たまたま検索して目についた本書は不肖・宮嶋氏渾身の自衛隊のカンボジアPKO派遣同行記であり、30年ほども前の話しながらメチャクチャ面白い。
ルポと言っても、防衛庁(当時)広報部仕込みの「モデルコース」ではないのが著者(そして文春編集部)らしい。著者は2度現地に行っているが、1度目の行きは海自の輸送艦(わずか2,000t)、平底船でめっぽう揺れる、それが台風の影響で時化た東シナ海を行く阿鼻叫喚の物語。2回目は基地の近くに掘立小屋を建てて寝泊まりし、カブで自衛隊車両を追尾し取材する。まあ嫌われてたんでしょうナ(苦笑)。
しかし読者は、著者のおちゃらけた分隊、旧軍をバカにするのかと怒る人も出そうな過去のパロディ、そういう著述に惑わされてはならない。著者は、日本国民からすら非難され、現地人のコソ泥に遭い、それでも酷暑の中カンボジアのメインロードの整備作業に勤しむ自衛隊員たちに篤い思いを寄せている。その一方で、近くまで歴訪しながら現地には来ない宮沢喜一首相(当時)を痛烈に批判し、僅か70分の事務所滞在で帰る「現地視察」の議員、トンチンカンな質問をするピースボートの連中などをたっぷり皮肉る。そして有力新聞紙も。
公正中立な報道などあり得ないと言うことを、本書は教えてくれる。文体や表現が気に入らない人はいるかもしれないが、著者が訴えたかったことを否定できる人間がどれほどいるのか。ただし、著者は従軍したわけでなく、すぐ近くから見たのであるため、それが全てではない、もしくは負の部分が全く描かれていないことは、本書を否定するまでには至らないにせよ、覚えておく必要がある。
2022年4月20日 横浜のホテルにて読了
ルポと言っても、防衛庁(当時)広報部仕込みの「モデルコース」ではないのが著者(そして文春編集部)らしい。著者は2度現地に行っているが、1度目の行きは海自の輸送艦(わずか2,000t)、平底船でめっぽう揺れる、それが台風の影響で時化た東シナ海を行く阿鼻叫喚の物語。2回目は基地の近くに掘立小屋を建てて寝泊まりし、カブで自衛隊車両を追尾し取材する。まあ嫌われてたんでしょうナ(苦笑)。
しかし読者は、著者のおちゃらけた分隊、旧軍をバカにするのかと怒る人も出そうな過去のパロディ、そういう著述に惑わされてはならない。著者は、日本国民からすら非難され、現地人のコソ泥に遭い、それでも酷暑の中カンボジアのメインロードの整備作業に勤しむ自衛隊員たちに篤い思いを寄せている。その一方で、近くまで歴訪しながら現地には来ない宮沢喜一首相(当時)を痛烈に批判し、僅か70分の事務所滞在で帰る「現地視察」の議員、トンチンカンな質問をするピースボートの連中などをたっぷり皮肉る。そして有力新聞紙も。
公正中立な報道などあり得ないと言うことを、本書は教えてくれる。文体や表現が気に入らない人はいるかもしれないが、著者が訴えたかったことを否定できる人間がどれほどいるのか。ただし、著者は従軍したわけでなく、すぐ近くから見たのであるため、それが全てではない、もしくは負の部分が全く描かれていないことは、本書を否定するまでには至らないにせよ、覚えておく必要がある。
2022年4月20日 横浜のホテルにて読了