Sightsong

自縄自縛日記

2014年2月15日、安部公房邸

2014-02-22 22:13:20 | 思想・文学

この冬に、故・安部公房の家が取り壊される。その前に一目見ようと思い、雪が積もってはいたが、足を運んだ(2014年2月15日)。

家は、京王線仙川駅近くの住宅地にある。安部公房が35歳のときに建て、20年ほど住んだのだという。ここで、『砂の女』、『他人の顔』、『密会』などの作品が執筆された。

玄関には、道路から階段で昇る。その脇にはガレージがあり、きっとジープなどを停めていたのだろう。玄関の扉には、いかにも安部らしいが、モダンに、「ABE」の文字が貼り付けられていた。裏側に回ると、一部ガラス窓が割れていた。また、広い庭の木が切り倒されていた。

あれから1週間。もう工事は始まったのだろうか。

なお、『考える人』2014年冬号(新潮社)には、この家の中の様子が紹介されている。また、薈田純一写真展『書棚』(2014/3/11-16、ギャラリーSPACEKIDS)では、安部公房の書棚を撮った写真も展示されるという(>> リンク)。『考える人』誌の特集によると、書棚の書籍は当時とは大幅に入れ替わっているというのだが、さて、どのようなものだろう。

※写真はすべて、Fuji GA645i Professional (60mmF4.0)、Fuji Pro 400H による。 

●参照
安部公房『(霊媒の話より)題未定』
安部公房『方舟さくら丸』再読
安部公房『密会』再読
安部公房の写真集
安部ヨリミ『スフィンクスは笑う』
友田義行『戦後前衛映画と文学 安部公房×勅使河原宏』
勅使河原宏『おとし穴』(安部公房原作)
勅使河原宏『燃えつきた地図』(安部公房原作)
山口果林『安部公房とわたし』


ジョイス・キャロル・オーツ『Evil Eye』

2014-02-22 11:08:09 | 北米

ジャカルタへの行き帰りに、ジョイス・キャロル・オーツ『Evil Eye: Four Novellas of Love Gone Wrong』(The Mysterious Press、2013年)を読む。

サブタイトルにあるように、歪んでしまった愛を描く4つの短編が収められている。

第一の表題作は、ずいぶん年上の男と結婚した人の話。男は四回目の結婚であり、しかも早々に、一番目の妻を自宅に呼ぶ。それは老女で、片眼が無かった。深夜、老女は新妻に対し、男の怖さを警告する。男には、別れた妻の片眼が無いことすら、何故か、見えていなかった。

第二の作品は、16歳の少女に近づくストーカー男の話。突然激昂する彼は、少女に、かつて自分が殺した妹の姿を見ていた。

第三の作品は、父親を斧で殺し、かつ、母親をも襲う男の話。母親は、自分たちを襲った息子の姿を目撃したにも関わらず、そのことを否定する。そして、あろうことか、釈放された息子と、大怪我を負った母親は、一緒に暮らすことになる。

第四の作品は、セックス恐怖症の女の話。原因たるトラウマを追求するうちに、恋人の男は、殺人まで犯してしまう。

すべてシンプルな筋立てと語り口であり、さほど怖くはない。それだけに、普段視えているものの垣根がどこかに溶けてなくなってしまい、淡々と狂気が侵入してくることの不安感は大きい。ことばの間からなんとも言えぬアウラが発散されている。あるいは、狂気というアウラが、ことばの間に逆侵入している。そして、後味の悪さがずっと尾を引く。

今朝読み終わり、実はまだ気持ちが悪い。そういえば、半分読んだ往路でも、ジャカルタに到着するころにはひどい頭痛に苦しめられたのだが、この所為か。


旨いジャカルタ その4

2014-02-22 10:52:00 | 東南アジア

■ Social House

巨大ショッピングモール「Grand Indonesia」にある小奇麗な店。それなりにいい値段。

「カレーラーメン」を注文したら、ヘンなものが出てきた。麺はインスタント風(というか、乾麵なのだろう)。まさにカップのカレーヌードル風の味で、悪くない。

■ 鼎泰豐(ディンタイフォン)

台湾に本店がある小籠包の名店。ジャカルタ店に足を運ぶのは二度目である。

ここの料理は、イスラム国だけあって、豚肉を使っていない。小籠包の中身も鳥肉である。そのためか、上海店で食べた小籠包の味には及ばない。旨いのではあるが。

奇妙なことに、北京ダックには薄餅が付いてこず、訊いても無いという。皮だけでなく肉もしっかり食べる北京ダックか。そんなものがあるのか。

■ 永源海鮮酒家

これも「Grand Indonesia」内にある。中華圏で中華料理を食って旨くないわけがない。パンにカニのタレを吸わせるとまた旨い。

●参照
旨いジャカルタ
旨いジャカルタ その2
旨いジャカルタ その3
カフェ・バダヴィア 


2014年2月、ジャカルタ

2014-02-22 08:47:08 | 東南アジア

ジョグジャカルタに行くはずが、予定が変わってずっとジャカルタに滞在した。あまり散歩しやすい街ではないため苦手なのだが、もちろん、横道はある。

フィルムカメラを持参しながら忙しくて1コマも撮れず、手持ちのミラーレスでスナップ。写り過ぎて、楽すぎて、つまらない。



流し


駄弁り


老人の招待




トマソン


隣の誕生会

※写真はすべて、Nikon V1 + 1 Nikkor 10mmF2.8(28mm相当) により撮影。

●参照
2013年2月、ジャカルタ
2012年9月、ジャカルタ