということになる。まず誰が指導するのか? 対象者は全食品関係業者にするのか? 営業開始は講習修了者への許可制にするのか? 講習予算はどうするのか? 今回の事故は当該一企業の感染対策不備を追及することで終結する話ではない。でも何だか報道はここまでで終わりそうな雰囲気である。もっとも食品衛生の分野では水面下で根本的な対策変更に迫られ議論百出になるであろう。今回、TVでコメントした感染専門医やコメンテイターが一般市民や企業が行うにはかなり難しくて大がかりな感染対策を提案した。しかしそれをいざ実行に移すとなると現実的にはかなり大変である。実行性を考慮しないで「こうすべきである」とTVで言うだけなら「言うだけ番長」であり、やはりそれは気楽で無責任なのである。<o:p></o:p> 


感染性胃腸炎の大流行 その4

2014年01月24日 07時11分43秒 | インポート

   「こと」が起こればきちんと対応策がなされていたのかどうかをほじくり調べるのがマスメディア仕事である。これはしょうがない。しかしある程度きちんと対応策がなされていたにもかかわらず事故に発展した場合では「対応が手ぬるかったのではないか」とか「もっと万全な対応策が必要だったのではないか」と後付で追い討ちをかけるである。「この対応策がとられていたのだから、まあやむを得ない感染事故ですね」とは絶対に言われることはない。このような事後のコメントはいわば「後出しじゃんけん」なので楽であり、かつ無責任なことでも言えるのである。たとえば万全な対策の一つとしてディスポの手袋の使用がある。しかし問題はそのつけ方である。つけ方を間違えば確かに手袋の外側にウイルスが付着し手袋をつけた意味がなくなる。しかもこれは「清潔・不潔」のゾーン思考(ゾーニング)ができていないと不可能であり、一般市民には難しい操作となる。<o:p></o:p> 


感染性胃腸炎の大流行 その3

2014年01月23日 05時53分11秒 | インポート

   そのパンの製造工場の感染防止対策をみて驚いた。かなり万全なのである。おそらくは今の食品衛生にて行いえる、最高ではないにしろ、最低限はゆうにクリアした感染防止対策が取られていると感じた。企業の対応としてはこれ以上の対応策はコストがかかるであろう。しかしそれでも今回のノロウイルスというものは感染力が強すぎるのである。TVにてコメントした芸能人医師や、あるいは感染症専門医のコメントも聞いたが「えっ、医療従事者ではなく一般人にそこまで期待するの?」というほどの面倒くさいガウンテクニックや手袋のつけ方まで披露していた。ここまで来ると医療現場で行われる「滅菌・不潔」の概念や消毒法にまで言及しないといけないし、そこまでのことを一般市民、殊に食品を扱う全業者に期待することが果たして現実的なのかと疑ってしまった。<o:p></o:p> 


感染性胃腸炎の大流行 その2

2014年01月22日 06時00分27秒 | インポート

  さて正解は「生体外に存在するウイルスは増殖しない」のである。ウイルスは細菌と異なりミトコンドリアを持たない。そのため外界の発育環境を整えてあげてもウイルスは自己増殖しないのである。細菌はその点で異なり温度、栄養、湿度、環境のPHなどについて至適な状態をたもてば、外界でも増殖していくのである。たとえば高温、多湿環境では細菌の増殖に適しているためよく食中毒がおこりやすい。なので食品は低温、低湿度の冷蔵庫で保存する。そうすれば雑菌の繁殖速度は遅くなり一定期間保存がきく。また漬物は、塩分濃度の濃い環境下に置いておけば、細菌が発育する環境ではないため細菌が繁殖せずに保存ができるのである(注:塩分濃度3%でも繁殖する細菌もあるが)。しかしこれは細菌においての話であって、ウイルスは外界にあるだけでは自己増殖しない。ウイルスはどこかの生体に入り込んで他人の「コピー機」を勝手に利用して増殖するのである。なのでこの芸能人医師のいう「パンについたウイルスは時間がたてば数がふえて・・・」なんてことはあり得ないのである。きっとあとで誰かに指摘され「しまった」と思っているだろう。残念である。<o:p></o:p> 


感染性胃腸炎の大流行 その1

2014年01月21日 06時51分49秒 | インポート

 最近、浜松市の学校給食にて1000人もの感染性胃腸炎の発症者が出たとTVで報道された。感染源はパンに付着していたウイルスによるものらしい。この類の事件(?)が起こるとかならず医師のコメントが放映されたり、あるいはバラエティ番組では芸能人医師(?)が出演してコメントがなされたりもする。芸能人医師の怖いところは、広く医療分野に精通していないといざという時のコメントで大恥をかくことである。朝の情報バラエティ番組をみていたら、時々TVでみる女性医師のコメントがあった。「このようにパンについたウイルスでも時間がたてば増殖して増えているでしょうからねー」と。同じ医師として恥ずかしい限りである。医学生レベルの間違いをしている。これだからTVはやっかいなのである。思い違いでも発せられた言葉は取り返しがきかない。下調べなしでコメントを返さなくてはならないので生番組はこわいのである。<o:p></o:p> 


冬の流行

2014年01月20日 06時53分53秒 | インポート

 新年になって1月ももう下旬になりました。しかし散発的には陽性者がいるものの、昨年度のようなインフルエンザの爆発的な流行はいまだに見られていません。今後、2月や3月に爆発的に流行するかもしれないと考えたら少し不気味です。高齢者で区の助成付きインフルエンザワクチンの接種を受けられた方は、結構10月の開始直後から受けられに見えています。10月に受けられた方はあれから4か月が経過しており、もしかしたら抗体値が低下しているかもしれません。2月、3月に流行されたら10月に接種した場合、もしかしたらり患・発病する可能性があります。なぜ、今年は爆発的な流行がないのでしょうか? 昨年より気温は低く湿度も乾燥しているので流行の条件はそろっているのですが。まあもちろんこのまま大流行がないほうがいいのでしょうが、まだまだ冬本番はこれからですので・・・。


マスメディアの注目度 その6

2014年01月18日 05時50分32秒 | インポート

   多くの医療訴訟が今まで報道されてきた。最初から医療機関側が「悪者」の報道である場合が多い。医療機関にとってこのイメージを周知されることは大きな痛手である。現在、医療保険の締め付けが厳しく、ただでさえ医療機関が閉院に追い込まれる時代である。中小の医療機関ならこの報道だけで今後経営破綻に追い込まれるであろう世の中なのである。医療訴訟は数年もかかるのはしょうがないが、その間、信用の失地回復もないままではなすすべもない。数年後訴訟が結審した時に、特に結果内容と診療内容に因果関係は認められないという判断がでた場合であるが、ほとんどマスメディアは注目しない。報道されるとしても一行くらいであろうか。最初に大々的にアドバルーンを上げた勢いはどこにいったのかと思われるぐらいの萎み方である。このまま当該医療機関の信用は失地回復してもらえないままなのである。やはり医療機関の配役は最初から「悪役」なのであろうか。またこれが原因で閉院に追い込まれた医療機関に対して報道関係者はどのように考えるのか? 少なくとも地元に医療機関がなくなることで地域の住民には大きな痛手を与えているのであるが・・・。 


マスメディアの注目度 その5

2014年01月17日 06時49分47秒 | インポート

  某首相経験者のコメントであったが「一国の首相はもともと周りから批判されたり文句を言われたりする職業なので何を言われてもしょうがない」と言っていた。世の中で不都合や不具合が悪いことがあれば「行政が悪い」と役所がやり玉にあがることも多い。たぶん両者とも不本意であろうが、同様に医療機関にとっても、初回から悪玉に設定されるのは極めて不本意なのである。特に診療の流れの中で生じた結果が予期されたものか、不慮の顛末なのかの因果関係を証明することは極めて難しいことである。医療訴訟では種々の資料を検討しつくしてもそれを証明することは困難である場合が多いのである。それなのに事故直後からすべて医療側の過誤であるように報道されるのは事実誤認でもあり思想誘導ととられてもやむを得ない。<o:p></o:p> 


マスメディアの注目度 その4

2014年01月16日 07時02分55秒 | インポート

 近年では医療事故の際よく記者会見の様子が報道される。マスメディアも大々的に取り上げる傾向がある。ほとんどの場合であるが、最初から結果の因果関係も証明されていない段階にもかかわらず、医療機関側が加害者であるかの報道がみられることが多い。この水戸黄門ドラマにおける最初から悪役と善玉を配役するような、決めつけ型報道はよくとられる報道手法である。その他の職種では、政治家や行政機関にたいしても行われる場合が多い。つまりたいてい政治家、役人または医者などを最初から悪玉をとしていればすむのである。これは読者や視聴者に対し勧善懲悪の図式を最初から刷り込むことができるので、きわめてわかりやすく受け入れられやすい。つまりは曖昧な内容よりも、最初から明快に答えの出ているほうが読者(視聴者)には注目を集めやすいので、販売部数促進や視聴率を稼ぐための手っ取り早い「お決まり手法」ともいえる。<o:p></o:p> 


マスメディアの注目度 その3

2014年01月15日 05時39分45秒 | インポート

 この容疑者は自分の顔が全国区になることを自身はどのように捉えているのであろうか? 別に何とも思っていないかもしれないし、あるいは「なんでこんなに大騒ぎするんだよ」と面食らっているかもしれない。また逆に劇場型の犯罪の特徴では注目を集めていることを喜ぶ場合もある。まあいずれにせよ、日本では(日本国内では)、このような警察関係からの逃走は極めて無意味であり、また同時に自身にとってまったく不利益な行為でしかない。警察は己のメンツにかけて人員を総動員し、身柄確保に全力をあげるはずである。マスメディアも、たぶん話題的に面白く、視聴率も取れるからとりあげるのであろうが、周辺住民に注意喚起する意味でもこぞってTVで取り上げるはずである。数年前のオウム真理教の指名手配者もこれだけTVで報道されたからこそ検挙につながったのである。日本における「逃走」という行為は、マスメディアの扱い方次第であるが、とりあえず極めて割の合わないエネルギーの使い方であると周知されたであろう。<o:p></o:p>