実といっても本当の実は先端にある黒い丸い部分で、茶色のくねくねした部分は肉質化した花柄の部分です。かじってみるとこの部分に甘みがあり「昔の山の子のお菓子だった」などとはいうものの真偽の程はよく分かりません。それほどむしゃむしゃと食べれるものでもないのです。食感も「梨」に似ているといえばいえますね。シャキシャキしています。人里近いところに大木があり、また古い民家の軒にもしばしば大木が残っていますから重要な木であったことは確かでしょう。
カエデは「蛙手」で葉の周囲が分裂し5以上の凹凸状になっているのが一般的ですが、この仲間にもいろいろあって分裂しないものがあります。一枚だけ見せられてもこれがカエデの仲間とは見極められないかもしれませんが、枝に対生している辺りを観察するとカエデの仲間と納得されると思います。果実を見れば確実なのですが、残念ながら今回は果実がついたものが見当たりませんでした。葉は綺麗に黄葉します。