日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【本】木村正司著 「終身旅行者PT」

2022-05-31 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 仕事を辞めたら海外放浪生活なんてしてみたいなーなどと妄想していた折、 タックスヘイブン関連の本から本書を知って読んでみた。

 終身旅行者(PT:Permanent TravelerともPerpetual Travelerとも)とは字面から受ける第一印象とは少し違っていて、「終身、 旅行者であるステータスの人」すなわち一般的にイメージする旅人とは限らない (もちろんそれでも構わない…旅費が続くのであれば)。具体的には、以下の概念である。要は全て日本どっぷりでなく、要素を海外にも分散させようと言うもの。

1.国籍を持つ国
2.ビジネスを営む国
3.居宅を持つ国
4.資産運用を行う国
5.余暇を過ごす国
と言う従来の概念に加え、プラス著者の主張として
6.寄附をする国

 分厚い本書ではまず日本の持つカントリーリスクから、世界的な分析を示し、そうしたリスクヘッジにPTは有効であると説き、そして上記の各ポイントから見た諸国の評価、著者自身が考える「アンサー」と繋がってゆく。PTを検討する人ごとに条件や希望、性向が異なるため唯一絶対の解がないことは著者も承知、判断ポイントを示すに止まるのは仕方ないが、これ、Yes/No式の簡易フローチャートなり、(有料で良いので)コンピュータで診断システム作るなりして相談に乗って欲しいものである。節税や資産運用は富裕層の話だから無関係などと思わず、むしろ大金持ちでない人間だからこそ僅かずつでもお金を大事に使ってゆく配慮が必要なのだと思った。
 
 自分の場合、現状では海外に居住し仕事をすることは考えられないし、海外ロングステイはしても不動産取得は考えていない。寄附も省こう。そうすると上記1+3は日本となり、残る4,5を検討すれば良いことになる。5はころころ変わるであろうから、つまるところ僅かな資産の分散先を見つければ良いと言うことになる。そこまで絞れたのであれば、次は海外での資産運用の勉強をするべきだな。少し前の本であるため各国の情報は信用することができないが、考え方は大いに参考になった。もっとも、それ以前に「資産形成」についての本を読むべきかもしれない。

 2022年5月18日 自宅にて読了
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【映画】シン・ウルトラマン【LIVE ZOUND×RGBレーザー】

2022-05-31 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 ウルトラマンシリーズは、初期作品のリアル世代である。(Q、)初代、セブン、帰ってきた、タロウ、エース。レオは惰性で見た感じ。そんな世代にドンピシャなのが、「エヴァンゲリオン」シリーズが特に有名で紫綬褒章まで貰っちゃった庵野監督監修、「シン・ゴジラ」同様に樋口真嗣監督とのタッグでできた作品は、ネットをチラ見したところ「マニアック過ぎる」だの「主題曲(米津玄師)が悪い」だのネガティブな評判もチラホラ、評論家とは手厳しいものだと思ったが実際はいかに?

 いやー面白いじゃないですか、自分にとっては。先日の「大怪獣のあとしまつ」とは比べ物にならない。情景も装備もイマ風だし、それでいて肝心のスペシウム光線は再現度高いと言うか表現力すごい。かつての「科特隊」は現代で「禍特対」と同じ読みとか、ゾフィやメフィラス、ゼットンなんて懐かしい名前が登場するなど、旧作群へのオマージュもたっぷり。それでいて単なるドタバタでなく、種の生存と言う根源的な質問、諸外国との容赦ない外交仕合、自己犠牲と言った重くシビアなテーマがストーリーに存在する。

 コアなウルトラマンファンとは言い難い自分だけど、とても良かったです。

 2022年5月18日 川崎・チネチッタにて
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【本】高橋秀実著 「定年入門-イキイキしなくちゃダメですか-」(ポプラ新書)

2022-05-30 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 そろそろ、周囲で定年を迎える人が増えてきた。ただ退職する人はおらず、み んなシニア社員として引き続き勤務している。経済的な問題か、やりがいの存在か。

 一般的には定年退職=のびのび好き勝手な人生、と考えてしまうが、そういう 考えに冷や水をぶっかけるようなタイトルに惹かれて本書を借りてみた。ところが登場する定年退職者は皆イキイキしている(ように読み取れる)。「だめですか?」と言うのは、インタビューして気圧される、同じく定年世代の著者の焦りのようである。

 「何もせず、日々ぼんやり過ごしているだけですよ」なんて人はインタビュー相手にいなかったのだろうか。いても文章にできないので割愛したのだろうか。著者の出発点は「何かしなければいかねいのだろうか?」と言う素朴な疑問ではないかと勝手に思ったのだが、そうであれば、例え傍目にはつまらなそうに見ても本人は満足している、そんな人も紹介すべきだろう。

 本書において著者は、単なるインタビューアー、単なる記録まとめ者としてしか機能していないように見え、ならば他の誰かでも良いのではと思えてくる。思い込みや偏見は良くないが、インタビューを通じ、同世代である著者はどう思ったのか、巻末にでも一節に綴って欲しかった。

 2022年5月16日 実家より戻る電車内にて読了
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【本】武田文男著 「冒険物語百年」(朝日文庫)

2022-05-30 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 古今東西の冒険者にまつわるエピソードをコラム形式で紹介した作品集。植村直己にとどまらない、多くの日本人クライマーも紹介されている。もちろんヒラリーやメスナーにテンジン、ウェストンと言った日本人になじみの深い人々も。

 著者もあとがきに書いているが、本書に採録された「冒険物語」が登山と極地 探検に限られているのが残念。アマゾン川下りも、ジャングル探検も、海洋横断 もあるだろう。宇宙へ行くのは冒険とは言わないのだろうか。

 いずれにしても、紹介された人々の半数以上は山で遭難死している。遭難しないと一流と見做されないわけではないが、一流の人ほど生死の境ギリギリのところを攻めるため亡くなる確率も高いのだろう。どれだけ装備が充実しようとも、判断を下し手足を動かすのは人間だ。だが、無事に下山し人生を全うすることに最大の価値があると言っても、こうした「冒険者」には通じないのだろうなあ。

 2022年5月15日 実家にて読了
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2022年5月15日 母、持ち堪える

2022-05-27 20:00:00 | ノンジャンル
 心不全で救急搬送されICU入りした母だが、命は取り留めた。意識はずっとはっきりしているようで、今日は入院時に持ち込んだガラケーからメールが来た。

 数年前に一度倒れて入院し「次に発作が起きたら終わり」と宣告されての今回だが、幸い持ち堪えてくれた。時期未定ながら退院の見込みはあるため、もう一度顔を見られそうなのは嬉しい。

 少し安心した夜は酒が進み、今夜も親父とワイン一本を飲み切ってしまった。鶏もも肉のハーブソルト焼きをやったら非常にウケが良かった。明日のために、大根と鶏むね肉の煮物(と言うよりスープ)もスタンバイさせている。あり物で食事をでっち上げるのは、自分の方が上手なようだ。
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【本】下川裕治著、阿部稔哉写真 「週末沖縄でちょっとゆるり」(朝日文庫)

2022-05-27 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 この週末は、沖縄県の本土復帰50周年。宮古島へ行こうと思っていたのだが、母が倒れたため取り止め。現地で読もうと思っていた本は実家へ向かう電車で読むことになった。

 どうしても「東南アジア放浪の中年バックパッカー」と言うイメージが抜けない著者だが、沖縄にも割と頻繁に通っていたと言う。そうした中で感じた沖縄の人々に関するエッセイ集。観光情報はなく、うまい店(どちらかと言えばB級)情報が少し。沖縄に住む人々との交流や、沖縄の店の出来事を綴っている。

 何でもかんでも沖縄礼賛と言うわけでなく、こういう所がダメなんだと言う批判も含んでいるのが良い。そういうイラっと来る部分を飲み込めるかが、沖縄に限らず気に入った場所をリピートできるかどうかになるのではないか。全て自分の思い通りの場所なんて、多分どこにもないのだから。そうでなければ、永遠に理想郷を探し続ける旅人になる他はない。

 2022年5月14日 実家へ向かう電車にて読了
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2022年5月14日 父、語る

2022-05-26 20:00:00 | ノンジャンル
 実家には戻ったものの病院へ見舞えるわけでもなく、連絡が来ないので入院する物の準備などもできない。要するに、することがない。と言うわけで、ぼんやりと過ごす。こういう時間の使い方は、非常に苦痛でストレスが溜まる。

 とは言え、親父とボソボソ話していると、色々と考えていることが知れた。まずは母親が逝ってしまった場合のこと。ウチは一家そろって、そういう事態を想定することはタブーでなく、むしろ思考放棄は悪と言う考えなので、既にその手のムック本を買い(しかも数年前)、何となく備えていることが判った。

 一方で驚いたのが、仮に一人になった場合の身の施し方。そのまま実家で一人暮らしするか、或いは仕事辞めたら来いと言われるかと思ったら違った。もっとも本心は別にあって、言い出せないでいるのかもしれない。そこを推し量るべきか、もう少し判断材料を集めなければ。

 基本的に酒は飲まなくなった父だが別に禁酒や断酒しているわけではなく、二人でワイン1本を開けた。今後も会うたびに飲んで話を聞いて、これからの人生について相談しあってゆくのだろう。
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【映画】バブル

2022-05-26 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 超常現象により水没した東京。本来は立入禁止区域である都心部(特に秋葉原辺り)で、ビル伝いに「ゴール」までいかに早く辿り着けるかをチームで競い合う若者たちがいた。その中に一人いたのが、ずば抜けた技量ながらあまり他人と交わろうとしない主人公。そこへ現れた不思議な美少女は不思議な力を持ち、「人魚姫」の幻想を抱き…。

 水没した東京は「天気の子」を連想させるし、アウトローに生きる若者たちは「AKIRA」を思い出させる。そこにファンタジー要素を加えて仕上げた印象。本作は予告編を見て、そのビジュアルに惹かれて観たが期待通り、すばらしく繊細で繊細な画像を、超スピード感で贅沢にもふんだんに使う。その移り変わりについてゆくのに視覚と意識が疲れるほど。

 スッキリでもスカッとでもなく、良い刺激を受けた。

 2022年5月13日 川崎・チネチッタにて
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2022年5月12日 母、倒れる

2022-05-25 20:00:00 | ノンジャンル
 夜に出かけるつもりだったのをキャンセルしたのは虫の知らせか、父から電話があって「いま母さんが呼吸困難になって救急車を呼んでいる」と。状況が判るまで待機していてくれと言われ、落ち着いて再度の連絡が来たのは日付が変わるころ。

 心不全で、状況は予断を許さないとのことだった。会社を休んで明朝行くと言ったが、現在は新型コロナ関連で面会もできないため、来てもすることはないので仕事しておれと。もう1日経って、週末に行くことにした。

 そうか、もしこのまま亡くなったら、顔も見られずに火葬されちゃうんだな。新聞で読んではいたことが自分にも起こり得ると気付かされた。「息が苦しい…救急車きた」が母(86歳)の最期の言葉になるのは勘弁して欲しい。ただ、数年前から心臓に不具合があることは検査で判明しており、「とうとう来たか」と比較的冷静な自分がいた。
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【本】西垣 通著 「集合知とは何か-ネット時代の「知」のゆくえ-」(中公新書)

2022-05-25 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 一人の専門家の判断より、大勢の意見の方が正しいことがあるー集合知について、そう解釈していた。本書を読んで、その認識は概ね正しいと思えた。が、内容はけっこう難しかった。全文に目を通したが、第六章「人間=機械複合系のつくる知」が本書のサマリーであり、ここだけ読めば自分の知りたかった、確認したかったレベルは満たされるように思えた。

・クオリア(琴線)
・生命体は、システム論的には自律システム⇔コンピュータは他律システム
・社会的組織は閉鎖システム⇔ITエージェントは開放システム
・サイバネティック
・SEHS(System-Environment HybridS:システム環境ハイブリッド)

 本書で特に「知」の前提として強調されていると感じられるのが「クオリア」、琴線と訳すがエモーション(情動)とは違うのか。この理解が不十分(腑に落ちない)であったため、本書は読み切ったと思えずモヤモヤが残る。

 2022年5月11日 自宅にて読了
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