日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
お気軽にコメント下さい。

【本】松井 章著 「環境考古学への招待-発掘からわかる食・トイレ・戦争-」(岩波新書)

2025-01-07 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 TOTOミュージアム訪問時に、同館の資料コーナーにあってメモっておいた本だがようやく読むことができた。

 遺跡を掘って土器類や骨類を採集し分析することは知っていた。それが骨と言っても細かなフィルタで残った破片とかまでやってるとか、さらには土の成分分析で当時の人々の暮らしが判るとか、なかなか興味深い話。

 多少は筆者の手柄話の部分もあるが、この分野の研究で実績を上げてきた人なのだろうから仕方ない。研究の着想について書かれているのが良い。学会ですんなり受け入れられなかった過去もサラリと書いているが、最終的に認められたからサッパリと書けることだろう。

 成果よりも、研究過程の話が印象に残った。

 2024年12月24日 自宅にて読了

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【本】佐滝剛弘著 「観光消滅-観光立国の実像と虚像-」(中公新書ラクレ)

2025-01-06 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 インバウンド激増を喜んでばかりいて良いのかと言うお話。まさにその通り。モラルやマナーがとかはもちろんだが、その一方で日本人が海外旅行に出られない経済、さらには海外志向しなくなった日本人。まったくその通り。

 やはり日本は島国で、日本人はこれから再び「島国根性」になってゆくのだろうか、きっとそうなんだろう。自分はそうなりたくない。ところで、こんだけ円が弱くなったのだから訪日客優遇の「ジャパンレールパス」は大幅値上げもしくは発売停止にして良いと思うよ。

 2024年12月21日 青春18きっぷで旅行中の電車にて読了

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【写真展】熱田 護 「Ayrton」

2024-12-30 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 1994年5月1日。そう言えば今日はF-1やってたっけと思ってテレビを点けたら、前置きなしでアナウンサー(たぶん古舘伊知郎氏だったのだろう)が「セナがクラッシュ―ーーー!」と絶叫し、通常とは明らかに違う停まり方(壊れ方)をしたマシンのヘリテレ画像が映し出されたのを観たことは今でも覚えている。あれから30年か。

 長年にわたりF-1を取材してきた作者の作品のうち、故アイルトン・セナの肖像だけをセレクトした作品展。とりわけ日本で人気者だったセナらしく、会場には多くの人々がいた。やはり当時を知る年代が多いか。気さくな笑顔より、何かを憂いたような表情の作品が多いと感じた。よくこれほど近付いて撮れたと感心する。

 セナより速い、セナより強いドライバーはいるだろうが、少なくとも日本において、セナより記憶に残るドライバーはいない気がする。

 2024年12月20日 キヤノンギャラリー銀座にて

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【写真展】西澤 丞 「超現実世界 決して交わることのない、もうひとつの世界」

2024-12-27 20:00:00 | 本・映画・展覧会

 工場などさまざまなインフラ施設、関係者でなければ見られない光景には憧れる。「おとなの社会科見学」として最も楽しい訪問先だろう。最近はけっこうテレビカメラが入ることになったのは、それだけ社会的認知度が高まり、興味を持つ視聴者も多いと言うことだろうから喜ばしい。

 いちカメラマンとして特段のコネもなく、一カ所一カ所取材申請をして認められ入場した場所での成果。製鉄所あり、地下の巨大貯水池あり、道路の建設現場あり。コンクリートや金属の、無機質な色合いを崩さず、隅々まで綺麗に撮っている。これぞマイフェイバリット。

 作品にキャプションがないため、在廊していた作者に何度も撮影場所を教えて頂き、撮影(むしろ取材許可)の苦労話などお聞かせいただいた。来年はもっと、色々な施設の一般公開日をサーチして見学に行こうと思った。

 2024年12月20日 品川・キヤノンギャラリーSにて

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【写真展】ボケフォトファングループ写真展2024

2024-12-27 13:00:00 | 本・映画・展覧会

 積極的に「ボケ」を活かした作品を撮るのが好きなメンバーによる写真展。ピンボケと言う言葉は割と知られているが、レンズの絞りをコントロールすることによるボケについては、写真撮影に興味ある人でなければ知らないかもしれない。

 構図を決め、被写体にきちんとピントを合わせ、絞りを優先でシャッタースピードを決める(絞り優先撮影)。作品はどれも意識してボケられたものなのであることが良く解る。被写体が静物や花が多いからか、全体にカラフルでパステルカラーな色調な作品が多いように感じた。

 とは言え、これだけ多くのボケ写真ばかりならぶと少々飽きを感じた。どちらかと言えば自分の好みは、広い範囲を隅々までシャープに写し込んだ風景や情景写真なのだろう。もちろん、こういうボケ写真が悪いわけではなく、単に好みの問題だ。

 2024年12月20日 品川・キヤノンオープンギャラリー2にて

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【写真展】竹沢うるま 「2025年キヤノンカレンダー World Heritage Journey 世界遺産を訪ねて」

2024-12-27 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 夜の忘年会の前に、今年最後の写真ギャラリー巡り。

 毎年やっている、来年のカレンダーを始めとした写真展。2023年にも来た。昨年来なかったのは、写真展の時期に東京へ出る用事がなかったのだろうか。

 最初に作者の作品を観たのは海に関する写真展だったと思うが、その時のぼんやり覚えている印象からすると撮影の幅が広がっているように感じた。カラフルで強めの光のもとで撮るばかりでなく、曇天の、ある意味荒涼とした感じの作品とかも気になった。

 品川・キヤノンオープンギャラリー1にて

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【写真展】中西敏貴 「〜旅の記憶〜遥かなるパキスタン グループ展」

2024-12-26 20:00:00 | 本・映画・展覧会

 西遊旅行と言う、割とマニアックな行先や内容のツアーを主催する旅行社がある。そこのメールマガジンから本展を知り、未訪問の地パキスタンの雰囲気を味わえるのではと思い足を運んだ。

 便宜上、中西氏をタイトルに持ってきたが、厳密には中西氏はサブガイド兼撮影指導と言う位置づけだったようだ。もちろん会場内には、氏の写真も展示されている。他は、この旅行社によるツアー参加者の写真。とは言え撮影ツアーだったようで、レベルは高い。

 ツアーの訪問先がパキスタン北部の山岳地帯メインであったため、風景写真は山や星空の写真が殆ど。あと多かったのが、現地の人々を撮った写真。メンバーに女性が多かったから比較的ラクにカメラを向けられたのだろうか。

 会場で現地の話を聞いたり自分の経験を話したりしたが、「絶対に気に入ると思いますよ」と言われた。とは言えやはり、カラチ辺りは危険度が高く、行くなら北部に絞った方が安全かもと。そうは言っても、カラチからの長距離列車に乗りたいんだよなあ。

 本展を見て、しぼみかけていたパキスタン渡航の夢が復活してきた。

 2024年12月19日 横浜・みなとみらいギャラリーBにて

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【本】José.川島良彰/池本幸生/山下加夏著 「コーヒーで読み解くSDGs」(ポプラ新書)

2024-12-24 20:00:00 | 本・映画・展覧会

 SDGs(Sustainable Development Goals)について書かれた本は山ほどありそうだが、コーヒーの生産から消費までのプロセスに特化して書かれた本は他にあるのだろうか。「コーヒーハンター」川島良彰氏を始めとする執筆陣による本書の解説は、章が細かく区切られ過ぎているきらいはあるものの、読みやすく解りやすい。

 SDGsには17の目標が設定されているわけだが、コーヒーを作る過程から消費する段階まで詳細に追ってゆくと、ほぼ全ての目標に関りがあることが本書によって解った。その中で栽培や商品化の細かなプロセスが解説されており、SDGsとは関係なしにコーヒー産業についての読み物として成り立つ部分が多く興味深かった。

 あなたの飲んでるコーヒーが、生産国の貧しい子供たちの低賃金労働によるものだと知っても、美味しく飲めますか?その安いコーヒーを飲み続けますか?という問いは以前から知っていたが、じゃあフェアトレードの高いコーヒーに切り替えますと直ぐに言えない自分がいる。

 2024年12月18日 鉄道博物館帰りの電車にて読了

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【写真展】日本大学芸術学部写真学科 教員作品展 SKY VII

2024-12-20 20:00:00 | 本・映画・展覧会

 台湾から帰国し、夜のライブの前にギャラリーに立ち寄り。二ヵ所を回りたかったが時間がなく、本展のみ見学した。昨年も観た本展、今年は全て昨年とは違う方々の作品。ただしGOTO AKI氏は、銀座キヤノンギャラリーでの展覧会を拝見している。

GOTO AKI:今回も銀座で観た時と同様、泥のボコボコの組写真が印象的だった。

鈴木麻弓:テーマは「日本各地の巨木や美しい1本の木と向き合うシリーズ」で、今回の3人の中では最も好みの作風。そこに自然に1本だけ気が生えているということは考えづらく、いきおい植えた人々の意図や思いに考えを馳せることになる。

田中里実:「ライフワークにしている故郷女川を被写体とした作品」ということで、記録写真をどう参観者が捉えるかで、作品の評価が変わると思う。

 2024年12月17日 銀座・ソニーイメージングギャラリーにて

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【本】井出 明著 「悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界」(文春新書)

2024-12-18 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 ダークツーリズムをどう捉えるか、どう見せるかについて書かれた本。それだけでなく、そもそもダークツーリズムとはから始まっているので馴染みのない読者でも取っ付きやすいと思われる。その一方で、ダークツーリズムの弊害(があるとすれば)については触れられておらず、まだそこまでの段階ではないと著者は考えているのか(オーバーツーリズムは普遍的な事象なので、あえて本書で触れる必要はないのか)。

 誰から見ても「ダーク」な歴史と言うのは難しい。アウシュビッツの大虐殺にしろ、広島・長崎の原爆にしろ、それを是とする人々がいる(いた)ことも事実。事実は一つであっても、解釈は一つではないのが問題となる。

 2024年12月12日 台湾・台南市のホテルにて読了

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