さて大昔の話である。大学時代、大学祭の実行委員なるものをやったことがあった。大学祭のパンフレット作製に携わったが、広告収入を得るために製薬会社から広告を募った。それは過去の大学祭でも代々行われていたことである。当然何の疑いもなく広告を募り数社の承諾が得られ印刷用の版下ももらい印刷へ回す手はずになった。しかしパンフが出来上がった頃になって急にクレームがついたのである。大学生協の店長が「製薬会社のCMを学生のパンフに収載するのはけしからん」というのだ。どうやらこの店長の親戚が昔、薬害禍での被害者だったらしいのだ。忙しい中、何回もその生協店長と話し合いの席がもたれた。彼の一貫した意見は「CMを乗せるということは、その商品に対して100%の責任を持つということである。自分たちがその商品、その会社を保証し責任を持つということだ。君たちに薬の保証ができるのか?」と何度も言われた。まだ社会に出ていない医学生にとっては何だか訳も分からず社会の常識であるといわんばかりの理論をつきつけられたのである。<o:p></o:p>