公開時に見逃した作品が国際線機内で観られると言うのは有難い。映像も音響もレベルは比べるべくもないのは止むを得ない。
ベビーブーマーへの販売拡大を目論み、若きアイアコッカ(のちのCEO)の提案でレース参戦を目論むフォード。M&Aよろしく、経営難に陥っていたフェラーリの買収を目論むが総帥エンツォを怒らせて破談に。代わって、元ドライバーでデザイナーでもある有能なシェルビーに声を掛け、その彼が見出した偏屈だが有能なドライバー・マイルズを軸にレーシングカーGT40の開発を行い、ル・マン耐久に挑む。だがそこから、大企業らしいフォードの意思決定プロセスや社内権力闘争と言う壁が立ち向かう。
著名カーメーカーの闘いと言うタイトルでありレースシーンでもGT40Mk2と330P3の死闘が描かれるが、巷で評価されるほどそうしたシーンには心動かされなかった。本作で印象に残ったのは、フォードの大企業病や二世(実際には孫)社長の善悪など、企業ガバナンスに関する部分だった。とは言え、興味ある自動車業界の話だからこそ観たのだが。本作は史実と脚色が混在しており、事情通でない自分にはどこが実際と違ったのか、判断つかなかった。
ちなみに個人的には、GT40と330ならGT40の方が好き。そしてガルフカラーならなおイイ。ガルフカラーと言うと、後年のポルシェ917よりGT40の方を思い出すのだ。
2023年8月13日 NH232便(ブリュッセル→成田)機中にて