この冬に、故・安部公房の家が取り壊される。その前に一目見ようと思い、雪が積もってはいたが、足を運んだ(2014年2月15日)。
家は、京王線仙川駅近くの住宅地にある。安部公房が35歳のときに建て、20年ほど住んだのだという。ここで、『砂の女』、『他人の顔』、『密会』などの作品が執筆された。
玄関には、道路から階段で昇る。その脇にはガレージがあり、きっとジープなどを停めていたのだろう。玄関の扉には、いかにも安部らしいが、モダンに、「ABE」の文字が貼り付けられていた。裏側に回ると、一部ガラス窓が割れていた。また、広い庭の木が切り倒されていた。
あれから1週間。もう工事は始まったのだろうか。
なお、『考える人』2014年冬号(新潮社)には、この家の中の様子が紹介されている。また、薈田純一写真展『書棚』(2014/3/11-16、ギャラリーSPACEKIDS)では、安部公房の書棚を撮った写真も展示されるという(>> リンク)。『考える人』誌の特集によると、書棚の書籍は当時とは大幅に入れ替わっているというのだが、さて、どのようなものだろう。
※写真はすべて、Fuji GA645i Professional (60mmF4.0)、Fuji Pro 400H による。
●参照
○安部公房『(霊媒の話より)題未定』
○安部公房『方舟さくら丸』再読
○安部公房『密会』再読
○安部公房の写真集
○安部ヨリミ『スフィンクスは笑う』
○友田義行『戦後前衛映画と文学 安部公房×勅使河原宏』
○勅使河原宏『おとし穴』(安部公房原作)
○勅使河原宏『燃えつきた地図』(安部公房原作)
○山口果林『安部公房とわたし』