吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

自宅兼診療所 その3

2012年10月31日 06時46分43秒 | インポート

 以前もブログに書いたと思うが、夜間、休日に緊急連絡してくる方の多くは、ほとんどうちにおかかりではない患者さんなのである。やはり困った時の医者だのみではなく、ご自身の健康に留意されてふだんからかかりつけ医にご相談されておくことが大事なのである。まあ自宅兼診療所の利点は緊急時に対応しやすいことなのであるが、緊急にCTなどの画像診断が必要である場合はもちろんうちのような貧乏開業医では対応できない。電話で「大きな救急病院でCTなどの検査をしてもらったほうがいいでしょう」くらいのお話しかできないのである。まあそれでも方向性だけはお話できるので、なんとか自分の地域における役割は果たしているものと思われる。それにしても電話で病状を聞き、患者さんの身体も診ずに判断し、電話で指示を出すのはいつも「危ない綱渡り」だと思っている。情報量が少ないので判断できないことも多いのである。


自宅兼診療所 その2

2012年10月30日 07時01分52秒 | インポート

 うちにおかかりの患者さんで日ごろ通院されている患者さんには、私は「うるさく嫌がられるほど」毎日の療養上の注意を指示する。例えば「毎日の血圧を測定して記録を次回持参しなさい」などというのは軽いもので、「体重は1ヶ月で〇kg落としなさい。次回こちらで体重測定しますよ」「塩分は1日7g以下にしましょう。概算表渡しますので、毎日の塩分摂取量を計算して記録して来月持参して下さい」 とか「間食はだめです。間食するその瞬間に私の怒った顔を思い出してください」などと厳しくやっているつもりである。そのせいか比較的みなさんコントロールがいいようなのである。もちろん私の指示を屁とも思わないツワモノの患者さんもいるが、この人たちにはなかなか敵わない。まあそんなこんなで、定期的におかかりの方ではまあご自身の管理も良く、そうそう緊急対応しなければならない事態には陥らないのである。しかし慢性疾患をかかえながらも、ほとんど医療機関に通院されていない患者さんは時々心配な事態に陥ることも多いようである。


自宅兼診療所 その1

2012年10月29日 06時57分26秒 | インポート

 昔の開業医は自宅に診療所を開設していることが多かったようだ。その割合は知らないが、今ではテナントビル内に診療所を開設し、毎日自宅から通勤してくる開業医も多いようである。それぞれに一長一短あるが、うちは自宅兼診療所である。これは父の代からそうであったので踏襲している。すぐに患者さんに対応できるという利点の反面、仕事とプライベートになんとなくon offがなくなるという欠点もある。まあ大学病院では救命センター勤務だったので災害時や大量患者同時搬入時などではいつでもかり出されるというon call状態だったので、その時に比べれば少しは気は楽である。このような自宅兼診療所を父から引き継いで5年になった。そろそろ少しずつ地域の事情もみえてきたようである。まずは、緊急にお電話を頂いた患者さんの中で緊急対応が必要な患者さんは極めてわずかであることに気がついた。


医療連携室 その5

2012年10月27日 07時32分24秒 | インポート

 その病院の連携室の事務の方には前にも泣かされたことがあった。やはり患者さんを送ったことがあったが、送る前に電話をして受け入れ可能かどうか向こうの医師と直接話をして確認した。そして紹介状の宛名には先ほど電話で受け入れを承諾してくれた医師の名前で送った。それから数日後のことである。連携室の事務から電話があった。「先生のお書きになった紹介状の宛名の先生は当直医であって実際の主治医ではありません。主治医の名前は○○ですので、紹介状をすべて書き直して再度送ってください」と。 ・・・・私は軽い眩暈を感じ、最初この人が何を言っているのかよく分からなかった。宛名は最初に受けてくれた先生の名前にするのは当然である。以後入院して主治医が決まることはよくあることである。でもそんな後々決まる主治医の名前などは分かりもしないし、紹介状の宛名にその名前を書かなくてはならないなどということは世の中の常識ではない。理解不能である。しかし口調は穏やかであるが「書き直してください」とあきらかに上から目線であり、これこそが「お役所仕事」なのであろう。ええ、その時ははっきり言いました。「はっ? 何ですって? 冗談ですよね? お断りいたします」と。日本全国どこをさがしても「紹介状の書き方が悪いので書き直せ」と紹介医に突っ返す病院なんてない。おそるべしっ!(笑)


医療連携室 その4

2012年10月26日 08時12分48秒 | インポート

 どうやらいきさつが読めてきた。医療連携室の職員は病院勤務とはいえ、いろいろな行政機関を転勤する行政の役人のようである。といっても別に役人さんを腐しているわけではない。今回の場合、向こうの医師は「ちょっと聞いといてよ」という程度の感覚だったのだろう。でもそれを依頼された連携室の事務の人は確実な情報を得るために「文書にして」(いかにも役人的である)、しかも明日から連休に入ることを考慮して「本日中に」という注文をこちらに突きつけたわけである。つまり医師からのオーダーには「文書」とも「本日中」ということもなく、事務レベルの(勝手な)判断で「医師からのお願い」として尾ひれ葉ひれをつけてしまったのである。しかし結局「投薬中止同意書」の話の出どころは不明であった。とにかく危うくこちらも忙しい診療の間に不要な文書作成をさせられるところであった。私立の病院における事務の対応はもっと気が利いている。病院によってであるが、きちんとした医療サービスをモットーにした受付事務などでは徹底的な受付対応教育が行なわれている。気が利いている連携室は他にゴマンとあるのである。でもこの都立病院の医師には私は訳のわからないウザイ開業医という印象を与えただろう。 おいっ事務っ! あんたのせいだっ!(笑) 2年経ったら転勤していなくなるんでしょ?


医療連携室 その3

2012年10月25日 07時46分08秒 | インポート

 担当医師が電話に出た。どうも向こうも忙しそうであった。お互い現場の忙しさは理解できる。このようなときに外部からのくだらん電話などには対応したくないのは当然である。明らかに自分のこの電話はくだらん電話である。でもしょうがないのだ。間に入っている事務の方が機能してくれていないのだ。明らかに向こうの医師の対応はどうも私が下らん電話をしているような口調であった。「あ 先生、本日は患者さん収容頂きありがとうございます。今、貴院の事務から連絡がありバイアスピリンの投薬理由と、中止同意書を文書にして送るよう言われましたが、すでに中止しているので同意書はいらないと思いますが。それから投薬理由は以前発作性心房細動があって過去に処方しておりましたが、すでにここ数年発作もありませんし、しかも抗血小板薬は適応にないのでそろそろやめようと思っていました」と私は告げた。むこうの医師はポカンとして「えっ、あっそーなんですか。投薬理由はわかりました。それで結構です。それで文書? 本日中? 私はそんなことお願いしてませんけど・・・」といった。なんだ、話が違うじゃないか!! おいっ事務っ!


医療連携室 その2

2012年10月24日 09時41分25秒 | インポート

  なんらかの緊急的外科処置が必要になった場合、バイアスピリンは止血困難になるので、前もって中止が必要であることは百も承知である。なので、すでにこちらの責任で中止させており、その後に都立病院に紹介したのである。それをあちらの病院では中止の同意書が必要とはこれ如何に? 確かにどういう病気やいきさつでこの薬がだされたのかは紹介状には十分な記載が不足であったかもしれない。これは認める。しかしそれにしてもそれは特に今急がなければならない情報というわけではない。それなのに「本日中に」しかも「文書にて」報告しろとは合点がいかないのである。緊急な医療行為に必要な情報であれば何があって急いで対応するが、どう考えても急ぐような用件ではない。連携室の事務の方ではラチが空かないので、担当の医師につなぐようにお願いした。


医療連携室 その1

2012年10月23日 06時43分13秒 | インポート

 医師会と連携している某都立病院に患者さんを送った。いつも緊急で対応してくれているのでありがたい。自分も救命センター時代は緊急の病診連携を受けていたので大変さは分かっているつもりである。今回、患者さんをその都立病院に送って入院された後、その病院の医療連携室から電話があった。「○○さんの件ですが、そちらのクリニックでだされているバイアスピリン(抗血小板薬)ですが、どういう理由でだされているのか、そして内視鏡検査をするのでそれをしばらく止めてもよいという同意書を文書にして本日中に送ってください」とのこと。 ・・・こちらとしては・・・は?何のこと?という感じであった。すでにバイアスピリンは患者さんと家族には「止めるように」と言ってあるし、すでに中止してあるはず。そしてその投薬理由と現在それを中止してあることは紹介状にも書いてある。すでに中止してある薬をあちらの病院で中止することの同意書がなぜいるのであろうか? よく意味がわからんのである。


健診・ワクチン

2012年10月22日 07時16分15秒 | インポート

 さて10月も下旬となり朝晩が大分涼しい、というか寒くなってきたようです。しかしながら昨日もまだ日中は夏日になり半袖でも十分汗をかくような気候です。このような時こそ風邪をひきやすいのでご注意下さい。実際風邪をひいてこられる患者さんもかなり多いです。さて10月よりインフルエンザワクチン接種が始まっています。そろそろ発症した話もききました。もちろん流行するまでにはまだ期間があるとおもいますのでぜひ早いうちにお受け下さい。インフルエンザワクチン接種は任意ですが、個人の発症を予防するだけでなく流行の拡大を阻止するという観点からも重要です。それから話は変りますが、長寿健診は今月一杯ですので対象者はぜひ忘れずにお受け下さるよう。


達人

2012年10月20日 07時32分23秒 | インポート

 外来に血圧で通院されているご高齢の患者さんがいる。この方は若い頃から剣道を修行されており、80歳を越えた今でもきちんと週に3回の稽古をされている。戦前の京都の武徳会時代の剣道のことや、GHQによって戦後解体させられて、スポーツとして生き残った剣道の歴史などの話を伺うことができてとても興味深い。その歴史的な流れの中で自ら継続して修行を行い、そして今でも続けられていることが尊敬に値する。まさに昭和剣道史の生き証人である。一方自分は学生時代柔道部であり、医者になってからも赴任先の都市で少しは柔道を続けていた。しかしそれからもう何十年も道着を着ていない。柔道と剣道では年齢を重ねてからも続けられるかどうかの体力的な差異がある(と思う)。と言ってしまえば言い訳なのであろうが、とにかく「継続は力なり」である。この患者さんの続けられた年月の長さには有無を言わせぬ説得力がある。まさに達人はいるのである。


そろそろ

2012年10月19日 07時45分43秒 | インポート

 開業して5年が経過した。いままで医療機器も順調に作動していたが、ここにきてバタバタと不調になってきている。まず最初はレントゲン照射の位置合わせをランプ切れだった。これは電灯なのでしょうがない。次はレントゲンを伝送するコンピューターの不具合である。そしておとといは心電計の内部バッテリーの消耗であった。昨日はまたレントゲン伝送PCの内部バッテリー切れと続いた。実は数日前にも5年前につけたクリニックの蛍光灯がきれたのである。まあ蛍光灯が5年もてばかなりの寿命なんであろうが、昔はチカチカしてその寿命切れがわかったが、今回はきれいに光っていていきなりつかなくなったのである。医療機器もそうであるが、最近のデジタルもの?は前触れなくいきなり使用不能になるようである。さて次はなにがヘタるのか?


本音 その6

2012年10月18日 07時06分46秒 | インポート

 さて翌日のことである。その患者さんはいらっしゃらなかった。心の中では「きのうはどうしたかなー。たぶん大丈夫だとおもうのだがなー」と引っかかっていた。そして数週間くらい後になってやっとその方が外来にお見えになった。「先生、今日は風邪をひいたようなのできました」と。「あの後のお加減は如何だったでしょうか?」と数週前に往診したことを聞いたら「あぁ、あの時は先生が往診から帰った後で、娘が心配になり救急車をよんでくれて救急病院にいってCTとりました。なんにもなかったのですが点滴1本打って帰ってきました」とのこと。そうなのである、まったく気がつかなかった。たしかにその時の患者さんのニーズは私の往診でも、診察でも、自宅での療養指導でもなく、「点滴1本」だったのである。点滴治療自体は特に必要ではなかったが希望されていたのである。このときも患者さん(この場合はご家族だが)のニーズを汲み取ることができなかった。医師会の委員会を休んで往診し診療をして療養指導したにもかかわらず、信頼されず自分の帰宅後には救急車が呼ばれたのである。このようなケースでは気分を害する医師もいると思うが、自分は検査なし、診察だけで診断をつけることの難しさを実感している。だからもしも自分の判断が誤っていた時の事を考えると、自分の判断が否定されて救急車をよばれてようが別に何とも思わない。それはいいのであるが、むしろ「あ じゃあ点滴1本打っときましょう」という思いに至らなかったのが無念である。いやはや患者さん(家族も含めて)のニーズを察するのは難しい。


本音 その5

2012年10月17日 06時59分38秒 | インポート

 そういえば患者さんのニーズで思い出した。開業したての頃である。夜、診療が終了して医師会の委員会に行こうと着替えていたときであった。電話が鳴り往診の依頼である。昨日から具合が悪く夕方になって体がだるくて動けないと年配の患者さんの、その娘さんから電話があった。患者さん自身はうちがかかりつけではなく、他院から定期投薬を受けている患者さんである。さて医師会の委員会には出席しないとまずい。でも電話では緊急とのことである。医師会は休むことにして患宅に行った。夏の盛りである。水分摂取が足りずに少し脱水のようであるが意識はしっかりして神経学的異常所見もない。軽いめまい程度で眼振もない。まあSCAとPICAの小脳梗塞は完全には否定できないが、なんとか自力歩行もできそうで、それほど急ぐ病態はなさそうである。「とにかく水分を十分に取って安静にしましょう。明日外来に来てください。採血などしましょう」といって引き上げた。


本音 その4

2012年10月16日 06時45分39秒 | インポート

確かにそうです。「たいしたことはない」とあの時電話で私も申し上げました・・・。しかしちょっと引っかかるのは、応急手当の仕方も詳しく電話で話し、それでもその直後に救急病院まで行ったのには私の指示が信用できなかったのか、あるいはほかに何か理由でもあったのだろうか?今までのケースを合わせていろいろ考えると、たぶん患者さん(あるいはご家族)は、電話であれやこれや処置の指示を出されるよりも「今、すぐに診療してくれるかどうか」の返事がほしいのであろうと思われた。つまり患者さんのニーズは「明日の外来でも大丈夫」という保証ではなく「今すぐやってほしい」という願望だったのだということに気がついた。かえって自宅における療養上の指示を長々とお話しても迷惑だったかもしれない。それにしても患者さん(あるいはご家族との)会話の中で「今何を求められているのか」というニーズを把握し、きちんと対応できないようではいけないと痛感した。開業してはや5年、今回のことでまた一つ勉強になった。う~ん、でもむずかしい・・。患者さんからの電話は謎かけトンチ問答のようだ・・(笑)。


本音 その3

2012年10月15日 07時15分36秒 | インポート

 話は変るが、それからさかのぼること数ヶ月前、別の患者さんであるがやはり同様の電話が夜遅くにあった。「あ 先生ですか? ○○です。うちの家内が転んで手を擦りむいています。今、診てくれますか?」 今度は血圧で本当にうちに通院している○○さんである。話の詳細を聞くと奥様の怪我であるが骨折もなさそうであるし緊急性はない。明日の外来で十分事足りそうである。療養の指示をだして明日の外来を約束した。ところが翌日の外来には来られない。その後もまったく来院はない。数週後そうこうするうちに奥様ではなく電話をくれた○○さん本人が定期の薬をとりに来院した。そこで奥様のことを聞いてみた。「以前、夜にお電話頂きましたが、その後奥様のお怪我は如何でしたでしょうか?」「えっ? え? 家内の・・怪我? はてそんなことありましたかな? 電話?電話なんかしましたっけ? さてと・・・あっ あーあーそういえばそんなこともありましたね。あの時は心配だったのですぐ救急病院にいきましたよ。消毒してその後は通院しなくてよいといわれました。たいしたことなかったので忘れていましたよ」と。