ラリー・コリエル『American Odyssey』(NEC Avenue、1989年)を聴く。
Larry Coryell (g)
Wayne Shorter (ts, ss) (track 7, 8)
嗜好的にも時代的にもラリー・コリエルに注目したことはない。しかし中古棚で手に取って驚いた。クラシック・ギターを使い、アーロン・コープランドなどの20世紀アメリカン・クラシックを演奏している。
これが悪くない。ジャズ以前からのアメリカ音楽を取り込み再生させる活動については、同じ頃からのビル・フリゼールが目立っているが、コリエルにも目を向けるべきだった。(わたしが無知なだけで、既に常識なのかもしれない。)
そしてウェイン・ショーターのソプラノが実に繊細。この人は人を困惑させるような謎めいたフレージングが得意で、たとえばハービー・ハンコックとのデュオ作なんて辛気臭くてもう二度と聴かねえよと思った代物だったのだが、またいちど「東京ジャズ」で観たライヴでも興奮するでも聴き惚れるでもなかったのだが、文脈を選ぶならいくらでも聴いていられる。