さて、旧約(旧い命令契約)をみるのだが、その前に、簡単な用語導入をしたい。
<預言者>
預言者という言葉だ。
これは「超霊感者であって、かつ、その受信内容を言葉として預かって、書きとどめるもの」の意味である。
漢字で書くと、「”預”かったメッセージを”言”葉に書き留める“者”」となるので日本では預言者としているわけだ。英語はprophetである。
モーセの記録によれば、彼以前にも超霊感者はいた。アブラハムはその代表で、沢山のメッセージを幻や言葉を霊感受信している。だが、彼はその内容を書き遺さなかった。
書き遺した最初の人はモーセだった。だから彼は「最初の預言者」とされている。
<律法と報いの一方的約束>
それを踏まえて、旧約の具体内容に入る。上位者である創造神が、人間に向けて発した「旧い命令契約」の第一の部分は、守るべき戒めだ。これは律法(Law)と呼ばれる。
言い換えれば「これを守れ」と創造主が人間に向けて発した戒め。これが律法(りっぽう)だ。
第二の部分は「これを守れば恵みを先代にわたって施し、守らねば、その咎(とが:罰のこと)を三代、四代にに与える」という約束(一方的)だ。(『出エジプト記』34章6-7節参照)
なお、この戒めに反することを「罪(sin)」という。
守られている状態が「義」である。
そしてこの戒めと、それを守るかどうかに応じて与えられる報いの約束を加えたのが「旧い命令契約」(旧約)である。
<ダントツの超預言者>
このように律法も一方的約束もまた、超々霊感者モーセに、言葉と幻を与えることでもって、伝えられている。
その言葉は、驚異的に多い。近代的な法文に書きかえると、600~900の条文になるという。モーセはそのすべてを受信し書き留めている。
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モーセはすでに大量の歴史事象の幻を与えられ、記している。その上にさらに、この大量の言葉メッセージを与えられている。
彼は文字通りの超スーパー霊感者・預言者といえる。旧約聖書には多くの超霊感者が現れるが、モーセは文句なしのダントツ預言者だった。
<十の戒め>
旧約聖書に記された律法(戒め)は超大量だった。
だが、モーセにはそれらを代表的に示す十の戒め(「十戒」)も、与えられている。
それは次のようになっている~
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1.創造神以外の神を拝んではならない。
(俺以外の存在を神として拝むな)
2.偶像を造ってはならない。
(オレを像に刻むな)
3.創造神の名をみだりに唱えてはならない。
(この段階では、創造神の名は「エホバ」となっている)
4.安息日を守れ。
(週の中の一日はいかなる仕事もせずに、俺を思い拝する日とせよ)
5.父母を敬え。
6.殺すな。
7.姦淫するな。
8.盗むな。
9.偽証をするな。
10.隣人のものを欲しがるな。
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<「対神的戒め」と「対人的戒め」>
よくみると、このうち前半の四つは、創造神にどう対すべきかの戒め(命令)である。言い換えれば「対・創造神への戒め」。短く言えば対神的戒めだ。
後半の六つは、人間が人間に対するとき守るべき戒め(命令)である。対・人間への戒めで、略せば対人的戒めだ。
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これらの戒めと、それへの対応に応じて与えられる報いの一方的約束。これが「旧い命令契約」(旧約」に記録されている。
イスラエルの民は、これを守って幸福を得る活動を始めた。この運動が、ユダヤ教になっていった。
(「正しい学び方」16・・・・完)