Sightsong

自縄自縛日記

Pulverize the Sound、ケヴィン・シェイ+ルーカス・ブロード@Trans-Pecos

2017-09-12 22:53:51 | アヴァンギャルド・ジャズ

そんなわけで、ブルックリンのBushwick Public Houseから、掛け持ちするケヴィン・シェイと、クイーンズのTrans-Pecosまで20分歩いた。ちょうど1組目のバンドが演奏を終えるところだった。(2017/9/11)

■ Pulverize the Sound

Peter Evans (tp)
Tim Dahl (b)
Mike Pride (ds)

このバンドは2015年にThe Stoneで観たのだが(Pulverize the Sound@The Stone)、そのときよりも多彩さが増しているように感じた。

ティム・ダールが煽る中で、マイク・プライドが、酸素が足りなくなるのではないかと思えるほどに、ひたすら全身全霊でサウンドにパルスを打ち込んでいる。そしてピーター・エヴァンスのトランペットは、マシンガン、グロウル、循環。この人の堂々とした体躯があって成り立つワザの数々かもしれない。そしてやはりコンセプチュアルなプレイヤーなのだろう。

猪突猛進だけでなく、ゆっくりと何度も同じパターンを繰り返す悪夢的な要素もあった。

●ピーター・エヴァンス
Pulverize the Sound@The Stone(2015年)
Rocket Science変形版@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
トラヴィス・ラプランテ+ピーター・エヴァンス『Secret Meeting』(2015年)
ブランカート+エヴァンス+ジェンセン+ペック『The Gauntlet of Mehen』(2015年)
エヴァン・パーカー ElectroAcoustic Septet『Seven』(2014年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
ピーター・エヴァンス+アグスティ・フェルナンデス+マッツ・グスタフソン『A Quietness of Water』(2012年)
『Rocket Science』(2012年)
MOPDtK『(live)』(2012年)
ピエロ・ビットロ・ボン(Lacus Amoenus)『The Sauna Session』(2012年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Mechanical Malfunction』(2012年)

ピーター・エヴァンス+サム・プルータ+ジム・アルティエリ『sum and difference』(2011年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Electric Fruit』(2009年)
オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス+スティーヴ・ベレスフォード『Check for Monsters』(2008年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年) 

●マイク・プライド
Pulverize the Sound@The Stone(2015年)
ヨニ・クレッツマー『Book II』(2014年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
マイク・プライド『Birthing Days』(2012年)
ジョン・イラバゴン『I Don't Hear Nothin' but the Blues』 (2009年)
アンドリュー・ディアンジェロ『Morthana with Pride』(2004年)

■ ケヴィン・シェイ+ルーカス・ブロード  

Kevin Shea (ds)
Lucas Brode (g) 

先の演奏ではそれでもまだジャズ的な枷の中で暴れていたケヴィン・シェイだが、ここでは、もっとハチャメチャになった。 ルーカス・ブロードが変態っぽく淡々といろいろな音を繰り出す横で、リミッターを外して遊びまくる。

終盤では、ティム・ダールがふざけて横からスティックだの帽子だのぬいぐるみだのを投げ込み、ステージは狂乱状態となった。

●ケヴィン・シェイ
Bushwick improvised Music series @ Bushwick Public House(2017年)
ヨニ・クレッツマー『Five』、+アジェミアン+シェイ『Until Your Throat Is Dry』(JazzTokyo)(2015-16年)
クリス・ピッツィオコス『Gordian Twine』(2015年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『(live)』(2012年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年) 

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

ここにはNY滞在中のヴォイスの山崎阿弥さんがいらしていて、マンハッタンまで愉しく話をしながら帰った。 


Bushwick improvised Music series @ Bushwick Public House

2017-09-12 21:20:45 | アヴァンギャルド・ジャズ

ブルックリンのBushwick Public Houseに足を運び、「Bushwick improvised Music series」という一連のインプロを観る(2017/9/11)。

ケヴィン・シェイのウェブサイトからFBの告知にたどり着いた。時間前に入ったわたしは客第一号、その後も数人。他に来ても、対バンのミュージシャンやそのガールフレンドなど。東京のライヴハウスと同じようなものだ。

近所に住むスティーヴン・ガウチがこれを定期的に企画しているということで、準備をいろいろとしていた。暇そうにしているわたしにも食べかけの菓子をくれたり、動画を録るためのルミックスは型落ちでたった40ドルだったとか、何だかいい感じ。

■ エリック・プラクス+アーロン・ネイムンワース+ショーン・コンリー+ジョン・パニカー

Eric Plaks (key)
Aron Namenwirth (banjo, g)
Sean Conly (b)
Jon Panikkar (ds)

ベースのショーン・コンリー以外はまるで知らない面々。

リーダーはアーロン・ネイムンワースのようで(口数が少ない)、バンジョーとギターからメタリックな音を出した。またEbowのようなものを弦に近づけて、アンビエントな効果を出した。

やはりコンリーは安定的に不穏であり、指と弓の他に棒を使ったり、弦の下にアルミホイルを巻いたり、手で胴を擦ってまるでドラムスのブラッシュワークのような音を発したりした。

不穏さにはエリック・プラクスのキーボードも貢献していて、ダークな音には惹きつけられた。左手を痙攣させてその側面で鍵盤を叩いたり、憑依したように鍵盤の左右から中心へと攻めたりと、なかなか癖のある人のようだった。構造をその都度創り出すサウンド、つまり構造は無きがごとしか。

●ショーン・コンリー
ヨニ・クレッツマー・トリオ@Children's Magical Garden(2017年)
ヨニ・クレッツマー『Five』、+アジェミアン+シェイ『Until Your Throat Is Dry』(JazzTokyo)(2015-16年)
ヨニ・クレッツマー『Book II』(2014年)
ジェシ・スタッケン『Helleborus』(2014年)
ヨハネス・ウォールマン『The Town Musicians』(2013年)

■ スティーヴン・ガウチ+アダム・レーン+ケヴィン・シェイ

Stephan Gauci (ts)
Adam Lane (b)
Kevin Shea (ds)

cleanfeedなど有名なレーベルからもCDを出しているガウチだが、音は聴いたことがなかった。驚いたことにほぼフラジオの高音で攻め続けるスタイルであり、ほかのふたりのエネルギーと相まって興奮状態を生みだしていた。(演奏後にガウチに訊くと、高音が耳から入るとテンションが上がっていくから好きなんだと言った。)

アダム・レーンのベースはやはり大変なテクニシャンぶりで、特に高速でのアクロバティックな指弾きが特筆すべきものかと思った。

ケヴィン・シェイも負けてはおらず、すさまじくシャープでガジェット的で人間的。とにかく叩く、というよりは、とにかく動く。

●アダム・レーン
アダム・レーン『Full Throttle Orchestra』(2012年)
アダム・レーン『Absolute Horizon』(2010年)
アダム・レーン『Oh Freedom』
(2009年)
4 Corners『Alive in Lisbon』(2007年)

●ケヴィン・シェイ
ヨニ・クレッツマー『Five』、+アジェミアン+シェイ『Until Your Throat Is Dry』(JazzTokyo)(2015-16年)
クリス・ピッツィオコス『Gordian Twine』(2015年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『(live)』(2012年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年) 

■ ブリガン・クラウス+アルバロ・ドメーン

Briggan Krauss (as)
Albaro Domene (g, electronics)

ブリガン・クラウスはCDでも前に観たときもよくわからなかった。吉田野乃子さんが「JazzTokyo」誌において、敢えて不自由な吹き方をするのだと書いていて、そのつもりで観ると腑に落ちるところがあった。

クラウスはサックスにタオルを詰め、音が出てこないのに出そうとして吹いた。また、脚にサックスを押し付けて、やはり、音が出てこないのに出そうとして吹いた。それも驚くほどの猛進ぶり。普通は音を消したり抑えたりするものである。かれは吹くために吹かないようにしているのである。

また、アルバロ・ドメーンのエレクトロニクス・ギターとの相性はとても良い。クラウスがギターに擬態する瞬間もあった。

●ブリガン・クラウス
アンドリュー・ドルーリー+ラブロック+クラウス+シーブルック@Arts for Art
(2015年)
アンドリュー・ドルーリー『Content Provider』(2014年)
ブリガン・クラウス『Good Kitty』、『Descending to End』(1996、1999年)

近くの場所でもライヴをやっていて、ケヴィン・シェイは掛け持ちだという。ちょうどシェイが、最初のバンドが演奏をはじめたみたいだと教えてくれて、一緒に20分歩いて次の場所に向かった。(既に次のバンドでアダム・レーンと共演するニューマン・テイラー・ベイカーが到着していたし、その次には、前日に観たばかりのトーマス・ヘルトンとジョー・ヘルテンシュタインが共演するようで、居残りたくもあったのだが、ここは選択しなければならない。)

急ぎ足で歩く間、シェイが参加するバンド「Mostly Other People Do the Killing」や「Talibam!」や「People」について色々と話を訊いた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4


ホイットニー美術館のエリオ・オイチシカ回顧展と抵抗の歴史展

2017-09-12 20:25:32 | 中南米

新ホイットニー美術館に行った(2017/9/11)。

■ エリオ・オイチシカ回顧展

ブラジル出身のエリオ・オイチシカの回顧展が開かれている(Hélio Oiticica: To Organize Delirium)。

オイチシカがどんなアーティストであったかをまとめて言うことは難しそうだ。スタイルは変遷し、絵画、インスタレーション、政治運動、アクション、映画など手段も多様である。これらを括って「トロピカリア運動」と称しても、確かに西欧に対するアンチテーゼというニュアンスは伝わるものの、それはキーワードでしかない。

つまりこのように様々な活動の痕跡を眺め、立ち止まり、困惑することが、オイチシカを体験することに他ならないように思える。

ハンモックの参加型作品がある(眠ってしまいそうなので横たわらなかった)。政治的にブラジルにとどまることができなくなりNYに来たときの映画がある(スーパー8!)。それらは強い自己確立の光を放っている。

また、ブラジルに戻ったあと、人びとに好きなものを着てサンバを踊ってもらうという活動の記録がある。色やかたち、それが持つ歴史的・記憶的な意味があり、選択と記録ということがとても重要だと伝わってくる。

この展覧会と連動させて、アート・リンゼイがライヴやトークをいろいろと行っていた。そのひとつも覗いてみたのだが(アート・リンゼイ+グスタヴォ・ヂ・ダルヴァ@ホイットニー美術館)、簡単には大きな物語に回収させまいとする意思を感じた。

■ 抵抗の歴史展

別のフロアでは抵抗の歴史展(An Incomplete History of Protest: Selections from the Whitney’s Collection, 1940–2017)。

これもまた、地域も意味も時代もさまざまである。公民権運動のファニー・ルー・ヘイマーを撮ったポートレイト(ルイス・H・ドレイパー)。アメリカの日系人収容所で宮武東洋が撮った写真。兵士の服だけを使い、強烈なベトナム戦争への反対の意思を感じる作品(エドワード・キーンホルツ)。

現代ということになれば、ヘイトの罪を直接的に訴えた作品(フェイス・リングゴールド)。

2年前に、MOMA PS1において、やはり様々な場所や時代における異議申し立てを特集した「ゼロ・トレランス」展があった。最近、SNS上のヘイト放置に抗する路上での運動があったが、それもまた、このような文脈から正当なアクションとして位置づけられる。


ジョー・マグナネリ・クインテット@Smalls

2017-09-12 03:38:34 | アヴァンギャルド・ジャズ

もう22時をまわっていたが、どジャズが猛烈に聴きたくなり、Smallsに足を運んだ(2017/9/11)。ジョー・マグナネリの22時半の回はソールドアウト(なぜここはいつも混んでいるのか)。

しかたなく近くのMezzrow(Smallsの姉妹店)で次の回まで時間をつぶすことにした。デイナ・スティーヴンスがEWIを吹いていてラッキーだと思ったのだが、ほどなく演奏が終わってしまった。毒にも薬にもならないようなギタートリオを聴きながらビールを飲んでいると、常盤武彦さんに遭遇した。

23時半ころにSmallsに戻るともう列が出来ていた。ずっと居続けてもいい店だが回転が早く、前の方の席を確保できた。

Joe Magnarelli (tp)
Robert Edwards (tb)
Anthony Wonsey (p)
David Wong (b)
Victor Lewis (ds)
Guest:
Roy Hargrove (tp)

ジョー・マグナレリのトランペットはストレートで上品。個人的には、90年代に来日したときにいちどだけ観たアンソニー・ウォンジーのピアノプレイを観たかったのだ。それはやはり、シンプルでタッチが力強く、熟練を感じさせるものだった。そしてヴィクター・ルイスのドラムスは硬く攻める感じでよかった。

どジャズなのでぼんやりとリラックスしながら聴いていた。ドラムスのケニー・ワシントンも居たのだが叩かなかった。その次になんとロイ・ハーグローヴが現れ、嬉しいことに、1曲「Misty」で飛び入りしてくれた。何かが籠っていて、そこで適度に熟成させて出てくるような、素敵な音だった。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●ヴィクター・ルイス
チャーネット・モフェット『Music from Our Soul』(2014-15年)
ジェレミー・ペルト『Tales, Musings and other Reveries』(2014年)
ジェレミー・ペルト@SMOKE(2014年)
ソニー・シモンズ『Mixolydis』(2001年)
ジョージ・アダムスの甘甘作品(1988年)


クレイグ・テイボーン@The Stone

2017-09-12 03:02:14 | アヴァンギャルド・ジャズ

クレイグ・テイボーンのソロピアノを観るためにThe Stoneに足を運んだ(2017/9/11)。

以前は1日に別々の2セットだったのに、移転を前にして、1日1セットになってしまっている。20時半スタートだから20時前に行けばいいだろうと思って着いたところ、既に20人くらいが列を作って待っていた。中に入ると、前夜に逢ったヘンリー・グライムス夫妻とお弟子さんがいた。

以前にこのStoneでテイボーンを観るはずだったのが(ピーター・エヴァンス、エヴァン・パーカーとの共演)、なぜか当人のスケジュールに反映されておらず現れなかったことがあった。それもあってとても嬉しい。

Craig Taborn (p)

最初は、7-8秒程度の間隔を開けて単音を弾き、これを4音から7音くらい続ける。次に間隔を1-2秒に短くして、また単音。そのうちに和音を混ぜたり、微妙に和音の発生をずらしたりして、テンションに濃淡をつけてゆく。やがて、響きを長く保つようにしながら、直前の音を再度弾き、音の大きさにコントラストを付けたりする。こうして、緊張から多様さへの展開がある。

やや次への間があって、テイボーンが腰を浮かせ、発想がそこで生まれたかのように、座りながら次の展開がはじまった。それは力強いクラスターの数々であり、その中からブルースが流れ出てきた。アブドゥーラ・イブラヒムを思わせる瞬間もあった。

2曲目はブルースの上にトリッキーな仕掛けがあり、そのサウンドの身の丈が大きくなってゆき、突然断ち切られた。

3曲目はクラシックのような流れるような旋律に、複雑さと機動性が加わっていった。旋律には歓びが入り込んでゆき、和音で構造が組み上げられる。やがてテンションを鎮めるかのように単音に戻った。

4曲目は、装飾音を入れながらも、ひとつひとつの音が絞られて強く美しく、耳を刺した。内部奏法では弦を撫でるような音も発した。そして一音一音の響きが強まってゆき、また力強いベースラインとともに流れていった。

ここで、私の隣に座っていた男が突然ふらふらしたかと思うと、前のめりに頭から崩れ落ちた。テイボーンも演奏をやめた。会場は騒然とした。(終わった後も救急車が外に居て様子を見ていた。)

まずは大丈夫そうだったのでみんな安心した。テイボーンは「ほとんど終わったのだけど」と笑い、それまでの抽象的・構造的なものから一転し、歓びと哀しみとに満ちた旋律を弾いた。力強い盛り上がりのあとに、また旋律が静かに残された。見事だった。

●クレイグ・テイボーン
クレイグ・テイボーン+イクエ・モリ『Highsmith』(2017年)
クレイグ・テイボーン『Daylight Ghosts』(2016年)
チェス・スミス『The Bell』(2015年)
クレイグ・テイボーン『Chants』(2013年)
クリス・ライトキャップ『Epicenter』(2013年)
クリス・ポッター『Imaginary Cities』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
デイヴ・ホランド『Prism』(2012年)
Farmers by Nature『Love and Ghosts』(2011年)
オッキュン・リーのTzadik盤2枚(2005、11年)
ロブ・ブラウン『Crown Trunk Root Funk』(2007年)
アイヴィン・オプスヴィーク『Overseas II』(2004年)
ティム・バーン『Electric and Acoustic Hard Cell Live』(2004年)
ティム・バーン『The Sublime and. Science Fiction Live』(2003年)
ロッテ・アンカー+クレイグ・テイボーン+ジェラルド・クリーヴァー『Triptych』(2003年)


トーマス・ヘルトン+マイケル・ビシオ@Downtown Music Gallery

2017-09-12 02:43:12 | アヴァンギャルド・ジャズ

Downtown Music Galleryでは毎日曜にインストアライヴが行われている。この日(2017/9/11)は、トーマス・ヘルトンとマイケル・ビシオのコントラバス・デュオ。(なおさらにリサ・メザカッパやジョシュ・シントンらも演奏する予定だったが、時間がなくてこのセットだけを観た。)

Thomas Helton (b)
Michael Bisio (b)

ベースデュオの事例は多くないし、キャラの違いがなければ難しいに違いない。しかしこのふたりは全く異なる特徴を持っていた。

マイケル・ビシオの音はどちらかといえば柔らかい。微分的な音を次々に発生させ、それが大きなフローを生んでいた。そのビシオの定常に対し、トーマス・ヘルトンの音は硬く突発的で逸脱的。このコントラストがあってこその面白さがあった。

いったん終えたものの、もう少しやろうというので、今度は二人とも弓で弾いた。やはり指と同じような違いがあって、ビシオの連続性に対しヘルトンの擾乱。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●マイケル・ビシオ
マシュー・シップ『Piano Song』
(2016年)
ルイ・ベロジナス『Tiresias』(2008年)