森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

エゾナミキ

2012年08月14日 | 自然観察日記
意図しない移入植物にエゾナミキがありました。国の湿地整備に関してかつてヨシ原だった場所にニッコウキスゲ・ヒオウギアヤメを植栽したのですが見慣れないものが発生したのです。直感的にナミキソウを連想してみたものの、あまりにも生育する環境が違いすぎて、???・・の日々が続きました。姿形はナミキソウなのですが全体の草質が瑞瑞しく色具合も違い、花はやや大きく丸みを持っています。

エゾナミキ 花

2012年08月14日 | 自然観察日記
ナミキソウは海岸砂地に生活しています。葉など全体が劣悪な環境に耐える仕組みを持っていますが、ここは半日陰の今は乾き気味の場所ながら湿地の一角です。そのギャップが暫らくの間私を悩ませましたね。少々時間を費やして調べる中で、北地に湿地性のナミキソウがあることが分かりました。エゾナミキと命名されている種で、どうもこれがそれに当たるようです。この湿地に植栽された苗に混ざっていたものとおもいますが、幸運と捉えるべきか問題と考えるべきか悩ましいところです。個人的には、この種はニッコウキスゲよりはずっと貴重種ですから抜いたりはしないでその生育を見守っていくことにしています。花はなかなか存在感もあって綺麗です。
長野県と青森県、北海道に分布し長野では絶滅危惧種になっているとか。ここまで分かると逆に積極的に保護しなければなりませんね。
(元新潟大教授のI氏に標本を示して意見を聞きましたが、氏もエゾナミキという鑑定で、「県内には記録されていないから経過観察や写真などデータの採取をしてほしい」という依頼を受けました)