吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

Nさん6

2010年07月31日 06時29分35秒 | インポート

 振り下ろした円筒から練炭の燃えカスが飛び出し煙幕状にひろがった。もし周囲で見ている人がいたら、おそらく私は煙幕とともに消え去ったと思うだろう。でも違った。私は振り下ろした瞬間にバランスを崩し地面に落ちたのだ。2mくらいの高さであろうか? 不思議と今まで沢山のケガはしたが骨折の経験はない。この時も骨の一つでも折れてよさそうだったが軽い打撲のみだった。私が転落して痛がっているところに「朴」という在日の子供が通りかかった。今なら「パク」というのだろうが、当時は日本語読みで「ボク」とみんなが呼んでいた。自分より数歳年長であるが、普段一緒に遊んだこともある近所に住んでいる子であった。


Nさん5

2010年07月30日 06時47分04秒 | インポート

 ステッキを振ると煙幕が張れるというのは憧れだった。そこで近くの呉服屋のゴミ箱から、反物が巻きつけられているボール紙でできた円筒形の巻き芯を頂戴して、その片端のみをふさぎ、その棒状の筒の中に各家庭から出された練炭の燃えカスを詰めたのだ。思い切り振ってみると燃えカスが煙状に舞い散り、煙幕のようになった。得意満面、Nさんの店の横に積み上げられた薪束の上によじ登った。そして通り過ぎようとするバイクを少年ジェットに見立てて、「ううぅ~む、ゼット(ジェットなのだがそう聞こえた)くん、今回は私の負けだ」と叫びながらそのステッキを振り下ろしたのだ。


Nさん4

2010年07月29日 06時39分40秒 | インポート

 Img1901 いわゆる「燃料屋」さんであった向かいのNさんであるが、夏は氷の販売、そして冬には薪や炭などを売っていた。店の横の壁際には売り物の薪が束ねて積み重ねてあり、それが2階の高さにまでになっていた。子供にとっては格好の遊び場だったのである。まさに登って下さいといわんばかりの「危険な遊具」である。自分も何回も登って遊んだ。そして何度も落ちた。致命傷に至らなかっただけ運が良かったろう。当時、少年ジェットというテレビドラマをやっていた。少年ジェットに追い詰められた黒マントの悪漢がステッキをふると、とたんに白い煙幕が張られて逃亡されてしまう場面が好きだった。(写真がN燃料店の薪と自転車に乗る兄)


Nさん3

2010年07月28日 06時52分02秒 | インポート

 向かいからの怒声はNさんだった。お酒によっているようだったが、お父上の胸ぐらをつかみ、聞き取れないほどのがなり声で何か怒鳴っている。時々語尾のみ「・・・・だろー! っこの野郎!」と聞こえるのだ。時々、片足で店のガラス戸を蹴飛ばして何枚もガラスを割っている。そのたびに「ボンッ! ガシャーン!」と耳をつんざくのだ。そういえば彼は普段からよくお父上に怒られていた。その理由は知る由もない。おそらくそんな普段からの鬱憤が爆発したのかもしれない。自宅2階の窓からこの諍いを眺めていたが子供の目には強烈な光景であった。翌日、彼の母上が割れたガラスをほうきで掃いて片付けていた姿が妙に切なかったような気がする。


Nさん2

2010年07月27日 06時51分17秒 | インポート

 当時の自分の歳は彼とかなり離れていた。しかも相手は社会人であるので遊んでもらった記憶はない。しかしうちの診療所の向かいのお店で黙々と氷を切る姿が妙に脳裏に焼きついているのである。イメージは少しやさぐれた雰囲気もあったが、寡黙で仕事熱心な青年であったようだ。当時もほとんど話をしたという記憶はない。しかし氷を切ると「カキ氷」のような氷屑が出るので、横で見ていると時々「ほら」とそれをくれることがあったのだ。夏場の暑い日の楽しみでもあった。ところが、ある夜のこと、向かいからガラスの割れる音と怒声が聞こえてきた。


Nさん1

2010年07月26日 06時59分01秒 | インポート

N_2 昔、夏の暑い日はカキ氷やアイスが楽しみだった。当時、うちの診療所の向かいにはNさんという氷屋さんがあり冬は薪や炭などをうり、夏は氷室から氷をだして四角く切り分けられて売っていた。まだたぶん氷の冷蔵庫のほうが多かった時代である。小さく切り分けられたといっても氷は重い。当時は氷を買うとそれを荒縄でくくってもらい、ぶら下げて持ち帰った。夏になると「シャッシャッ」と金属ののこぎりで氷を切る音がまさに夏の風物詩であった。Nさんのところでは息子さんが働いていた。当時たぶん10代後半か20代前半とおもわれるので、今、お元気なら60代後半であろう。


熱中症

2010年07月24日 06時52分31秒 | インポート

 さて今週は猛暑日が続きました。この暑さには耐えられませんでした。屋外でのお仕事の方は本当にご苦労様です。十分水分を取るように心がけてください。汗をかかなくとも呼気から1900mlの水は不感蒸散として自覚しないまま失われます。それに汗などかけばその分を上乗せしなくてはなりませんので1日でも2Lくらいの水分補給が必要になります。さて大汗をかいたあと水分のみ補給しても、汗の中にあるナトリウム補給ができないので低ナトリウム血症となり筋肉の有通性の収縮(こむら返り)をきたしやすくなります。これも熱中症の1種ですので塩分補給もお忘れなく。


確率 その3

2010年07月23日 06時46分35秒 | インポート

 つまり統計学的確率からいうと起こりえない確率で当たっている。これら2つのイベントではランダムな抽選といっているがそれは嘘であり、なんかしら操作された抽出方式があるのだと彼は言うのである。確かに気持ちはわかる。彼はかなり多忙である。裁判で平日休みを突然入れたらものすごい打撃であろうし、通院中の患者さんからは信用をなくす。その保障が国からの微々たる日当では割が合わない。東京マラソンは日曜だから診療に影響はないのでこれはいいだろう。でも、もし自分の場合であったらマラソン翌日は疲労や筋肉痛で診療に影響が及ぼされると思うが・・・(まあマラソンなんて自分はできないが)。あっ、いやっ、彼はそんなことをいっているのではなく抽選方法の不合理さをいっているのでした・・。ところで裁判員制度って国会で議論されましたっけ? 知らない間に決まってしまいましたよね? 真相は闇の中だが。


確率 その2

2010年07月22日 06時55分12秒 | インポート

 最終的に裁判員として選ばれるのは5600人に1人だそうである。裁判員は裁判員リストへ登録された者の中から選ばれるが、このリストへの登録者数は明らかではない。もし裁判員の10倍と仮定すれば5万人となり、リストに登録される確率は0.2%となる。彼の言い分は「9人に一人(確率11%)の東京マラソンに落ちて、5万人に一人(確率0.2%)の裁判員になぜ当たるのか?」ということである。両方当たったり、両方落ちたりするのはまだわかる。また東京マラソンに当たって、裁判員に落ちるというのもわかる。しかしどう考えてもこの当たり方の確率はランダムに抽選していない、としかいいようがないというのだ。つまりなんかしらのバイアスがかけられて意図的な抽選が行われているというのだ。・・・う~ん、確かにそのようである。カイ二乗検定で統計処理をしなくても、どうも有意差はありそうである(笑)。


確率 その1

2010年07月21日 07時09分33秒 | インポート

 この前、大学勤務医時代の元同僚から聴いた話である。彼の趣味はマラソンである。42.195kmを走れるなんてこれは脅威である。自宅兼診療所である自分にとって1日中歩かない日は多いのでフルマラソンなど別世界の話である。その彼が「当選確率9倍の東京マラソンにおちたのだが、一方、ある日突然、裁判員のリストに登録されましたと裁判所から通知がきた」といっていた。今のところはリストへの登録だけであって最終的に裁判員になるかどうかはまだわからない。しかしとりあえず最終的に裁判員になる確率は0.02%(5600人に一人)だそうである。ところが彼は怒っているのだ・・・。


梅雨明け

2010年07月20日 06時40分19秒 | インポート

 いよいよ梅雨が明けましたが、なんと35℃越の猛暑です。しばらく続くようですので熱中症にはご注意を。特に喉の渇きをおぼえない高齢の方も多いので1時間に1回は水分補給をしてください。さて、昨日は7~8年ぶりに携帯電話を替えました。最近の携帯電話は機能満載で使い方がわかりません。覚えるまでにかなりかかりそうです。駅前の携帯ショップに行く途中は日光が刺すように痛かったですが、これからも紫外線はかなりきついでしょう。帰りは駅前の老舗中華の○花源で昼食を・・・。休日の昼間からのビールはうまいこと。


もうすぐ海の日

2010年07月17日 06時33分05秒 | インポート

 もうすぐ海の日である。実にいいネーミングの祭日である。小さいころは毎年、夏休みが待ち遠しかった。とにかく海水浴が楽しみであったのである。海水浴、氷イチゴ、スイカ・・・。とにかく楽しみ満載であった。特に海辺ではスイカ割りをしたような思い出がある。あのアトラクションは誰が考えたのだろうか。でも今ではほとんどスイカ割りもみかけない。今、思うと海水浴に行かなくなって何年になるだろうか? 日焼けすると活性酸素が作られ身体に良くないので、海水浴に行かないのも健康によいと思っていたほうがいいだろう(笑)。


検証 番外編3

2010年07月16日 06時46分39秒 | インポート

 この前、ほぼ寝たきりの患者さんが車椅子に乗せられて外来に連れてこられた。家族は大変な労力であった様子。「先生、足の爪が食い込んで化膿しているようですが・・」と家族。みると陥入爪が食い込んで赤くはれて膿が出ている。「定期的に訪問診療をお願いしている先生が来られた時、治療をお願いしたのですが、『専門外だからこの治療は行いません』と断わられました」とのこと。そんなぁ~・・、しかしこの定期的訪問診療は制度的に「総合的に診てあげること」が条件だったような気がする。できないことをできないと言うことは悪いことではないが、簡単に断わるくらいなら定期的訪問診療料の請求は遠慮してほしいと思う。しかも、もうすでにこの医師が定期的訪問診療をしているので自分が後から参入することはできない。今後、ささいなことでも家族は大変な思いをして患者さんを自宅から医療機関に運ぶことになるのかと思うと複雑な気持ちである。「うちが定期的訪問診療を担当していたら内科系、外科系かかわらず全部在宅で診てあげるんですがね・・」という言葉は飲み込んだ。複雑である。


検証 番外編2

2010年07月15日 06時47分46秒 | インポート

 このマルメの点数設定が曲者なのである。つまり毎回診察だけしか行わなくとも、あるいは採血をしたり、床ずれなどで必要な処置を行なったとしてもすべて点数は一緒なのである。悪い言い方をすれば、診察だけにすれば手間ヒマや自腹分のコストもかからず一番楽で懐も痛まない。ところが患者さんというものは皮膚病になったり床ずれになったり、あるいは転んで足をくじいたりもする。内科系、外科系問わず総合的に診療してあげることが要求されるわけである。ここであまり総合的に診てくれない医師が最初に在宅訪問診療に入っていると少し話が厄介になる。


検証 番外編1

2010年07月14日 06時46分06秒 | インポート

 特に救急医療関係ではないが「どこか変だよ、日本の医療」の続きである。 例えば通院できない患者さんで、かつ入院適応のない人は在宅で訪問診療や訪問看護を受けることになる。いわゆる在宅医療である。この場合、在宅の患者さんを同時に複数の医療機関が定期的に訪問診療することは認められていない。つまり在宅の訪問診療がすでに某医療機関で行われている場合は、あとから別の医療機関が同時並行して定期的な訪問診療を行えないのである。またこの定期的な訪問診療はマルメ(値段が決められている)であり、いろいろな検査や処置を追加しても定額で上限がきまっているのである。