ぷ~さんのブログ

観劇、読書、趣味の手作りなど、日常で感じたことを書き込んでいきます。

父と暮らせば

2008-06-19 22:56:18 | 観劇

こまつ座の舞台を観に行って来ました。

数年前、宮沢りえさん・原田芳雄さんで映画になっていますよね。その時もとても評判が良かったと思います。でも、私は観ていなんです。

だから、今回の舞台が初見となります。

出演は辻萬長(かずなが)さん・栗田桃子さんの2人芝居です。

昭和23年、広島に原爆が落とされて3年後の話です。娘、美津江さんは図書館で働いています。父、竹造さんがいるわけですが、途中からお父さんは生きている人ではない事に気がつきました。お父さん、原爆で命を落とされているのですね。お父さんは娘のために、出てきたわけです。

娘は『おとったん』と父の事を呼びます。それがなんとも、いい響きなんです。あったかくなります。

娘は原爆で、友達やおとったんを亡くしています。自分より優れていた、やさしかった、人望もあった人が何故亡くなり、何故自分だけが生き残っているのか・・・・・その事だけに悩まされて、「自分は幸福になってはいけない」と思いつめ、全てを拒否して生きて行こうとするのです。

好きな人ができても、その気持ちを全て否定して、「幸福になってはいけない」といい続けるのです。そんな娘の姿を心配して・・・娘が前を向いて生きていけるように、おとったんは出てきます。

原爆の日に、家屋の下敷きになったおとったんを助けられず、一人逃げた自分を娘はずっと責めて生きています。

父は、「こうような別れが末代まで二度とあっちゃいけん。あんまりむごすぎるけえのう」「わしの分まで生きてちょんだいよぉ」と言い、娘を行かせるんです。そして、炎に包まれる・・・・

今、こうして書いているだけでも涙があふれます。

おとったんは、娘の恋の応援団長として出てきたと言い、最後に「わしに生かされているんだよ」と言葉を残します。そのことばをきっかけに、前にすすんで行こうとする・・・たぶん・・

娘がおとったんに「ありがとありました」と、頭を下げる場面があります。なんとも言えませんでした。

娘の口から出てくる悲惨な体験。これは物語でなく、事実なんですよね。生きていく事が臆病になるのでなく、否定してしまう。これだけで、戦争が起こす悲惨さが伝わってくるのではないでしょうか・・・・・。

やはり、人は何故生まれ、生かされているのか・・・・・・最近、これを思うことが多いな。偉そうだけど、いろんなニュースを見ていると、今だからこそ、考えなければいけない事なのではないか・・・と思っちゃう。今を大切に生きていきたい。

この舞台、是非たくさんの人に観てもらいたいと、ただそれだけ思いました。

言葉にならないくらい、印象に残った舞台です。

コメント (4)
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