前回、モーセは創造神と自称する存在から幻とことばでメッセージを受け、それを記録した、と述べた。その続きを述べる。
彼が受けた幻は、天地が創造される状況のものだけではない。今の人類の始祖と解されるアダムと、彼に関する多くの情報もそれだ。
<アダム>
このアダムがつくられて、肉体の中に霊を注入され、エデンの園に置かれ、罪を犯して追放される。モーセはこうした幻も見せられて、それを記録している。
アダムは紀元前4000年頃の人物で、モーセより2500年くらい前の人だ。
<ノア>
ノアはかの「ノアの箱船」で知られている。
アダム以後、霊の入っていない人間との結婚が増えた。そこで創造神は霊のある人間のなかで、ノアの家族だけを残してあとは大洪水で死なせてしまう。
こういう物語も、モーセは記録している。ノアは紀元前3000年頃の人だ。
<アブラハム>
アブラハムは、残されたノアの家族から、再び増殖した人類の中の一人だ。
アダムが罪を犯すことによって、霊を注入された人間であっても、その創造神への感性(霊感)は薄れてしまった。そうしたなかで珍しく創造神を知信していた人間の一人がアブラハムだ。
創造神は彼を在物神だらけの居住地から旅立たせ、創造神の存在を常識とする子孫を星のように増やす。これがイスラエル民族となる。
アブラハムはモーセより500年ほど前の人である。
+++
これらの人々もまた、モーセよりはるか昔の人だ。そしてその物語には、関連する多くの人々も登場している。超多量な情報だ。だがモーセはこれらを事実として直接見ることはできない。
なのにこれらのことも物語っているのは、創造神がこれら多種多様な人々の幻をもモーセに与え、記録させたからだ。そういった理由もモーセは書き残している。
<超霊感者が続いて『旧約聖書』が>
イスラエル民族には、モーセ以後にも幻を受け、それを創造神からのメッセージと「信じて」記録したり、それをベースに民族に関する歴史を記したりする超霊感者が出続けた。
イスラエル民族はこれらも創造神からのメッセージと「信じて」保存した。そしてその蓄積された保存文書を編集し、紀元前400年頃に集大成した。これが旧約聖書となる。
今のキリスト教の聖書でみると、旧約の著者は1100年にわたって分散している。その数は、聖書に名が明らかになっているものだけでも、20人以上いる。
+++
その中で、モーセは特別な存在だ。今流にいえば、超々霊感者となるか。それでも十分に表現できない。上記のような、もの凄い量の幻を受けているからだ。
ちなみに彼の受けた幻は、彼からして過去の事柄の幻である。対して、彼以降の超霊感者たちが受けたのは、モーセの時代を基準にしたら、みな未来の事柄の幻である。
端的に言ってみれば、モーセは自分より過去を向いてるが、彼以後の超霊感者はみな未来を向いている。そういうこともになろうか。
<ユダヤ教>
また、この書物をもとに、イスラエル民族の中に、一つの民族宗教が出来ていった。それが「ユダヤ教」である。
(「学び方」13・・・・・完)