吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

救急搬送 その1

2016年05月31日 05時49分59秒 | 日記
 この前、ある患者さんの胃カメラ検査中で胃の上部の粘膜上に露出血管を見つけた。そしてその血管周囲からはじわじわと出血しているのが発見された。いわゆるDieurafoy潰瘍(デュラホイかいよう)というやつである。
 これは本来粘膜下にある小動脈に動脈瘤ができ粘膜の表面に顔を出すものである。これが破綻したらjet状の出血となり容易に出血多量となる。
 じわじわの出血であるが大出血の前兆のようである。早急にクリップ止血を考慮しなくてはならない。ところがうちには止血器材がないのである。これはほとんど使用する機会がないので経済効率が悪いため在庫を置いていないのである。
 しかし何とかしなくては・・・と思うも、どうしようもないため、患者さんを説得し大学病院のERに転送した次第である。うまくクリップ止血が可能であれば入院も短くて済む。なんとか祈る思いで救急車に患者さんを乗せたのである。ちょっと冷や汗・・・。

6月のお知らせ 続き

2016年05月30日 05時51分40秒 | 日記
H28年度 各種ピロリ菌関連の検診が始まります。

(1) 胃がんリスク検診(血液検査)
 ①40歳、50歳の豊島区民: 特定健診、福祉健診の時に同時に行うもの(区から種類郵送あり)
 ②20歳、30歳の豊島区民: ピロリ菌検診のみ(単独で行うもの)(区から書類郵送あり)

(2) H28年度 ピロリ菌検査事業(尿検査)(胃がんリスク検診とは別)
 *21歳~29歳、および31歳~39歳の区民が対象
 *区からの郵送書類はなく直接、来院して尿検査をし、その場で結果が伝えられるもの
 *予約はいりません。区民の証明のため保険証を持参ください

6月のお知らせ

2016年05月28日 05時40分28秒 | 日記
 さて6月よりまた特定健診、福祉健診が始まります。

 くれぐれも前もって電話等によるご予約をお願いいたします。
 ご予約いただかなくとも健診は受けられますが、時にかなりお待たせする場合があるのでご了承下さい。

 また特定健診には前立腺がん検診も隔年で含まれます。しかしながらそれ以外のがん検診は別枠になりますので適宜、お受けいただけるようお願いいたします。

とりの刺身の食中毒 その2

2016年05月27日 06時01分47秒 | 日記
 学生時代、寄生虫の講義があった。今でも覚えているのは、当時から豚の生食はすすめられていない。また昔からユッケという方法で生食されていたにもかかわらず、牛の生食も当時からすすめられてはいない。

 牛には無鉤条虫という寄生虫がいると教えられた。その時の覚え方として「豚にツノあり、牛にツノなし」と覚えた記憶がある。つまり豚には有鉤条虫が牛には無鉤条虫がいるということである。

 後年、牛肉輸入自由化に伴い、牛肉が国内に流通したため韓国料理屋では牛肉生食であるユッケの人気が出た。
 以降、近年、寄生虫が原因ではないが死亡者が出たためようやく牛肉の生食が禁止された。

 ところでライギョという魚も生食で有棘顎口虫という寄生虫にやられることがある。白身で淡白な味である。しかし淡水魚なので刺身は危ないのである。
 自分はこれを食べたことがある。横浜中華街で熱いお粥にあとからいれて半生の状態で食べるようテーブルに出された。店員は「かならずお粥に入れて食べてください」と言われたが、目の前にあるささ身状の刺身をみたらつい箸がでて生食してしまったのである。
 特に以後なにもなかったので、さいわい感染しなかったのであろうが、そのあとで寄生虫の講義をきいてゾッとした記憶がある。

とりの刺身の食中毒 その1

2016年05月26日 06時04分06秒 | 日記
 東京都は平成28年5月16日、4月28日~5月8日に江東区青海で開かれたイベント「肉フェスお台場2016春」で提供された「ハーブチキンささみ寿司」を食べた8~41歳の男女49人が、下痢や嘔吐などの食中毒を発症したと発表した。

 これはカンピロバクターによる食中毒である。カンピロバクターは鶏の腸内にいるらしいが、食肉にした場合肉が汚染されることもある。また卵の殻から中に入り込むこともよくあるそうである。

 そしてとりのたたきの20~30%はカンピロバクターに汚染されているという。しかし腸炎として発症するのは菌量が1000~10000個ないと発症しないので、菌の量が少なければ発症しないものの、結局は菌を食べているのである。
 つまり結構な頻度で汚染されているが発症件数が少ないのは菌量が少ないためである。 
 卵の殻を通過して中にも入っているので生卵も本来は危ない。

 私は宴会で鶏のたたきが出ても箸をつけないようにしている。カンピロバクターと鶏のたたきが密接な関係であることは昔から既知のことである。

 不思議なことにユッケやレバ刺しが禁止されたにもかかわらず鶏のたたきが禁止されないのは如何なものなのであろうか? 肉表面を加熱してあっても汚染された手指や調理器具を用いれば、レバ刺しの汚染と同じだと思うのだが・・・。

都知事の公費不正使用? その5

2016年05月25日 06時02分08秒 | 日記
 今になって、田中角栄の人間性や業績が評価されてきた。「再評価」ではない。「評価」なのである。
 石原慎太郎の角栄礼賛本が売れているそうだ。
 
 歯に衣を着せぬ愛国者たる石原慎太郎は諸外国に対して毅然とした発言をするので個人的には好きであった。しかし当時「角栄降ろし」の急先鋒だった彼が何をいまさら自らの著書内での角栄礼賛なのかは不思議でしょうがない。このまま筋を通し続けてほしかった。

 当時、田中角栄は金権政治だのばらまきによって人心を掌握した。そして数多くの業績も残した。コーチャンだのピーナッツなどの名前とともにロッキード事件も有名であった。

 しかしついにはそれで失脚したのである。当時、金権政治で叩かれて失脚したのであるが、何故今更、手のひら返すように世の中彼の人物礼賛となってしまうのはなんとなく筋が通らない。

 人物評価というのはこうも急転したり手のひらを返したりの「いいかげん」なものなのかと思ってしまう。
 多分これは前述の「加点評価」(よいことをしたと認め評価すること)ではなく、日本の国民性が「減点評価」(いけないことをしたらそれだけですべてを否定すること)なのであろうかと考える。

 もしかしたら江戸時代の話で「ヘタを打ったら腹を切る、お家取潰し」という責任の取り方に端を発しているかもしれない。そしてそれが現在での減点評価につながっているのかもしれないと言ったら言い過ぎであろうか?

都知事の公費不正使用? その4

2016年05月24日 05時51分51秒 | 日記
 昔、「じみへん」という漫画があった。この中で興味を引いたストーリーがあった。

 日頃から町内では札付きのワルで、誰からも嫌われていたある青年が、満席のバスの車内で座っていた。そこに年老いた老婆が乗り込んできたのであるが誰も席を譲ろうとしない。
 それをみたそのワルは「しょーがねーなぁ、おい!婆、ここに座れ」と自分の席を譲ったのである。それをたまたま車内の遠くからみていた町の知り合いは「あ、あいつは本当は心根はやさしくて、いい奴なんだ」と評価を改めたのである。

 そしてもう一つのストーリーである。品行方正、謹厳実直を絵にかいたような青年である。
 彼は誰からも好かれ近所の人にはいつも笑顔で接し近所の子供の面倒もよくみて、また老人会などでも積極的に手伝いをする青年である。
 ある夜のこと、会社の帰りにふっと干してある女性の下着を盗んでしまったのである。しかしその場にたまたま居合わせた警官に現行犯逮捕されてしまった。
 さて一転して町での彼の評価は「羊の皮を被ったオオカミ」とか「偽善者」とか最低なものになったのである。

 この二人の行動はどちらも「たまたま」・・・なのである。たった1回でその人の本質の評価があっというまに逆転してしまうのである。一般大衆の評価とはこんなものであり、まったくあてにならない。

 今回の都知事への一般大衆の評価には、しょうがないのであろうが、どこか腑に落ちないところがあった。
 決して彼を擁護しているのではない。そしてその評価が正当であるとかないとかの問題ではない。
 でもどこかぞっとしたのである。

都知事の公費不正使用? その3

2016年05月23日 06時43分19秒 | 日記
 これももしかしたらマスメディアの思想誘導であるのかもしれないが、市民へのインタビュー結果も否定的な意見でまとめ上げている。
 しかも市民もまあ「よく言うよ」と思うのである。
「都民の血税を・・」というのは事実なのでまだ分かるが、「知事の資格がない」「早く辞めてもらってほしい」とか知事としての資質までを評価している。

 これが日本人的人物評価の疑問が残るところである。彼の「政治家としての業績や資質」を「公金不正使用の疑い」のみで判断しているのだ。
 判断材料が違うのではないかと感じる。例えは悪いが理科の試験の点数をみながら「お前の数学の点数はわるいなあ。だから頭のできがよくないんだ」といっているようなものである。

 日本人の人物評価は概ね減点評価である。彼がどのくらいの業績をあげたか知らぬが、都民のためにいろいろ業績をあげたこと評価しないで、宜しからぬことを一つでもしたらその人の仕事上の業績も含めて彼のすべてが否定されるという評価の仕方はフェアではないと感じる。
 別に舛添氏の擁護しているのではなく多数の市民の判断に疑問が残るということなのである。

 まあしかしこれは過去、政治家の世界ではずっと当たり前に通っているのでしょうがないとは思う。スキャンダル一つで失脚するのはこの世界というか日本の社会では不本意ながらそれが当たり前なのである。

都知事の公費不正使用? その2

2016年05月21日 05時55分57秒 | 日記
 都知事が公金不正使用で記者会見をした。千葉県のホテルで会議の際に家族を同伴し旅行したのであると。あるいはその逆で家族旅行のついでに会議をしたのかもしれない。
 まあ別にどちらでもよい。24時間365日on call状態の仕事であるので、どこからどこまでが公務で私用なのかは線引きなどできないはずである。忙しい身の上であれば家族サービスを「公務と平行して」でも自分は少しは目をつぶってあげていいのだと思う。

 しかしTVでのコメンテーターの意見では全員が全員「宜しくない」と述べている。もちろん宜しくないのは正論であるが線引きができないところに無理に線を引けといっているような感じもするし、全員が社会的規範に追従した右へならえの「いい子的発言」になっているような感じもする。
 もちろん舛添都知事の不正を擁護するつもりは毛頭ない。法に抵触する部分があればこれは断罪される必要がある。

 しかし昨日の記者会見を見ていると個人(といっても公人)をマスメディアがつるし上げ、社会の流れを舛添失脚に向けて誘導しているような感じもする。
 質問に立ったメディアの記者は、全員「舛添退陣」が前提の質問ばかりであるような感じであった。まず辞職ありきのメディアの姿勢に違和感を覚えた。これが社会正義というものなのか?

都知事の公費不正使用? その1

2016年05月20日 05時51分30秒 | 日記
 平成28年5月の事件である。舛添都知事が公用車で別荘にいったとか、公費で家族旅行行ったとかいろいろ追及されているようである。確かに都民の税金である。前の猪瀬さんの時もそうであるが、どこからが私的流用のラインなのかの線引きは明確ではないのでは?と思う。大体、都知事という職業は24時間365日、常にon callなのである。何かあったらすぐに都庁に戻る必要があるわけであり、完全なプライベートの時間などはないはずである。いつも何か公務の延長のような状態では就任中は気が休まらないだろう。自分も大学病院救命センター勤務時代は24時間引っ張られていたので落ち着かなかった思い出がある。集団災害があったらいつでも大学に集合という不文律があった。このように公務を24時間引き摺っているのであればどこからどこまでがプライベートで、ここは私費にしろ、いや公費がつかえるとかという区分けは難しいかもしれない。またそれがたとえ少し行き過ぎて明らかに私的流用の部分があったとしても「まあまあ公私はシームレスなのでいいじゃないの」と感じるのである。「都民の税金をなんてこと!」と目くじらたてるのも理解できる。でも追及するならもっと桁の違う税金の無駄遣いがいくらでもあると思うのであるが。

誰が得したの? その3

2016年05月19日 06時15分25秒 | 日記
 ところで芸能人とは作られたイメージ、換言すれば虚像を売る商売なのであるから、その点ではなにも活動自粛の必要はないと自分は思っている。
 清廉なイメージ売っている女性ハーフタレントだってそれは単なるイメージである。本当の裏の顔はあるはずである。
 芸能界では作られたキャラクターという虚像を売っている世界なのであるから、イメージと異なる事件があっても仕事を自粛させる理由はなかろう。大衆に向けて謝罪する必要もない。
 ただその「虚像のイメージ」を買っていたCMのクライアントだけには謝罪する必要がある。

 不倫事件はプライベートなことであるが芸能人なのでそれはメディアから追い回されて当然であるし、また逆にそれはもっと自分がのし上がれる「ツール」にもなる。しかし事件について謝罪したり活動自粛したりすることは、まさに芸能人なので全くその必要ないと思う。芸能人を社会規範の最良遂行者と思うから話がややこしくなるのである。

 とりあえず今回の事件で結果的にだれが得したのかは、夫人と離婚したということを差し引いても、これだけメディアに顔と名前が売れたのであるからこの男性ボーカルが一番得したことになる。
 彼はこの事件をうまくツールとして使ったのである。彼はかなりしたたかである。それにしても芸能界は音楽的才能だけでは売れないことも証明されたのである。

誰が得したの? その2

2016年05月18日 05時51分56秒 | 日記
 この一連の騒動で、彼は「一兎もえていない」のであるが、それにも勝るオリコン1位を獲得しているのである。自分のプライバシーがきっかけであっても、それを契機に大衆に名前が売れ音楽も売れたのである。彼としては不本意であろうが芸能界なのであるから、注目されてナンボ、売れてナンボなのである。

 結局、自分はそのまま仕事を「関係ないじゃん」とばかりにつづけたので、ほとんど大きな痛手はなかったのである。たぶん夫人への慰謝料は払うことになったのであろうが、自分の音楽と名前と顔が売れた分だけ差し引いてもおつり以上のモノを得たのである。

 一方、女性ハーフタレントについてはイメージの問題があったので活動自粛したのであろうが、男性の方は口をつぐむことで逆に注目を浴びたのである。

 とりあえず彼は5月13日付の自身のブログでようやく謝罪コメントを載せたが、有名になるまで引っ張っといて、自分が売れたところで謝罪するというのでは結果的にはあざとさを感じるのである。

誰が得したの? その1

2016年05月17日 06時06分11秒 | 日記
 女性ハーフタレントと、音楽バンド「〇スの極み〇女。」男性ボーカルの不倫事件その後である。
 この男性ボーカルと夫人の離婚が成立したとのこと。
 女性ハーフタレントはもうこの男性ボーカルとは会いたくもないと公言している。
 結局この男性ボーカルはハーフタレントも夫人も両方失ったのである。

 少し前にカップヌードルのCMでタレント矢口真里が大学教師のイメージで「二兎負うものは一兎も得ず」という格言を学生の前で講義している場面があった。結局、不謹慎ということでこのCMはわずか1週間でお蔵入りになった(個人的には好きなCMだったが)。でも矢口は「一兎」は得ているのである。
 
 しかし今回の男性ボーカルこそ「一兎も得ず」ということになるのである。この男性ボーカルはしたたかである。公の場では今回の騒動については何も語っていない。「個人的なことじゃん(だから話さなくていい)」とのみ言っている。
 確かに個人的な事ではあるが芸能人なのである。個人のプライバシーも大衆への「売り物」に包含されていることに気が付いていない。

結核感染拡大 その4

2016年05月16日 06時01分52秒 | 日記
 情けないのは、天下の東大病院での話なのである。
 原因は「警察からの依頼だから保健所に報告しないでよい」という例外項目を勝手に付けてしまったことが敗因である。
 そして診断に携わった多くの医療従事者や警察関係者にも感染が拡大したということは、診断後のヒューマンエラーが原因であるのは明白である。
 この事件は由々しき事態ととらえなければならない。結核は、まだまだ死に至る病なのである。しかし医師が注意していればその拡大を未然に防ぎうるので、医師にとって「報告しませんでした」ということも、とんでもないことなのであるが、その後、適切に接触者健診を警察に対し指示しなかったのも二重の手落ちと言わざるをえない。

 今回の事件は、以前自分が勤務していた大学病院での神経質なほどの接触者健診を思い出すにつけ、いかにもずさんな対応だと呆れ返ったのである。
 これで今回、最初に診断した医師を、二次感染者の人達が追求しようと思えば、医師に言い訳はないのである。
 これが一般病院での話であれば感染患者ももっと騒ぐかもしれないしマスメディアもこの病院を徹底的に叩く報道をするだろう。
 なぜ今回だれも騒がないのかは天下の東大だからなのであろうか?
 なんだか不公平感はいなめない。

結核感染拡大 その3

2016年05月14日 06時11分34秒 | 日記
 くだんの東大法医学での事件である。まさに我々医療従事者にとってこれは事件なのである。この不祥事のために結核患者は拡大した。

 以前、自分が勤務していた大学でのことであるが、たまたま別の疾患で入院していた患者に活動性結核があり(結核の過去り患歴のある人はゴマンといるが)、かつ排菌していると診断された事件があった。
 それはもう大変であった。その後の接触者健診は、同室の患者さんから、そして接触した全スタッフ、見舞客を含む出入りした人すべてに渡りリストアップされ追跡がなされ、感染していないかどうかの検査がされた。
 実はここまでするのは今や当たり前なのである。そしてその結果、感染者がいれば保健所に報告も必要になる。つまり最初の「排菌している結核患者」の報告をしたかどうか程度の問題ではないのである。

 しかしながら今回は剖検して結核と診断したにもかかわらず「警察からの依頼だから」ということで、医師の義務としての保健所報告をしなかったのである。
 この感染症予防法では、(それは以前の結核予防法でも同様)、診断した医師に報告義務があり、公的機関からの診断依頼であってもこの報告義務はなくならないのである。