ガネリン・トリオのライヴDVD、『Priority / Live at the Lithuanian National Philharmony Vilnius 2005』(NEM Records、2005年録音)を観る。
Vyacheslav Ganelin (p, key, perc)
Petras Vysniauskas (as, ss)
Klaus Kugel (ds, perc)
かつてのウラジーミル・チェカシン、ウラジーミル・タラソフとの元祖ガネリン・トリオではなく、はじめて知るサックス奏者とドラマーである。
ヴャチェスラフ・ガネリンはたいへんなテクニシャンである。片手で高速のパッセージを弾きまくりつつ、もう片手で、ピアノの上においたキーボードを操る。その出し方が重力にしばられておらず、静かなる展開から、交響曲のような雰囲気に、まったく唐突にシフトする。飄々と、簡単に引き出しから出すように、である。そしてメロディーは、親しみやすいものからパイプオルガン曲のような壮大なものまで。ときにはクラウス・クーゲルとのパーカッション合戦。
主流からの逸脱というより、逸脱そのものが主流となっている。面白い。
●参照
○セルゲイ・クリョーヒンの映画『クリョーヒン』
○ロシア・ジャズ再考―セルゲイ・クリョーヒン特集
○現代ジャズ文化研究会 セルゲイ・レートフ