鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

4.アメリカ、世界統治を請け負う

2013年07月31日 | 聖書と政治経済学



<民主制度の精神活性効果>

時間的効率からしたら、民主政治方式は優れた決定方式ではない。
決定権が人民個々人に分散されているから、そのすべてに決定事項に関する情報を与えるのに時間がかかる。
また、多数の意見を集約し合意に至るにも時間がかかる。

けれども、この制度は人民に与える政治的恐怖が最も小さい。
政治決定は人民の生命財産に及びうる。徴兵などその最たるものだ。
その決定権が少数の他者の手に握られているのは怖いことだ。
逆に決定権が人民に均等に分散されている状態は、国民の恐怖感を最小にする。

民主制度下では、国民の精神は最も萎縮が少なく、最も活性化する。知力も多方面で上昇する。
そこではあちこちで自発的にイノベーションが生じ、発明が生まれる。生産効率も高まり、国力は増強する。




<世界最強国の入れ替わり>

第二次大戦の終了時点までは、世界の最強国はといえば英国と応えるのが常識だった。
世界貿易の決済通貨もポンドであった。

世界の運営者は英国をはじめとするヨーロッパ先進国だった。
だが英国は大戦中ヒトラーの激しい空軍攻撃を受けて国内は大幅に破壊された。
他の欧州諸国も戦場となって荒れ果てた。
第二次大戦が終わった時点で、世界を運営する余力と能力もつもの米国以外になかった。
戦後世界統治が米国に委ねられたのは自然な帰結であった。




<最優先課題は「地獄」の再発防止>

米国は世界運営の最大課題を、世界大戦を再発させないことにおいた。
人類はそれまでにすでに、二派に別れて集団で殺し合うという地獄の事態に二度も陥った。
国民個々人は「まずい」と思っていても、集団の意志が別の生き物のように一人歩きして
殺し合いに雪崩れ込んでしまった。
世界統治を委ねられた国として、米国はこの地獄事態を回避し、
戦後世界の平和を維持することを最優先課題としたのである。




<世界規模での貧困打開を志す>


米国は、人間集団が戦争に雪崩れ込む基底原因を貧困とみて、この打開にダイナミックに踏み出した。
戦後、欧州もアジアも貧困にあえいでいたが、とりわけ敗戦国が受けた経済破壊はひどかった。
米国は占領地域の経済援助のために、ガリオア基金(占領地域救済政府基金)、
エロア基金(占領地域経済復興基金)を軍事費から支出した。

敗戦国の日本にも巨額の援助をした。
占領中の6年間での援助総額は、現在価値での12兆円という。そのうち9.5兆円は無償援助だった。

このような援助が欧州諸国にもなされた。
この事実は、終戦当時米国がいかにダントツに豊かな国だったかをうかがわせる。
だが、かくも膨大なる援助は、単なる豊かさだけでは説明できない。
この国には、聖書で教える(give)の精神が広く国民に普及していた。
ともあれこうして、日本も(そしてドイツもそしてその他の国も)米国の援助で戦後復興に
早く立ち上がることができた。

米国は、経済学界の動向もリードした。戦後学界の最大トピックは「後進国開発論」となった。
低開発国からも貧困をなくそうとしたのである。G.ミュルダールの「累積的因果関係のモデル」
(地域間で経済格差が進展するメカニズムを明かす理論)はこのなかから生まれた。

(続く)





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