吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

なんかへんだなぁ? その4

2016年06月30日 05時34分57秒 | 日記
 自分は豊島区の介護認定委員をやらされている。区役所の職員のすごいところは、刑法、民法でも厳しくその個人情報管理が課せられている医師に対してですら、患者(この場合は介護保険申請者)の個人情報を提供してくれないのである。
 我々に提供したら漏洩されるかもしれないということが前提なのであろう。そこまで鉄壁の情報管理なのである(あるいは徹底的に口をつぐむことで「自分たちは個人情報をきちんと保護していますよ」と自己正当化しているだけともとれるのだが)。

 そこまで役人は自分たちの持っている情報を外に出すのを渋る職種だと思っていたが、内部情報について最たるものである所属長どころかその組織の最高責任者を捕まえて、TVインタビューで「辞めてほしい」とまで言ってしまうんだからこれには驚いた。

 なんだか最初から舛添さんという人が「どんなことをしたか」ということではなく、とにかく「辞めてほしい」が最初に存在していて、それに基づいてメディアも何か辞めさせることの大義名分を追及していたにすぎないような感じであった。

 たぶん最初の文春報道のニュースソースは都庁の職員からの告発というかタレ込みかと勘ぐってしまう。
 歴代都知事はすべからくかなりの疑惑は同様にあったはずである。彼だけやり玉に挙がったというのは、たぶんそこまで自分の組織の部下に嫌われたからなのであろう。
 ならば一体何があったのか、また何故嫌われたのか、使途不明金なんかよりもそっちの方がずっと気になるのである。

イチローの新記録 その3

2016年06月29日 05時53分19秒 | 日記
 彼は冷静さをもって答えているが今回のピートローズの痛烈な批判をグッと押し殺して、おそらくは「ピートに笑われた」ことを今後のバネにするのだと思う。

 別に自分はイチロー選手のファンでもない。彼の肩を持つわけでもない。
 今回の一連のインタビューの受答えをすべてつなぎ合わせると彼の意地が見えてくる。
 彼が記録更新をあえて「別に何でもないもの」と表面上は無視をして、チームメイトへの感謝に切り替えている。
 そして「少なくとも50歳までは現役でやる」ことを公言しているが、それが本音などではないことは想像にかたくない。内心はピートに「笑われたこと(否定されたこと)」の答えを出すつもりでいるのだと理解できた。それがたぶん50歳ぐらいになるであろうから、それで「50歳」と言ったにすぎない。
 
 それにしてもあのピートローズは実に見苦しい受答えをした。
 スポーツマンの潔さのかけらもない。一番かどうかを納得するのは野球ファンなのである。自分から言い出すものではない。
 記録的に一番でも人間的には魅力のある人ではない。もし彼がここでイチローに賛辞を送っていたならきっと、野球ファンも「でもやっぱり一番はピートだな」と思ったろうに。
 彼はその口でもったいないことをした。そんなに欲しければ彼に一番の称号をくれてやる。
 しかしそれもイチローが50歳になるまでの話である。イチローが人に笑われてきたという自分史をなぜ述べたのかいずれ彼はわかるだろう。

イチローの新記録 その2

2016年06月28日 06時48分15秒 | 日記
 ピートローズはこうも言っていた。「大リーガーで使い物にならなくなった選手が日本では主力選手として活躍できるんだ。レベルが違うんだ」と・・・。
 もちろんすべて正しいかもしれない。そしてイチローはそのような過去を踏まえて「そう言われるのは分かっていた」と答えた。
そして用意していた答えでは、(これは想像だがごちゃごちゃ難癖をつけられたため)、「僕は目標をここに置いていない」といい、ピートの記録なんか無視したのである。

そして自分の歴史を語り始めた。「僕は小さいころ毎日野球の練習ばかりをしていて、あいつプロの選手にでもなるつもりなのかよと笑われた」とか「大リーグに移籍する時も首位打者になるといったら周りから笑われた」と、自分がひとから笑われることでそれをバネにして答えを出してきたという歴史を語ったのである。

イチローの新記録 その1

2016年06月27日 05時43分13秒 | 日記
 イチローの安打数がピートローズの記録を抜いて一番になったことは耳に新しい。絶対彼は嬉しいであろう。嬉しくない訳はない。
 しかし極めて冷静さを保ちながら「目標はここに置いていない」といっている。そしてチームメイトに支えられてここまで来たことに最大限の感謝を述べたにとどまった。

 実はピートローズはインタビューでこう述べていた。「日本の野球のレベルははるかにレベルが低い」「そこでの記録を合算しても一番ではない」「日本のメディアは僕(ピートローズ)を2番にしたがっている」と言っている。
 それを受けてイチローは「たぶんそう言われると思っていた」と答えたのである。
 以前にも大リーガーの記録保持者は自分の記録が破られるときにそういっているのである。昔、王貞治がハンクアーロンのホームラン記録を抜いた時にも同じことが言われた。「日本の野球場は小さい」「日本の野球と大リーガーのベースボールは別物である」とか・・・。

 話はそれるが、過去ヤクルトスワローズにボブ・ホーナーという現役大リーガーがきた。来日早々特大ホームランを数発打ったら、あとは敬遠四球されるようになった。
 そうしたらホーナーは怒って「日本の野球はベースボールではない」といって数か月で米国に帰国してしまった。
 ま 確かに日本は野球であってベースボールじゃないというは納得できるけど・・・。

 彼らは日本人がたかだかアマチュアの高校野球リーグなんかに、なぜ毎年日本中が熱狂しているのかが不思議であると言っている。

なんかへんだなぁ? その3

2016年06月25日 05時40分20秒 | 日記
 こうなると舛添さんの今までの業績などは一切報道されないし、歴代都知事がファーストクラスでの視察に行ったこと等も、なんで舛添さんだけが言われるの?みたいな不公平感も感じる。

 途中、記者会見では使途不明金の質問がほとんどであったが、しまいにどこの記者か知らないが
「どうやったら舛添さんはおやめになってくれますか?」などと本論とはずれる質問ともつかない質問をなげかけたのには驚いた。この記者は自分のことを「正義の使者」か何かと勘違いしている。この記者も最初から目的は「舛添辞職」ありきである。

 とにかくメディアの追及は辞職がゴールであり、「使途不明金追及」はただの手段であると露呈した。ただの人民裁判のようである。というか小学生のいじめ、つまはじきの構図である。

 都職員もここまで言っていいの?とばかりの待ち伏せインタビューへの対応である。都職員が帰宅時の突撃インタビューに対して「舛添さんにはやめてほしい」などと顔はモザイクではあるが平気で答えているのを聴いて違和感を覚えた。
 少なくとも善悪が明らかになっていない段階で自分の組織の長を捕まえて「辞任しろ」とは、普通の一般企業であればTVで言うことはない。追っかけインタビューでも「あっ、今、急ぎますので」とノーコメントが普通である。舛添さんはそこまで職員に嫌われていたのかと感じた。

 話は戻るが、大分前に千葉県のホテルに家族で旅行に行った件で「会議出張の一環」と述べたが、ホテル従業員がTVインタビューで「舛添さんはご家族のみで来ていましたよ」などとペラペラしゃべっていた。
 公人とはいえホテルが個人のプライバシーを平気で曝露するのはよくない。特に悪いことをするわけではないとしても、このような情報の曝露はこのホテルのセキュリティの弱さを見せることになり、自分は機会があってもこのホテルを絶対に利用しないであろう。
 このホテルは従業員の「堂々とした」情報曝露で損をした。
 うちの従業員なら即日解雇である。

なんかへんだなぁ? その2

2016年06月24日 06時12分40秒 | 日記
 論文作成において、結論を導く手段で一番科学性のないものは「アンケートによる考察」である。
アンケートなどはもともとバイアスがかかりやすい手段である。
アンケート施行時、質問内容にバイアスをかければ、いくらでも特定の結論に誘導することは可能なのである。

そしてしかも分かりやすい例であるが、民進党や共産党党大会の会場で、舛添疑惑のアンケートを施行したら、おそらく舛添辞任と答えるだろう。
 それだけアンケートを行う場合は対象母集団に「偏りがないこと」も統計学的に証明してからでないと意味がない。

 その意味がないアンケート結果を持ってメディアが「市民のほぼ全員は舛添辞任を要求しています」と結論付けるのは極めて非科学的な論調であると考える。
 まああえてそこまでしなくとも、街頭アンケート調査をしても舛添容認意見のみをカットして放映すればいいのである。

 TV放映とはどちらか一方の意見のみを繰り返して流せば製作者の意図する方向へ持っていけるのである。それを観た視聴者は「辞任が正しい」という方向に誘導されていくだろう。

 TVバラエティで「このような症状があったら〇〇病かもしれません」などと言おうものなら、翌日の外来は「私、〇〇病に違いない」という患者がくるのである。良くも悪くもTVというメディアは影響力が大きいのである。そこに少しでも偏向報道されれば一般市民の思想誘導は簡単にできるものと考える。

なんかへんだなぁ? その1

2016年06月23日 06時18分01秒 | 日記
 舛添都知事が辞任した。なんだか極めて違和感が残っている。
 それは、疑惑の解明がなされていないことである・・なんてことではない。

 以前にもブログで書いたとおりの違和感である。
 つまり世の中揃って舛添さんのアラさがしを徹底的に、かつ継続して追及したことである。それはマスメディアの論調で「舛添悪人」という図式が作られて、言葉尻をとらえた追及であったり、上から目線は反省していないとの追及であったりもした。

 マスメディアのすごいところは、水戸黄門の図式と同じである。最初から悪人と善人の区別がなされ、一度悪人と決めたものは最後まで悪人として仕立て上げられるのである。
 そして街頭インタビューでも「舛添おろし派」の意見ばかりを集め、いかにも街中の市民が全員舛添さんに辞任を求めていますなどと偏向報道しているような気がしたのである。

 別に舛添さんを容認しているつもりはない。つもりはないが、メディアによって吊し上げられた。そしてこれだけ叩かれたので息の根が止められた感がある。二度と政治家での復帰は無理である。

 舛添叩きのメディアも本望であろう。今は「まだ疑惑は解明されていない」などといっているが、たぶんそのうちどこのメディアも触れなくなる。
 最初から「舛添おろし」が目的のようである。

集団食中毒マニュアルを改訂 その3

2016年06月22日 06時00分05秒 | 日記
 これだけ感染には注意を払っているつもりの自分でも感染してしまう感染力の強いウイルスなのであるから、医療従事者以外の人や部署においては、はたして「排便後の手洗い励行、トイレの消毒」だけで十分感染が阻止できるとでも思っているのだろうか? 
 自分は神経質になるほど感染防御をしているつもりが、大抵毎年冬に感染して(させられて?)しまうのである。 
 やはり食品を扱うところの現場では「大便するな」というのは、むちゃくちゃ人権問題ではあるが、そこまでしないと感染防御することは難しいものと考えている。


 まあ普通の便ならとりあえずは感染源にはなりえないであろう(健康保菌者もいるが)。感染の可能性が高いのは下痢をしている状態が怪しいのである(もちろんただの急性腸炎もあるが)。
 とりあえず下痢をしている場合にのみ給食センターでの排便を禁止し、早退させればいい。たしかに給食センターでは全員大便するなというのは行き過ぎであると思う。しかしどこでラインを引くかは広めに引いておかないと感染の確実な防御は難しいのである。

 今回、給食センターでのマニュアルが外野から「行き過ぎ」といわれたらしいが、それほど行き過ぎだと自分は思わないのである。
 「羹に懲りてなますを吹く」ということわざもあるが、なますを吹くくらいでないとノロの感染予防は難しいと思うのだが・・・。

集団食中毒マニュアルを改訂 その2

2016年06月21日 05時58分40秒 | 日記
 ノロウイルスによる食中毒なのである。この給食センターでのマニュアル改定では「勤務中は排便するな」ということである。
 当然ながら周囲からの批判の声が噴出した。
 結局「排便後の手洗いの励行やトイレ消毒の徹底が本来の形である」ということで、このマニュアルは再改定になったようだ。確かに普通はそう考える。ましてや人の排便行為を否定することにもなり人権的な問題も起こりそうである。

 しかしである。ノロウイルスの感染力なんてのは半端なものではない。
 ノロに感染した子供の吐物や下痢便の処理中にお母さんがその飛沫を吸入しただけで感染した話はよく聞く。
 また会社でノロにり患した人の使用した便器で感染した人も多い。

 ましてや一応感染経路や消毒方法も心得ているつもりの医者(自分のこと)であっても、ノロの子供の診療が続く冬場には、いつの間にか自分も感染してしまうのである。
 ノロの子供の診察後はきちんと手洗いを励行しているのもかかわらずである。

 どう考えても「排便後の手洗いの励行やトイレ消毒の徹底」だけでは手ぬるいのである。まず排便後は衣服をかえないといけないだろう。また全身シャワー浴などもして十分全身皮膚に付着した飛沫も洗浄する必要があると考える。
 でもこんなことは実行性にかけるのは分かっている。

集団食中毒マニュアルを改定 その1

2016年06月20日 06時15分40秒 | 日記
毎日新聞より抜粋
 福井県若狭町で5月下旬、ノロウイルスによる集団食中毒があり、食事を調理した同町給食センターが、調理員の勤務時間中の排便を今後禁止するよう「衛生管理マニュアル」を改定したことが分かった。再発防止に向けた衛生面での改善の一環だが、過剰ともいえる労働現場への規制に、専門家からは疑問の声が上がっている。
 センターは8校の小中学校の給食を調理しており、先月21日から給食を食べた教職員や児童生徒が相次いで食中毒を発症。6月4日までに計363人がノロウイルスに感染した。センターは業務停止となり、6月中旬の再開に向け、マニュアル改定を進めていた。新しいマニュアルでは、勤務時間(午前7時半~午後4時45分)中の調理員について「保菌などの状況を確認することが難しく、センターでは原則排便しない」と規定した。センターの担当者は「緊急事態であり、規定を厳しくした。排便を我慢できない場合は、早退などの対応をとる」とし、「調理員が早退した場合に備え、予備調理員3人を確保した」と説明している。
 感染症に詳しいある男性医師は「聞いたことがない対策だ。手洗いの励行やトイレの消毒などが現実的だ」と指摘。
 文部科学省学校健康教育課も「調理員の生理現象への制約は、学校給食衛生管理基準になく、国として同様の対策は取ったことがない」としている。脇田滋・龍谷大教授(労働法)は「公共目的での緊急対策と理解したいが、働く人の権利にも配慮は必要だ」と話している

 後日、集団食中毒の発生を受けて福井県若狭町が、町給食センター調理員に勤務時間中の排便を禁止するよう「衛生管理マニュアル」を改定した問題で、町はマニュアルを再改定する方針を6月13日決めた。
 排便回避を努力目標とし、我慢できなかった場合は消毒強化と報告を求める運用にするという。再改定では「原則排便禁止」としていた表現を「排便しなくてすむように心がける」に改める方針だ。そのうえで「やむを得ず排便をした時は、トイレの消毒などを強化し、責任者に報告する」などと運用を指導するという。

 この問題を毎日新聞が10日に報道した後インターネットなどで批判の声が上がり、町職員や保護者からも「違和感がある」などの声が多数上がった。町の担当者は「反響の大きさから表現が厳しすぎたと考えた」と説明した。福井県と協議し見直しを決めたという。【毎日新聞:高橋一隆】

どーすりゃいいの? その2

2016年06月18日 06時40分11秒 | 日記
 まあ自分は違法行為をしているのであるから、とやかく言う資格はないのである。
 でも交通を管理する警察官の一番の目的は交通の安全管理なのである。いくら車の往来がないのを見計らっての横断とは言え、ほとんど向こう側に到達していそうなところで「元に引き返しなさい」と拡声器で注意するのは安全管理上、危険性の高い行動を強要しているとしか考えられない。

 元へ引き返させることで私がなした違法行為がリセットされ免罪されるわけでもなかろう。また(違法な)横断者をより危険な状況に誘導するのも適切ではなかろう。となるとなぜあの女性警察官は「元にもどれ」と指示したのであろうか?

 たぶんお役人目線で「警察官である自分の指示を無視して横断しようとした。極めてけしからん。だから危険でもいい、この違法な横断者が轢かれてもいい。見せしめのために横断完遂しかけていても戻そうとした」としか考えようがない。

 この拡声器での指示は最初の「横断禁止です」までは自分は反省した。でも「元に戻りなさい」でムッとした。しかしながらムッとする権利はないのは分かっている。バランスの取れた取り締まりや指導を期待するなんてことはここに書いてはいけないのも分かっている。だからこれはすべて自分の愚痴なのである。

どーすりゃいいの? その1

2016年06月17日 06時12分49秒 | 日記
 まったく私が悪い。こんなことを言う資格はないのである。
 まあ、あえて自分のことは棚に上げて書く。実は数週間前の話である。

 うちの前には白山通り(中山道:国道17号)が通っている。最近徐々に拡幅工事も終わってきており、片側3車線で、道路幅が40mくらいになったであろうか。
 実はそこの信号のないところを自分は横断したのである。ちゃんと横断禁止の標識もデカデカと置いてあるところで横断したのである。私が悪い。
 そこを運悪く(?)、パトカーが通りかかったのである。当然である。悪いのは私であるので言い訳はない。
「ここは横断禁止ですよ。渡らないでください!」
 突然の女性警察官のマイクの声が周囲に響き渡った。もちろん私は断罪しなくてはならない。
 ところが自分はすでに40mくらいある道路の2/3~3/4は渡っていたのである。そのまま小走りで横断を完遂しようとしたところ、またその女性警察官から注意された。
「横ぉ~断禁止で~す! 戻ってくださぁ~い!!」と・・・・。

 しかしすでに40mを3/4以上渡ってしまっているところなのである。そこをまた「元に戻れ」と・・・。
 もし言われるがままにしたなら、そのほうが危険性は高いのである。

妊婦死亡7千万円賠償命令 医師の過失認定、東京高裁 その4

2016年06月16日 05時55分46秒 | 日記
 そして三つ目の疑問である。「適切に治療すれば救命できた。なかでも治癒しやすいケースだった」と言っているが、正直、救命センター勤務時代に羊水塞栓で救命できなかった患者さんを指し、まるですべて「不適切な治療」だと言われているようである。
 羊水塞栓でDICになったらそう簡単にはよくならない。何が、そしてどうやったら「適切な治療」になるのか司法のほうから教えてほしいくらいである。具体的治療方法も提示せず、被告の治療が不適切だなどと言えるのが不思議である。

 過去に大野病院産科医逮捕事件があった。これは早期胎盤剥離の術中に妊婦が亡くなった事件である。これは医療界を震撼させた。
 結局のところ、被告医師に無罪判決がでたものの警察の対応の問題点が取りざたされた。
 また医療側でも、判決の行方を左右する鑑定人医師は「専門でなければ鑑定人を引き受けるべきではない」という当たり前の声が起こったのである。
(この時、検察側の医師鑑定人は大学教授というだけで胎盤早期剥離についての経験はほとんどなかったとのこと) 
 今回の裁判ももしかしたら検察の意のままに動く「素人」医師鑑定人がたてられたのであろうか?

 いずれにせよ「今の医学水準では」ということになるが、かなり厳しい(というか不可能に近い)水準が突きつけられたことになる。これでは皆こわがって、誰も産科医療に携わらなくなってしまう。おそらく日本の産科医療は崩壊していくだろう。

妊婦死亡7千万円賠償命令 医師の過失認定、東京高裁 その3

2016年06月15日 06時15分30秒 | 日記
 2回にわたってこの産科訴訟の報道を引用、掲載した。

 妊婦、胎児ともに救命できなかったのは極めて残念であり亡くなられた患者さんには哀悼の意を表するものである。
 さて、今回の判決は、いくつかの疑問点が残る。

 一つ目は産科医であれば「早期胎盤剥離」なら大量出血しているということは誰にでも分かることである。その上で輸血量が足りなかったというのは不思議である。出血性ショックは症状をみれば推測もつく。たまさか外出血がなくても超音波検査で子宮内に大きな血腫をつくるので診断はできる。それなのに輸血が足りなかったという本当の原因は何なのであろうか?

 二つ目の疑問。早期剥離→子宮内胎児死亡→羊水塞栓→DICへの進展などというのも産科医でもない自分にも容易に想像がつく。自分が救命センター勤務していたころは羊水塞栓でDICの患者はいくらでも診療した。それはもう大変な状態で昼夜問わずの集中治療やら緊急手術やらをしても救命率は高くはなかった。それを現時点での死亡率を「最新の知見を元に2~3割」と言っているが、いったいどんな文献や研究結果をみてモノを言っているのか不思議である。そんなに死亡率が低いわけはないと実感している。本当に羊水塞栓の死亡率なんですかと疑わしくなる。

 たまさか百歩譲って死亡率を2~3割としても、10人のうち2~3人がなくなるという数値をもって助からなかったのは医療側が悪いと言うのであろうか? 仮に心臓手術で手術したら10人のうち2~3人の人が亡くなりますよといわれたら安心して手術を受ける人はいないと思うのであるが。

妊婦死亡7千万円賠償命令 医師の過失認定、東京高裁 その2

2016年06月14日 16時45分55秒 | 日記
2016/05/27 共同通信社
原告側は「極めて意義深い」 と控訴審判決を高評価した。帝王切開手術を受けた妊婦の死亡を巡り、医師の過失と死亡との因果関係を認めた26日の東京高裁判決。原告代理人の青山雅幸弁護士は同日、静岡市内で記者会見し判決を高く評価した。

 一、二審ともに焦点となったのは、妊婦が発症した疑いのある「羊水塞栓(そくせん)症」に対する治療の可能性だった。羊水が血液中へ流入する病気で、従来は母体死亡率が高いとされたが、控訴審判決はこれまでの医療訴訟と異なり「適切に治療すれば救命できた」とした。

 青山弁護士は「羊水塞栓症が関係する訴訟では、病院側に過失があっても患者側の訴えは退けられてきた」と説明する。発症すれば呼吸困難や意識低下に陥ることもあり「過失の有無にかかわらず、救命は難しい」と考えられてきたからだ。

 過去には根拠を明示せずに死亡率を8割としていた文献もあったが、控訴審判決は「根拠がはっきりした全国調査の結果では、手術当時でも死亡率は20〜30%にとどまる」と認定。その上で、今回の妊婦は、中でも治癒しやすいケースだった可能性があるとした。
 青山弁護士は「最新の知見を基に、正確な死亡率を引用した新しい判決だ」としている。

本当なのか? どの調査結果や文献が正しいのかレフェリーによる判定がないので不。何だか持論に都合のよいものだけを引用しているような印象も受ける。