読みやすい文体なのだが内容が濃く、読み進めるのに時間がかかってしまった。著者が私淑する宮本常一、そのパトロンとして後半生を尽くした渋沢敬三、それぞれの人生と日本民俗学への貢献が分厚く綴られている。
二人の伝記に留まらず、拘った日本民俗界の人々との人間模様も織り込まれているから話がどんどん厚くなってゆく。知れば知るほど宮本の活動は常人の想像を超え、渋沢の配慮の深さもまた常人の理解を超える。凄すぎて比較はおろか感心と言う感情すら湧いてこなくなるほど。一方で本書において世間一般に名高い柳田国男はヒールの扱い。ひたすら庶民の目線に立ち自らも百姓たらんとした宮本、有数の資産家であり実業家でありながら偉ぶらなかった渋沢に対し、高名な学者であることの権威や上から目線が批判されてる。
本書を読む以前に「失われた日本人」ほか宮本の著作の幾つかは読んでおかなければ、その功績が理解しきれない。「渋沢家三代」か何かを読んでいないと渋沢敬三のバックグラウンドとプレッシャーが理解できない。何冊か読んで本書に至った自分の選択順位付けは間違っていなかったと思った。
2019年6月13日 展示会見学に行った幕張メッセ帰りの電車にて読了
二人の伝記に留まらず、拘った日本民俗界の人々との人間模様も織り込まれているから話がどんどん厚くなってゆく。知れば知るほど宮本の活動は常人の想像を超え、渋沢の配慮の深さもまた常人の理解を超える。凄すぎて比較はおろか感心と言う感情すら湧いてこなくなるほど。一方で本書において世間一般に名高い柳田国男はヒールの扱い。ひたすら庶民の目線に立ち自らも百姓たらんとした宮本、有数の資産家であり実業家でありながら偉ぶらなかった渋沢に対し、高名な学者であることの権威や上から目線が批判されてる。
本書を読む以前に「失われた日本人」ほか宮本の著作の幾つかは読んでおかなければ、その功績が理解しきれない。「渋沢家三代」か何かを読んでいないと渋沢敬三のバックグラウンドとプレッシャーが理解できない。何冊か読んで本書に至った自分の選択順位付けは間違っていなかったと思った。
2019年6月13日 展示会見学に行った幕張メッセ帰りの電車にて読了